クリスマスが近づくと、玄関やリビングに何か飾りたくなるものです。とはいえ「細かい作業は目がつらい」「途中で指が動かなくなって放り出しそう」と、手作りをためらう方は少なくありません。デイサービスの担当者からも、毎年この時期になると「みんなが最後まで作りきれる飾りはないか」という声が挙がります。
結論から言えば、高齢者のクリスマス飾りは「簡単すぎるくらい」でちょうどよく仕上がります。折る回数が少ない折り紙、貼るだけのリース、毛糸を巻いて縛るだけのポンポン。工程が3〜4つで終わる飾りほど、途中で止まらず、完成したときの手応えが残ります。材料はダイソーやセリアなどの100円ショップでほぼ揃い、フェルトは110円で買えます。
この記事では、座ったまま作れる飾りから壁一面をにぎやかにする飾りまで8つの案を、必要な材料と目安時間つきで紹介します。あわせて、手が動きにくい方の参加のさせ方、飾りつけのときに起きやすい事故の防ぎ方、飾りに添えると会話がはずむ由来の話までまとめました。今年のクリスマスの準備が、ぐっと気楽になるはずです。
・高齢者でも手が止まらない、工程3〜4つで完成するクリスマス飾り8案
・100円ショップでそろう材料と、家にあるもので代用できるもの
・手が動きにくい方・目が見えにくい方も最後まで参加できる工夫
・飾りつけで起きやすい転落・やけど・誤飲を防ぐ具体策
高齢者の手作りクリスマス飾りは「簡単」でいい3つの理由

手作りと聞くと、見本どおりに仕上げなければという気持ちが働きます。けれど高齢者と作る飾りは、完成度より「最後まで自分の手で触れたかどうか」で満足度が決まります。まずは、簡単でいいと言い切れる理由を整理しておきます。
工程が5つを超えると、途中で手が止まりやすい
作り始めて止まってしまう飾りには共通点があります。工程が5つ以上あり、しかも前の工程を覚えていないと次に進めない構造になっていることです。折り紙で言えば「谷折り→山折り→裏返して角を合わせる→開いてつぶす」と続くタイプがこれにあたります。
背景には、加齢にともなう作業記憶の負担があります。手順を耳で聞き、目で見本を確認し、指先を動かす。この3つを同時に行うのは、若いころに比べて負荷が大きくなります。だから「折る回数が少ない」「同じ動作の繰り返しで済む」飾りが向いています。折り紙のサンタなら、白い面を上にして三角に折り、中心線に合わせて折り、裏返して帽子の形にして顔を描けば完成します。工程は4つです。
注意したいのは、簡単な工程でも指示の出し方で難しくなる点です。「三角に折って、そのあと角を合わせて」と2つ以上をまとめて伝えると、それだけで手が止まります。一度に伝えるのは1工程だけ。この原則を守るだけで、同じ作品でも完成率が変わります。
手を動かす時間そのものに、静かな効果がある
創作レクリエーションは、多くの介護施設で認知機能の低下予防を目的に取り入れられています。完成形を想像しながら手先を使うため、考える力と指の動きを同時に使う時間になるからです。
指先を動かすことで、動きのなめらかさが増し、集中が続きやすくなるとも言われています。さらに、指の柔軟性や筋力、感覚が保たれると、箸やスプーンの扱い、着替えのボタンといった毎日の動作が安定しやすくなります。飾り作りは、そうした動作の延長線上にあります。
ただし、これは医療行為ではありませんし、効果の出方には個人差があります。「工作をすれば認知症が防げる」といった受け取り方はしないでください。むしろ大切なのは、12月の何日かに「今日はこれを作る」という予定が生まれること、そして完成した飾りが壁に残り、それを見た家族が声をかけてくれることのほうです。
作品に「作った人の名前と日付」を小さく書き添えておくと、翌年出したときに会話が生まれます。「去年はこれ、一緒に作ったね」の一言が、飾りを1年ぶんの記録に変えてくれます。
材料が110円なら、失敗しても笑って作り直せる
簡単さと同じくらい効くのが、材料の安さです。ダイソーのフェルトは赤・白・緑がそれぞれ110円で並びます。画用紙も色画用紙が10色10枚のセットで手に入り、モールは赤・白・緑の3色セットや、赤・銀・緑のキラキラタイプが売られています。
安いことの本当の価値は、節約ではなく「やり直せる」ことにあります。1枚しかない材料だと、切る前に手が止まります。予備が2枚3枚あるとわかっていれば、思い切って鋏を入れられます。この心理的な差は大きく、参加をためらっていた方が最初のひと切りを入れるきっかけになります。
気をつけたいのは、100円ショップの品ぞろえは店舗によって差があり、クリスマス関連は12月に入ると一気に品薄になることです。作る日が決まっているなら、11月のうちに買い足しぶんまで確保しておくと安心です。なお、モールリースのように220円の商品も混ざっているので、レジで驚かないようパッケージの価格表示を確認してから買いましょう。
そろえる材料は100円ショップでほぼ足りる
飾り作りでつまずく最大の理由は、当日になって材料が足りないことです。ここでは、何をどれだけ買えばいいのか、逆に買わなくていいものは何かを整理します。
まず買う基本の5点はこれ
最初にそろえるべきは、折り紙・色画用紙・毛糸・モール・木工用ボンドの5点です。この5つがあれば、この記事で紹介する8案のうち6案はすぐ作れます。
折り紙は15cm角の標準サイズを選びます。両面同色折紙なら45枚入り、単色のおりがみは70枚入りの商品があり、どちらもクリスマス色の赤・緑・白が含まれるセットを選ぶと使い回せます。色画用紙はダイソーのパステルカラーミックスなら36.3×25.7cmの用紙が10色10枚入りで、リースの土台や台紙に使えます。毛糸は太めのものを1玉、モールは3色セットを1袋あれば10人ぶんまかなえます。
注意点は、折り紙を「1人1枚」で計算しないことです。折り直しや失敗を見込んで、参加人数の3倍を用意しておくのが実務的な目安になります。10人で作るなら30枚。これだけあれば、途中で「もう一枚ちょうだい」と言われても慌てません。
- ☑ 折り紙 15cm角(赤・緑・白を含むセット/人数の3倍)
- ☐ 色画用紙 10色セット 1袋
- ☐ 毛糸 太めを1玉(白・赤・緑のいずれか)
- ☐ モール 3色セット 1袋
- ☐ 木工用ボンド 2〜3本(1本を3人で共有)
- ☐ 丸シール・星形シール(貼るだけ工程用)
- ☐ 刃先の丸い鋏 人数分
売り場で迷わないための回り方
100円ショップは店内が広く、必要なものが3か所以上に分かれています。効率よく回るなら、文具コーナー(折り紙・画用紙・ボンド・シール)→手芸コーナー(フェルト・毛糸・リボン)→季節イベントコーナー(モール・ミニツリー・オーナメント)の順が動きやすい流れです。
この順番にする理由は、かさばるものを最後に取るためです。季節コーナーの商品は箱入りや袋入りで大きく、先に持つとカゴの中で折り紙が折れてしまいます。手芸コーナーのフェルトも、下敷きになるとしわが残ります。
季節イベントコーナーは、10月下旬にハロウィン用からクリスマス用へ切り替わる店が多く、11月がいちばん品ぞろえが豊かです。逆に12月中旬を過ぎると棚が正月用品に変わり始めます。作る日から逆算して、遅くとも2週間前には買い出しを済ませてください。なお在庫は店舗ごとに違うため、まとまった数が必要なときは近隣2店舗を回るつもりで計画すると確実です。
家にあるもので代わりになるもの
買わなくていいものも、はっきりさせておきましょう。リースの土台は、紙皿の中央をくり抜けば十分に代用できます。牛乳パックを開いて切れば厚紙になり、トイレットペーパーの芯はサンタの胴体やろうそくの土台になります。
こうした身近な素材が向いている理由は、厚みと張りがちょうどいいことにあります。画用紙だけでは立体にしたときに自立しませんが、紙皿や牛乳パックは折り目をつけても形が保たれます。しかも失敗しても惜しくないので、参加者が遠慮なく試せます。
ただし、食品が入っていた容器を使うときは、洗って完全に乾かしてから使うことが前提です。牛乳パックは内側に水分が残りやすく、生乾きのまま貼るとにおいが出ます。開いた状態で2日ほど陰干しし、においが残っていないか確認してから工作用にまわしてください。
ほかの季節にも使える工作アイデアは、こちらの記事にまとめています。

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グルーガンは必要?木工用ボンドとの使い分け
工作の紹介記事でよく登場するグルーガンですが、高齢者と作る飾りでは必須ではありません。むしろ最初の1年は買わずに済ませてよい道具です。
理由は温度にあります。グルーガンには低温タイプと高温タイプがあり、低温タイプでも約120度前後、高温タイプは約170度前後で樹脂が溶けます。本体も、塗った直後の溶けたグルーもどちらも高温で、ノズルは耐熱手袋なしでは触れません。皮膚の感覚が鈍くなっている方が握ると、熱さに気づくのが遅れます。
紙・フェルト・毛糸・モールをつなぐ程度なら、木工用ボンドと両面テープで足ります。ボンドは乾くまで時間がかかるので、洗濯ばさみで挟んで押さえておくと待ち時間を短縮できます。どうしても松ぼっくりのような凹凸のあるものを接着したいときだけ、職員や家族が低温タイプを使い、参加者には触らせない。この線引きがいちばん安全です。
座ったまま作れる簡単クリスマス飾り4案

ここからは具体的な飾りを紹介します。まずは机に向かって座ったまま完成できる4案です。どれも工程が少なく、途中で手を止めても再開しやすい構成にしています。
| 飾り | 主な材料 | 目安時間 | 手の負担 |
|---|---|---|---|
| 折り紙のサンタ | 折り紙1枚・ペン | 5分 | 小 |
| 重ねるだけのツリー | 折り紙3枚・台紙 | 10分 | 小 |
| 毛糸ポンポンのリース | 毛糸・リース台 | 30分 | 中 |
| 紙皿のリース | 紙皿・折り紙・シール | 15分 | 小 |
| 手形リース | 色画用紙・ペン | 20分 | 小 |
| 折り紙ガーランド | 折り紙・ひも | 20分 | 小 |
| 松ぼっくりのツリー | 松ぼっくり・絵の具 | 30分+乾燥 | 中 |
| 窓辺のあかり | LEDキャンドル・折り紙 | 10分 | 小 |
※高齢者あんしんノート調べ。目安時間は説明の時間を含まない、作業のみの目安です。
折り紙1枚で完成するサンタ
いちばん手軽なのが、折り紙1枚で作るサンタです。折る工程が4つしかなく、5分ほどで顔が出来上がります。
手順は、白い面を上にして三角になるように折り、中心線に合わせて折り、裏返して帽子のような形にととのえ、最後に顔を描くだけです。赤い折り紙を使えば帽子と服が自然に赤くなり、白い部分がひげと縁取りに見えます。折り筋をしっかりつけておくと形が崩れません。
顔を描く工程は、あえて自由にしておくのがコツです。目の位置ひとつで表情が変わり、同じ折り方でも全部違うサンタになります。10人で作れば10通りの顔が並び、それだけで壁面がにぎやかになります。完成したものはツリーのオーナメントにしたり、たくさん吊るしてガーランドにしたりと使い道が広がります。
折るのが難しい方には、あらかじめ切った赤い三角と白いひげのパーツを用意しておき、貼り付けるだけにする方法があります。この置き換えをしても、顔を描く工程は本人に残してください。作品に個性が残るかどうかは、ここで決まります。
- Step1: 赤い折り紙を白い面を上にして机に置く(配るときに向きをそろえておく)
- Step2: 三角に折る。ここで一度全員の手が止まるのを待つ
- Step3: 中心線に合わせて折り、裏返して帽子の形にする
- Step4: 顔を描く。目・鼻・口の位置は本人にまかせる
三角を重ねるだけのクリスマスツリー
折り紙を三角に折って重ねるだけで、立体感のあるツリーができます。折る動作が同じ形の繰り返しなので、手順を覚え直す負担がありません。
緑の折り紙を大・中・小の三角に折り、台紙に下から順に少しずつ重ねて貼ります。大きさを変えるには、折り紙を四つ折りにしてから切って小さい正方形を作るだけです。頂点に黄色い星のシールを貼り、幹は茶色の画用紙を細長く切って差し込めば完成します。
この飾りが向いているのは、細かい折り目をつけるのが苦手な方です。三角の角がぴったり合わなくても、重ねて貼ると気にならなくなります。むしろ少しずれているほうが枝が広がって見え、木らしくなります。
気をつけたいのは、台紙の色です。緑のツリーを濃い青や黒の台紙に貼ると、明度が近いために輪郭が沈んで見えます。白やクリーム色の台紙を選ぶと、離れて見たときにもツリーの形がはっきり浮かびます。飾り作りでは、この「背景とのコントラスト」が仕上がりを大きく左右します。
毛糸のポンポンで作るふわふわリース
毛糸のポンポンを並べたリースは、見た目の華やかさのわりに難しい工程がありません。毛糸を巻いて縛って切る、この3動作の繰り返しです。
作り方は、フォークか厚紙に毛糸を何十回か巻き、中心を別の毛糸できつく縛ってから、両端の輪を鋏で切ってポンポンにします。これをリース台に結びつけ、最後にリボンで吊り下げひもを付ければ完成です。100円ショップのポンポンメーカーを使えば、ボンドもグルーガンも使わずに作れます。ふわもこ毛糸を選ぶと、毛先を切りそろえる手間がほとんどいりません。
ポンポン1個あたりの所要時間は数分ですが、リース1つには10個以上必要になります。ここが実は好都合で、1人で全部作らず、参加者全員でポンポンを作り、それを1つのリースに集める形にできます。手の速い方も、ゆっくりの方も、同じ作品に自分のポンポンが入る。この形は集団のレクにとても向いています。
仕上げには、リボンや造花、ビーズを加えられます。ただしビーズのような小さいパーツは扱いに注意が必要で、この点は後の安全の章でくわしく触れます。
紙皿の土台に貼るだけのリース
4案目は、鋏をほとんど使わずに済むリースです。紙皿の中央を丸くくり抜いて土台にし、そこに折り紙をちぎって貼っていきます。
くり抜きは職員や家族が事前にやっておき、参加者は緑の折り紙をちぎって貼る作業から始めます。ちぎるという動作は、鋏を使うより力の加減がやさしく、握力が弱くなっている方でも参加できます。ちぎった紙の縁が不ぞろいなことが、かえって葉の重なりのように見えます。
緑で埋まったら、赤い丸シールを実に見立てて散らし、モールを短く切ってリボン結びにして貼れば出来上がりです。土台が紙皿なので軽く、画びょうを使わずマスキングテープで壁に留められます。
注意したいのは、のりの量です。木工用ボンドを厚く塗ると紙皿が反ってしまいます。爪楊枝の先で薄くのばすか、スティックのりに替えると平らに仕上がります。ボンドを使うときは、乾くまで本を重しに置いておくと反りを防げます。
壁と窓が一気に華やぐ、みんなで作る飾り4案
個人の作品ができたら、次は空間全体をクリスマスらしくする飾りです。ここで紹介する4案は、複数人の作品を1つにまとめられるのが特徴です。
手形を並べたリースは一体感が出る
色画用紙に手を置いて輪郭をなぞり、切り抜いた手形をリース状に並べて貼る飾りです。緑の手形を円形に重ねると、指がもみの木の葉のように見えます。
この飾りの良さは、参加した全員の存在が形として残ることです。手の大きさも指の開き方もひとりひとり違うので、並べたときに自然な表情が出ます。中央に「メリークリスマス」と書いた紙を貼れば、施設の玄関や自宅の壁の主役になります。
手をなぞる作業は本人にやってもらい、切り抜きは職員が担当する分担がおすすめです。曲線を切るのは指の細かい制御が必要で、ここで疲れてしまうと、そのあとの貼る工程まで気力が続きません。切るのが得意な方には、逆に切り抜きを一手に引き受けてもらうと役割が生まれます。
失敗しやすいのは、手形をすべて同じ緑にしてしまうことです。濃淡の違う緑を2〜3色まぜると奥行きが出ます。1色しかない場合は、一部の手形の縁を白いペンでなぞるだけでも輪郭が分かれて見えます。
折り紙をつないだガーランドで空間を使う
壁が埋まってきたら、次は空中です。折り紙で作った小さなサンタやツリー、輪飾りをひもに通してつなげば、ガーランドになります。
作り方は単純で、折り紙を細長く切って輪にしてつなぐ鎖飾りが基本です。輪をつなぐ動作は同じことの繰り返しなので、会話をしながら手を動かせます。おしゃべりが弾んでいるうちに数メートルぶんが出来上がるのが、この飾りの面白いところです。
飾る位置は、目線より少し上が基本です。頭がぶつかる高さに垂らすと、歩行が不安定な方が引っかけて転ぶ原因になります。廊下を横断させるのは避け、壁に沿って波打たせるように留めると安全です。
季節ごとに貼り替えられる壁面飾りの考え方は、こちらでくわしく紹介しています。

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松ぼっくりのミニツリーは下処理を省かない
拾ってきた松ぼっくりに緑の絵の具を塗り、先端に白を差せば雪化粧のミニツリーになります。ビーズやシールを飾れば、机の上に置ける小さなツリーの出来上がりです。
ただし、この飾りには絶対に省いてはいけない工程があります。下処理です。公園などで拾った松ぼっくりには、虫が付いていたり卵を産み付けられていたりすることがあります。まず水でよく洗って泥や砂を落とし、鍋に湯を沸かして5分ほどゆでる。ゆで終わったら風通しのよい場所で最低2〜3日乾かします。
実際にありがちな失敗が、拾ったその日に色を塗って飾ってしまうケースです。数日後、飾っていた棚の周りに小さな虫が出て、作品ごと処分することになります。せっかくの作品が台無しになるだけでなく、施設なら衛生面の問題にもなります。乾燥を待つ日数を計算に入れて、松ぼっくりは作る日の1週間前には拾い集めておいてください。
煮沸した松ぼっくりは、乾く途中でかさが閉じたり開いたりします。完全に乾いて開ききってから色を塗らないと、あとで形が変わって塗りムラが目立ちます。濡れたまま袋に入れて保管するとカビの原因にもなるので、新聞紙の上で広げて乾かしてください。
LEDキャンドルなら火を使わずに窓辺を灯せる
夕方の早い時間から暗くなる季節、窓辺に灯りがあると部屋の印象が変わります。とはいえ本物のろうそくは、高齢者のいる空間では避けたい選択です。
そこで使えるのが、100円ショップのLEDキャンドルライトです。ダイソーのキャンドルライトは110円で、CR2032のボタン電池1個を使い、連続点灯時間は約12時間とされています。火を使わずライトの光で点灯するので、倒れても燃えず、消し忘れの心配もありません。
これに手作りの要素を足すなら、トレーシングペーパーや薄い折り紙で筒状のカバーを作り、外側に星や雪の形を切り抜いて貼ります。中にLEDキャンドルを入れると、切り抜いた形が光で浮かび上がります。カバーを作る作業は貼るだけなので、指の力が弱い方でも参加できます。
注意点はボタン電池です。小さくて飲み込みやすく、体内に入ると重大な事故につながります。電池の交換は必ず職員や家族が行い、予備の電池は作業机に置かないでください。認知症のある方が同席する場では、電池が入った状態の本体だけを渡すのが原則です。
手が動きにくい人も最後まで参加できる工夫
集団で飾りを作るとき、いちばん気を遣うのは「できない人が手持ち無沙汰になる」場面です。ここでは、参加のハードルを下げるための実務的な工夫をまとめます。
工程を「切る・貼る・選ぶ」の3つに分ける
1つの作品を1人で完成させる形にこだわると、必ず取り残される方が出ます。そこで、作業を「切る」「貼る」「選ぶ」に分解し、得意な工程を担当してもらう形にします。
鋏が使える方は切る係、のりが得意な方は貼る係、手が動かしにくい方は色や配置を選ぶ係。この分担なら、全員が同じ作品に関わりながら、それぞれの負担に合った動きだけをすればよくなります。工場の流れ作業のように見えて、実際にやってみると会話が増えます。隣の人の手元を見る必要が出てくるからです。
分担するときのコツは、「選ぶ係」を軽い役割にしないことです。どの色を使うか、どこに貼るかは作品の印象を決める判断で、手を動かす工程より頭を使います。「この赤とこの赤、どっちがいいと思う?」と尋ねる。それだけで、その人の作品になります。
下ごしらえはどこまでやるかを決めておく
準備をやりすぎると「貼るだけ」になって物足りず、やらなすぎると手が止まる。この境目をどこに置くかが、レクの成否を分けます。
目安は、「最初の1手だけは代わりにやっておく」です。紙皿のくり抜き、折り紙の下折り、リース台の準備といった、力や精度が必要な部分は事前に済ませます。逆に、色を塗る・貼る・顔を描くといった、結果に個性が出る工程は残しておきます。
実は、きれいに完成させることより、この「選ぶ工程を残す」ほうが満足度に効きます。意外と知られていませんが、レク後の感想で多いのは「上手にできた」ではなく「自分で決めた」という言葉です。仕上がりが多少不ぞろいでも、本人が選んだ色で貼られた飾りのほうが、あとで見返したときに愛着が残ります。
準備の目安として、参加者10人の会なら、下ごしらえに1時間ほどみておくと当日が落ち着きます。前日にすべて袋に小分けし、1人分ずつセットにしておくと、当日の配布で迷いません。
| 下ごしらえを多めにする | やりすぎたときの落とし穴 |
|---|---|
| 全員が同じ時間に完成する 手が動きにくい方も置いていかれない 当日の進行が読めるので焦らない | 「貼るだけ」で物足りなさが残る 作品が全部似た仕上がりになる 準備した側だけが疲れてしまう |
机の上の配置と道具選びで負担が変わる
同じ作業でも、道具の置き方ひとつで疲れ方が変わります。基本は、よく使うものを利き手側の手前に、共有するものを机の中央に置くことです。
片麻痺がある方の場合、動く側の手だけで作業できる配置にします。紙が滑って進まないときは、滑り止めシートを1枚敷くだけで押さえの手がいらなくなります。鋏は刃先が丸く、ばねで自動的に開くタイプが使いやすく、握力が弱くても閉じるだけで切れます。
のりも見直す価値があります。液体のりはふたを開ける動作と量の調節が必要ですが、スティックのりなら回して塗るだけです。両面テープをあらかじめ貼っておき、はくり紙をめくるだけにする方法もあります。
座位が不安定な方には、机の高さを肘が自然に乗る位置に合わせ、背もたれとの間にクッションを入れて姿勢を安定させます。体幹が安定すると手の細かい動きが出しやすくなるため、道具の工夫より先に姿勢を見るのが順序として正解です。
座ったままできるレクのバリエーションは、こちらもあわせてどうぞ。

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目が見えにくい方にやさしい配色にする
飾りの色選びは、好みだけで決めないほうがうまくいきます。加齢によって目の水晶体は黄色く濁っていき、視界に黄色から茶色のベールがかかったような見え方になるためです。
この変化により、青系の色が識別しにくくなります。青と黒は明度が近く、青が黒っぽく沈んで見えます。黄と白も見分けがつきにくくなります。一方で、明るく彩度の高い赤・オレンジ・黄緑は、黄変が進んだ目にもはっきり発色します。クリスマスの赤と緑は、実はこの点で相性のよい組み合わせです。
読みやすさの原則は「明るい背景色×暗い文字色」で、白背景に黒文字が最も読みやすいとされます。壁面にメッセージを添えるときは、濃い色の台紙に濃い文字を重ねないよう気をつけてください。白内障がある方は白が黄色っぽく見えるため、白い紙に淡い色のペンで書いた文字は読み取りにくくなります。
くわしくは、公益財団法人長寿科学振興財団の健康長寿ネット「高齢者の色覚の老化」にまとめられています。飾りを作る前に一度目を通しておくと、色選びの基準がはっきりします。
飾りつけの前に確認したい安全のこと
作るところまでは和やかに進んでも、事故が起きやすいのは「飾る」段階です。ここは楽しさより先に、確認しておくべきことがあります。
高い場所に飾るために脚立に乗らない
もっとも避けたいのが、脚立や踏み台に乗っての飾りつけです。国民生活センターが2019年3月28日に公表した資料には、はっきりした数字が出ています。
医療機関ネットワークに寄せられた脚立・はしごが関係する事故は458件、うち転落事故が433件で約95%を占めました。433件のうち死亡事故が3件、入院を必要とする事故が206件(47.6%)にのぼります。年代別では60〜70歳代が236件で全体の54.5%、75歳以上も118件(27.3%)を占めました。症状で最も多かったのは骨折で170件(39.3%)です。
(出典:独立行政法人国民生活センター「思わぬ大けがに!高齢者の脚立・はしごからの転落」2019年3月28日公表)
数字の背景には、加齢による身体機能の変化があります。同資料では、若年層は転落時に手や足をついて受け身をとるのに対し、高齢者は受け身をとれないまま後方へ転落する傾向が指摘されています。だから頭頸部や胴体のけがが増えます。
実際に起きやすい失敗は、「ちょっとだけだから」と椅子に乗ってガーランドの端を留めようとする場面です。片手がふさがった状態で背伸びをすれば、重心は簡単に崩れます。65歳以上では骨折・転倒が介護が必要となる原因の第4位(12.5%)を占めており、たった一度の転落が生活を変えてしまうことがあります。飾る高さは、床に立って手が届く範囲までと決めてください。高い場所に飾りたいときは、必ず若い家族や職員に頼みましょう。詳細は国民生活センターの公表資料で確認できます。
施設の壁面装飾は消防法の視点でも見る
介護施設やデイサービスで壁面を飾るときは、消防法の考え方を知っておくと判断に迷いません。消防庁の資料によれば、防炎物品の使用が義務づけられる防火対象物には、病院・福祉施設・保育所といった避難が困難な人が利用する施設が含まれます。
防炎対象物品とされているのは、カーテン、布製のブラインド、暗幕、じゅうたん等、展示用の合板、どん帳など舞台で使う幕や大道具用の合板です。折り紙の飾りそのものが直ちに規制対象になるわけではありませんが、布を大きく垂らす飾りや、間仕切りのように使う装飾は、この考え方が関わってきます。
もう一つ重要なのが避難経路です。防火対象物の管理者は、廊下・階段・避難口など避難上必要な施設について、避難の支障になる物件が放置されないよう管理しなければならないとされています。廊下を横切るガーランド、非常口の表示を隠すリース、階段の手すりに巻きつけたモールは、この観点から見直しが必要です。
迷ったら、施設の防火管理者に飾る場所を事前に相談するのが確実です。判断の根拠は消防庁の防炎品に関するページにまとまっています。飾りを作る前に飾る場所を決めておけば、作り直しも防げます。
小さなパーツは口に入るものとして扱う
ビーズ、スパンコール、ボタン電池、小さなオーナメント。工作の材料には、口に入る大きさのものが多く含まれます。
認知症のある方が同席する場では、材料を目の前に山盛りに置かないことが基本です。使うぶんだけを小皿に分け、作業が終わったらすぐ回収します。これは「疑う」ということではなく、判断力の低下があるときに、手の届く範囲に紛らわしいものを置かない環境づくりの話です。丸くて色のついたビーズは、飴に見えることがあります。
代替案としては、ビーズの代わりに丸シールを使う、スパンコールの代わりに折り紙を丸く切ったものを使う方法があります。見た目のきらめきが必要なら、モールを短く切って使えば、口に入る大きさでも飲み込みにくい形状になります。
作業の終わりには、机の下と床を必ず確認してください。落ちた小さなパーツは、そのあと車椅子の車輪に踏まれたり、次の食事の時間に見つかったりします。片付けまでを工作の一部として組み込むのが安全です。
グルーガンとやけどの距離感
材料の章でも触れましたが、やけどのリスクはあらためて確認しておく価値があります。グルーガンは低温タイプでも約120度前後、高温タイプは約170度前後で樹脂が溶けます。
危ないのは、溶けたグルーが皮膚についたときです。樹脂は冷えるまで皮膚の上にとどまるため、熱が伝わり続けます。とっさに払いのけようとして、逆に広い範囲を触ってしまうこともあります。皮膚の感覚が鈍くなっている方や、糖尿病で末梢の感覚が低下している方は、気づくのが遅れます。
対策は単純で、参加者にはグルーガンを持たせないことです。どうしても必要な接着は、職員や家族が別の机で行い、冷めてから参加者に渡します。作業机の上に電源コードが伸びていること自体もリスクなので、グルーガンを使う場所は物理的に分けてください。
やけどしたときは、すぐに流水で冷やします。固まったグルーを無理にはがすと皮膚まで一緒にはがれることがあるため、自己判断ではがさず、痛みや水ぶくれがあるときは医療機関を受診してください。
飾りに一言添えると、会話がぐっと続く
飾りが完成したあと、「これはどういう意味があるの」と聞かれることがあります。ちょっとした由来を知っておくと、飾りを眺める時間が思い出話につながります。
リースの輪に込められた3つの意味
クリスマスリースには、「永遠」「豊穣」「魔除け」という3つの意味が込められているとされます。飾りとしての形の美しさだけでなく、願いを込めた道具でもありました。
輪の形が「永遠」を表すのは、始まりも終わりもなく途切れないからです。日本のしめ縄や輪飾りにも通じる考え方で、そう説明すると腑に落ちる方が多くいます。豊穣の意味は、リースの土台に使われる常緑樹や松ぼっくりに、実りへの願いが込められていることに由来します。
魔除けの意味は、常緑樹が持つ生命力の象徴としての性格からきています。冬になっても葉が落ちない木は、生命力の源とされ、悪いものから身を守ると信じられてきました。お正月に松を飾る日本の習慣と重ねて話すと、「うちの実家もそうだった」という話に広がります。
手作りのリースに、この意味を書いた小さなカードを添えてみてください。飾りが単なる装飾から、意味のあるものに変わります。ご家族が面会に来たときの話題にもなります。
ヒイラギのとげとポインセチアの赤の由来
リースによく使われるヒイラギは、正式にはセイヨウヒイラギといいます。ホーリー、クリスマスホーリーとも呼ばれる、モチノキ科モチノキ属の常緑小高木です。
深緑色のつやのある葉には、縁に鋭いとげがあります。このとげは、キリストがかぶったイバラの冠をイメージしているとされます。赤い実はキリストの血を表すという解釈もあり、リースの赤と緑の配色には物語が背景にあります。
ポインセチアがクリスマスに飾られるようになったのは、17世紀にメキシコに来た修道僧たちが、キリストの誕生祭の行列で使ったのが発端といわれています。赤は「キリストの血」、緑は「永遠の象徴」、白は「純潔」を表すとされ、3色そろって意味を持ちます。
こうした由来を全部覚える必要はありません。「この赤には意味があるらしいですよ」と一言添えるだけで、色を選ぶ時間が変わります。何色にしようかと迷っていた方が、理由を持って赤を選ぶようになります。
いつから飾って、いつ片づける?
飾る時期に厳密な決まりはありませんが、目安を知っておくと準備の計画が立てやすくなります。
欧米では、クリスマスから数えて4週間前、11月30日に最も近い日曜日から飾り始める習慣があります。日本では、11月下旬から飾り始め、年内に正月準備のために片付けるという流れが最も一般的です。施設なら、12月の初めに飾り、クリスマス会の翌週に片付けて正月飾りに切り替えるのが自然な運びです。
キリスト教では、12月25日から1月5日までの12日間を降誕節と呼び、その翌日の1月6日である公現祭にツリーを片付けるとされています。日本の暮らしでは正月飾りと重なるため、この日まで残すことはあまりありませんが、「本来はもっと長く飾るものだった」と知っていると、片付けを急ぐ気持ちが少しゆるみます。
作る日は「飾る日の1週間前」に設定するのがおすすめです。松ぼっくりの乾燥やボンドの乾き待ちがあるうえ、体調で参加できない方が出ても予備日を確保できます。12月に入ってから慌てるより、11月下旬に一度作る日を決めてしまうほうが落ち着いて進みます。
来年も使うための保管のひと手間
手作りの飾りは、しまい方しだいで来年も使えます。捨てずに残せば、翌年は作る負担が半分になります。
紙の飾りは、平らなまま大きめの封筒か紙袋に入れ、湿気の少ない場所で保管します。折り紙は重ねると色が移ることがあるため、間に白い紙を挟んでおくと安心です。毛糸のポンポンは押しつぶすと形が戻らなくなるので、菓子の空き箱などに詰めすぎずに入れます。
松ぼっくりやLEDキャンドルは、素材ごとに分けて保管します。LEDキャンドルは電池を抜いてからしまうのが鉄則です。入れたままだと液漏れして本体が使えなくなります。
保管箱の外側に、中身と作った年を書いておくと、翌年の11月に迷わず取り出せます。作品を並べて「これは去年の」「これは一昨年」と見比べる時間は、それ自体が回想のきっかけになります。何年か続けると、飾りが年ごとのアルバムのようになっていきます。
まとめ
クリスマス飾りの手作りでいちばん大切なのは、上手に仕上げることではなく、飾り終わったあとに「みんなで作ったね」と言える時間が残ることです。工程を減らし、材料を安くそろえ、選ぶ楽しみを本人に残す。この3つを押さえれば、指の力が弱くなった方も、目が見えにくくなった方も、最後まで輪の中にいられます。まずは赤い折り紙を1枚、机に置くところから始めてみてください。5分後には、あなたの手のなかにサンタの顔ができています。
なお、100円ショップの商品は店舗や時期によって品ぞろえが変わります。制度や公的資料の内容も改定されることがあるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。

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