生前葬儀とは?費用1万~5万円の自宅型から始める形式別相場と準備の流れ

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「生前葬儀って、まだ元気なのにお葬式をするの?」「縁起でもないと家族に言われそう」。終活という言葉がすっかり身近になった今でも、生前葬儀については、こんなふうに首をかしげる方が少なくありません。一方で、同窓会やお友だちとの集まりで「実はね、生前葬をやろうかと思っていて」と打ち明けられ、どう返事をしたらいいのか迷った、という声もよく耳にします。

先に結論をお伝えすると、生前葬儀は「元気なうちに、お世話になった人へ自分の口からありがとうを伝える会」です。形式に決まりはなく、自宅での小さな集まりならば1万~5万円、ホテルの宴会場を使う華やかな会なら120~150万円程度と、規模によって費用の幅は大きく変わります。そして見落とされがちなのが、生前葬をしても亡くなった後の火葬や見送りは別に必要になる、という点です。

この記事では、生前葬儀の意味と歴史、メリットとデメリット、形式別の費用相場、準備から当日の流れ、招かれた側の服装や会費のマナー、家族との話し合い方までを、お茶を飲みながらおしゃべりするような気持ちで順番にお話しします。「自分がやるかどうか」を考えている方にも、「招待状が届いて戸惑っている」方にも役立つ内容にまとめました。

📝 この記事でわかること
・生前葬儀とはどんな会で、ふつうのお葬式と何が違うのか
・自宅・式場・ホテルなど形式別の費用相場と選び方
・招待状づくりから閉会までの流れと、よくある失敗
・招かれた側の服装・会費・言葉づかいのマナー
目次

生前葬儀とは?亡くなる前に自分で開く「ありがとうの会」

生前葬儀とは?亡くなる前に自分で開く「ありがとうの会」の解説画像

一言でいえば「主役が自分で主催するお葬式」

生前葬儀とは、本人が亡くなった後ではなく、元気なうち・動けるうちに行うお葬式のことです。ふつうのお葬式は遺族が喪主となって故人を見送りますが、生前葬では本人が主催者となり、家族や友人へお礼を伝える儀式として開かれます。葬儀社のコラムでは「亡くなる前に儀式の場を設けて、家族や友人へお礼を伝える場」と説明されています(出典:お葬式のいろは「生前葬とは」)。

なぜこうした形が生まれたのかといえば、「お世話になった人に、どうせなら自分の口で直接お礼を言いたい」という気持ちが出発点にあるからです。亡くなった後のお葬式では、どれほど感謝していても本人は何も伝えられません。生前葬は、その順番を入れ替えた会だと考えるとわかりやすいでしょう。

具体的には、親しい友人や親戚を招いて、これまでの人生を写真や映像で振り返り、会食をしながら思い出話に花を咲かせる、という内容が一般的です。ただし「お葬式」と名前がついていても、必ずしもお坊さんを呼んでお経をあげる必要はありません。どこまで儀式らしくするかは、主催する本人の考え方次第です。

「お別れの会」「さよなら会」など呼び名はいろいろ

生前葬儀は、生前葬のほか「お別れの会」「さよなら会」と呼ばれることもあります。呼び名に厳密な決まりはなく、招待状に何と書くかも主催者が自由に選べます。

呼び名が複数あるのは、「葬」という字に抵抗を感じる人が多いからだと考えられます。とくに親戚の中にご高齢の方がいると、「葬儀」の二文字だけで顔色が変わることもあるでしょう。そこで、案内状ではあえて「感謝の会」や「さよなら会」とやわらかく表現し、中身で生前葬の趣旨を伝える方法をとる人もいます。

ひとつ気をつけたいのは、亡くなった後に開かれる「お別れの会」と混同されやすい点です。有名人や会社の役員が亡くなった後、密葬を済ませてから開く偲ぶ会も「お別れの会」と呼ばれます。招待状を受け取った人が「どなたか亡くなったの?」と驚かないよう、「私が元気なうちに皆さんに会いたくて開く会です」と一文添えておくと安心です。

日本で知られるようになったのは2000年頃から

生前葬が一般に認知されるようになったのは、2000年頃からとされています。歴史としてはまだ浅く、世代によって受け止め方に差が出やすい習慣です。

背景には、終活への関心の高まりがあります。自分の最期を家族任せにせず、元気なうちに準備しておこうという考え方が広がるなかで、「お葬式そのものも自分で決めたい」と考える人が出てきました。近年では終活の一環として注目されている、と紹介する葬儀関連のコラムもあります(出典:マツドヤ 生前葬コラム)。

とはいえ、実際に生前葬を開いた人が身近にいる、という方はまだ少数派でしょう。だからこそ、主催する側は「自分にとっては前向きな会でも、周りには初めての経験だ」と意識しておくことが大切です。地域によっては昔ながらの葬送のしきたりを重んじる土地柄もあり、都市部より理解が得られにくいこともあります。

📊 データで見る生前葬の基本
・定義:本人が元気なうち・動けるうちに行うお葬式。本人が主催者
・別称:生前葬、お別れの会、さよなら会
・認知時期:2000年頃から一般に知られるようになった
・主な目的:感謝を伝える/人生を振り返る/死後の家族の負担を減らす
(出典:ALSOK「生前葬とは」ほか葬儀社各社のコラム)

なぜ元気なうちに?生前葬を選ぶ人が大切にしている3つの思い

「ありがとう」を自分の声で届けられる

生前葬を選ぶ理由として最も多く挙げられるのが、お世話になった人に直接感謝を伝えたい、という思いです。葬儀社のコラムでも、生前葬のメリットとして「本人が直接感謝の気持ちを伝えられる」ことが真っ先に紹介されています。

考えてみれば、長い人生の中でお礼を言いそびれた相手は誰にでもいるものです。若いころに仕事で助けてくれた先輩、子育て中に子どもを預かってくれたご近所さん、病気のときに毎日電話をくれた友人。亡くなった後のお葬式では、こうした方々が集まってくれても、本人は一言も返せません。

生前葬なら、一人ひとりの顔を見ながら「あのときは本当に助かりました」と伝えられます。手紙やメールでも気持ちは届きますが、同じ部屋で笑い合いながら伝える言葉には、また違った温かさがあるものです。ただし、招待する人数が増えるほど、一人と話せる時間は短くなります。本当に言葉を交わしたい相手が誰なのかを、最初に書き出しておくとよいでしょう。

人生を振り返り、思い出を分かち合う節目になる

二つ目の理由は、自分の人生をいったん振り返り、その思い出を大切な人と共有したいという気持ちです。還暦や古希、喜寿のお祝いと同じように、人生の節目として生前葬を位置づける人もいます。

準備の過程で古いアルバムを開き、写真を選び、映像にまとめていくと、忘れていた出来事が次々とよみがえってきます。「この写真の日、あなたも一緒だったね」と当日スライドを見ながら話せば、参加者にとっても懐かしい時間になるでしょう。生前葬は何か月もかけて自分で納得のいく内容を準備できる、という柔軟さもメリットとして挙げられています(出典:金宝堂 生前葬コラム)。

注意したいのは、振り返りが「自分史の発表会」だけで終わってしまうことです。デメリットの章でも触れますが、参加者が退屈しない構成にするには、みんなが一緒に写っている写真を多めに選ぶ、参加者に一言ずつ話してもらうなど、「共有」の部分を意識するのがコツです。

亡くなった後の家族の負担を軽くしたい

三つ目の理由は、死後の葬儀で家族にかかる負担を減らしたい、という思いです。遺族は通常、亡くなってすぐに慌ただしく葬儀の準備を進めることになりますが、本人が事前に対応しておくことで家族の苦労を減らせる、と葬儀社のコラムでは説明されています。

たとえば、生前葬で親しい友人や仕事関係の方にひととおりお別れを済ませておけば、亡くなった後は家族だけで静かに見送る、という選択もしやすくなります。誰に連絡すればよいのか、どこまで知らせるのかといった判断を、悲しみの中で家族が一から考えなくて済むのは大きな助けになるはずです。

ただし、生前葬をしたからといって、亡くなった後に何もしなくてよいわけではありません。火葬は別に必要になりますし、遺された家族が「やはりきちんと見送りたい」と考えることもあります。負担を減らすつもりが、かえって家族を迷わせないよう、生前葬の段階で亡くなった後の段取りまで決めておくことが大切です。身の回りの整理とあわせて考えると、家族の負担はさらに軽くなります。

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💡 暮らしの知恵
「生前葬をやるかどうか」を決める前に、まず「誰に、何のお礼を伝えたいか」を紙に書き出してみてください。名前が五人ほどしか浮かばないなら、自宅での食事会や、一人ずつ会いに行く「お礼参り」でも十分気持ちは届きます。数十人の名前が並んだら、会場を借りた生前葬を検討する価値があります。

見落とされがちなデメリットと「費用が二重にかかる」問題

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生前葬をしても、亡くなった後の見送りはなくならない

生前葬の最大の注意点は、生前葬を終えた後も、亡くなった際には通夜や火葬を執り行う必要があり、新たに葬儀費用がかかることです。「生前葬を済ませたから、もうお葬式は要らない」とはならないのです。

これは、生前葬があくまで「生きている人の会」であり、亡くなった後の手続きや火葬とは別物だからです。複数の葬儀社コラムでも、生前葬の後に遺族が別途葬儀を行う可能性があり、結果として費用が二重にかかる場合がある、と注意を促しています。

具体的には、生前葬にかけた費用に加えて、亡くなった後に火葬のみのシンプルな見送りをするのか、家族葬を行うのかによって、もう一度費用が発生します。生前葬を検討する段階で「亡くなった後はこうしてほしい」という希望までセットで決め、その分の費用も見込んでおくと安心です。どちらにどれくらいかけるかは家庭ごとに違いますので、葬儀社に両方まとめて相談するとよいでしょう。

「縁起でもない」と受け取られることがある

二つ目のデメリットは、周囲の理解を得にくいことです。生前葬はまだ世間に広く浸透しておらず、「不謹慎」「縁起でもない」と捉えられがちだと指摘されています。

とくに親戚付き合いを大切にする地域や、仏事のしきたりを重んじる家庭では、「生きているうちに葬式なんて」と眉をひそめる人がいても不思議ではありません。お葬式は亡くなった後に行うもの、という認識が根強いため、親族に反対されるケースもあります。

一方で、同じ内容でも伝え方ひとつで受け止め方は大きく変わります。「葬儀をします」ではなく「元気なうちに、お世話になった皆さんにお礼を言う会を開きたい」と説明すると、案外すんなり納得してもらえることもあります。反対する人の気持ちも、実は「縁起が悪い」より「何か病気を隠しているのでは」という心配から来ていることが少なくありません。その不安を先に取り除いてあげることが近道です。

自分史の披露に終始して、参加者が置いてけぼりに

三つ目は、内容づくりの難しさです。生前葬は自分の人生の披露に終始しがちで、参加者全員にとって有意義な会にすることが課題だと言われています。

主役が自分である以上、スライドもスピーチも自分中心になるのは自然なことです。ところが、招かれた側から見ると、知らない時代の写真が延々と続けば退屈になってしまいます。仕事関係の人と学生時代の友人と親戚では、共有している思い出がまったく違うからです。

⚠️ よくある失敗①:映像が長すぎて会場がしらけた
状況:若いころからの写真を年代順に並べ、スライドショーだけで会の大半を使ってしまった。後半は参加者同士の私語が増え、肝心の本人の挨拶が聞いてもらえなかった。
原因:「自分が見せたいもの」を基準に写真を選び、参加者が関われる時間を取らなかった。
対策:写真は「その場にいる誰かが一緒に写っているもの」を中心に絞る。映像のあとに参加者代表のスピーチや歓談の時間を必ず挟み、主役と参加者が言葉を交わせる構成にする。

家族が戸惑い、会の意味が伝わらないことも

四つ目は、家族や参加者が不慣れなために戸惑いやすいことです。家族の説得や当日の参加者の戸惑いなど、慣れない会だからこそのつまずきが生じやすいと指摘されています。

たとえば、招かれた人が「喪服で行くべきか」「香典はいるのか」「笑っていいのか」がわからず、当日ぎこちない雰囲気になってしまうことがあります。家族のほうも、「親が自分の葬式の準備をしている」という事実に、寂しさや不安を感じることがあるものです。

これを防ぐには、主催者側が最初から「どんな会にしたいのか」をはっきり言葉にし、家族にも参加者にも共有しておくことです。「服装は平服で」「お香典はご辞退します」「明るい会にしたいので、どうぞ笑ってください」と案内状に書いておくだけで、参加者の迷いはぐっと減ります。

メリットデメリット
本人が直接感謝を伝えられる
自分でプランを決められ自由度が高い
明るい雰囲気の会にできる
何か月もかけて準備できる
死後の家族の負担を軽くできる
亡くなった後の火葬・見送りは別に必要で費用が二重になりうる
「縁起でもない」と理解されにくい
親族に反対されることがある
自分史の披露に偏りやすい
参加者が不慣れで戸惑いやすい

生前葬儀の費用はいくら?形式別の相場を比べてみました

家族だけの小さな会なら1万~5万円が目安

家族や親しい人だけで自宅に集まる小規模な生前葬なら、費用の目安は1万~5万円です(出典:マツドヤ 生前葬コラム)。お料理とちょっとした飾り付け、思い出の写真を用意する程度であれば、ふだんの家族の食事会に近い感覚で開けます。

この規模が安く収まるのは、会場費と人件費がかからないからです。進行役も家族が務め、写真のスライドは自宅のテレビに映せば十分です。お寿司やオードブルを取り寄せれば、準備の手間も抑えられます。

とはいえ、「安いから」という理由だけで自宅を選ぶのはおすすめしません。自宅に招ける人数には限りがありますし、準備や片付けを担うのは結局家族です。高齢の配偶者が一人で料理を用意する、といった無理がかかるなら、近所の飲食店の個室を借りるほうが気楽かもしれません。人数と家族の手間を天秤にかけて決めましょう。

式場でセレモニー形式にするなら20~50万円

葬儀社の式場などを使い、司会進行のあるセレモニー形式で行う場合は、20~50万円が目安とされています。葬儀社によっては、小規模なら約30万円前後で可能としているところもあります(出典:お葬式のいろは)。

式場を使うメリットは、音響や映像設備、控室がそろっていて、進行のプロに任せられることです。宗教者を招いて読経をお願いしたい場合も、葬儀社を通せば手配がスムーズです。費用の内訳は、会場使用料、司会や設営の人件費、飲食、映像制作などが中心になります。

注意したいのは、同じ「セレモニー形式」でも、参加人数と飲食の内容で金額が大きく動くことです。見積もりを取るときは、「何人で、どんな料理を、どのくらいの時間で」と条件をそろえて複数社に依頼すると比較しやすくなります。なお、最小限の葬儀と同程度が相場とみて、一般的な生前葬は30~50万円程度と紹介する葬儀社もあります。あくまで目安で、条件によって変動します。

ホテル・レストランの華やかな会は120~150万円程度も

ホテルのバンケットルームを借りて大勢を招く場合、120~150万円程度かかることもあります(出典:ALSOK「生前葬とは」)。生前葬はホテルの宴会場やレストランを貸し切りにして行われることが多い、と紹介している葬儀社もあります。

ホテルが選ばれる理由は、料理やサービスの質が高く、遠方からの参加者が宿泊しやすいことです。結婚披露宴のように生演奏やプロの映像演出を入れれば、参加者の記憶に残る一日になるでしょう。豪華な記念イベント型の会は50万円以上がひとつの目安とされますが、演出を増やすほど上限はありません。

一方で、ここまで費用をかけると、先ほど触れた「亡くなった後の見送り」の費用と合わせて、家計への負担が重くなります。老後資金とのバランスを考え、「生前葬にはここまで、亡くなった後はここまで」と上限を先に決めておくのが賢明です。見栄を張って規模を大きくし、あとで後悔した、という話も少なくありません。

📊 生前葬の形式別 費用相場比較(高齢者あんしんノート調べ)

形式費用の目安向いている人
自宅など小規模(家族中心)1万~5万円身内に静かに感謝を伝えたい人
式場でのセレモニー形式20~50万円宗教儀式やプロの進行を入れたい人
豪華な記念イベント型50万円以上(目安・変動あり)余興や生演奏で楽しく過ごしたい人
高級ホテル開催120~150万円程度仕事関係も含め大勢を招きたい人

※葬儀社各社のコラム(マツドヤ・ALSOK・お葬式のいろは)の公表値をもとに整理。会場・人数・内容によって大きく変動します。

実は「会費制」にすると費用の見え方が変わる

意外と知られていないけれど、生前葬は香典ではなく会費制で開かれることが多い会です。参加者から会費を受け取れば、主催者が負担する実質的な費用は、見積もり額よりも小さくなります。

会費制が広まっているのは、主催者が健在で「お悔やみ」を受ける立場ではないからです。香典の代わりに会費をいただき、その分を料理や記念品に充てるという考え方で、同窓会やお祝いのパーティーに近い仕組みといえます。参加者側の会費の相場は1~2万円程度とされています(出典:公益社「生前葬」)。

ただし、会費を集める以上、参加者にはそれに見合う料理やおもてなしを用意するのが礼儀です。また、年金暮らしの友人が多い場合は、会費を低めに設定するか、いっそ無料にして「お気持ちだけで結構です」と伝える配慮もあります。お金の話は後からこじれやすいので、案内状の段階ではっきり書いておきましょう。

招待状から閉会まで|準備と当日の流れを順番に

最初に決めるのは「何のための会か」

生前葬の準備で一番はじめにすることは、目的をはっきりさせることです。感謝を伝えたいのか、人生を振り返りたいのか、家族の負担を減らしたいのか。目的によって、ふさわしいスタイルが変わってきます。

目的が決まったら、次は形式を選びます。仏式・神式・キリスト教式など宗教に沿った形式にするのか、無宗教にするのか。さらに無宗教なら、落ち着いたセレモニー形式にするのか、にぎやかなパーティー形式にするのかを考えます。思い出の曲の生演奏や、写真・動画の上映会、カラオケ大会などの余興を盛り込む例も紹介されています(出典:よりそうお葬式「生前葬とは」)。

ここで大切なのは、「世間でよくある形」に合わせようとしないことです。生前葬には決まった型がないのが最大の特徴です。静かにお経をあげてもらいたい人もいれば、家族だけで旅行先の食事会を開きたい人もいます。自分らしさと、招く人の顔ぶれの両方を思い浮かべて決めましょう。

時期・会場・参加者リストと進行役を固める

形式が決まったら、開催時期と場所、参加者リスト、プログラム、進行役の手配を具体的に詰めていきます。会場は自宅、葬儀社の式場、ホテル、貸し切りのレストランなどから選ぶのが一般的です。

時期は、本人の体調が安定している季節を選ぶのが第一です。遠方から来る人がいるなら、お盆や年末年始の帰省シーズンに合わせると集まりやすくなります。参加者リストは、「必ず来てほしい人」「声をかけたい人」「知らせだけしたい人」の三段階に分けておくと、会場の広さを決めやすくなります。

進行役は、家族や友人に頼む方法と、葬儀社やホテルのプロの司会者に任せる方法があります。身内に任せると温かい雰囲気になりますが、頼まれた側は当日ずっと気が抜けません。業者を使う場合は、式の進行、映像演出、音楽の選定、記念品の用意など、細部まで打ち合わせておくことが大切だとされています。

✅ 生前葬の準備ステップ
  1. Step1: 目的を決める(感謝・人生の振り返り・家族の負担軽減)
  2. Step2: 形式を選ぶ(宗教式か無宗教か、セレモニーかパーティーか)
  3. Step3: 時期・会場・参加者リスト・プログラム・進行役を決める
  4. Step4: 生前葬を行う理由を書いた招待状を送り、出欠をとる
  5. Step5: 人数に合わせて飲食を手配し、業者と進行の細部を詰める

招待状には「なぜ生前葬をするのか」を必ず書く

招待状で一番大事なのは、生前葬を行う理由と、どんな思いで開くのかを書き添えることです。葬儀社のコラムでも、これを記載しておくことで参加者の戸惑いを防げると説明されています。

理由を書かないと、受け取った人は「重い病気なのでは」「何かあったのか」と心配してしまいます。生前葬という言葉自体に馴染みのない人も多いので、「元気なうちに、これまでお世話になった皆さまへ直接お礼を申し上げたく、ささやかな会を催します」といった一文があるだけで、受け止め方はずいぶん変わります。

あわせて、服装の指定(平服でよいか)、会費の有無と金額、香典を辞退するかどうかも明記しておきましょう。招待状を発送したら出欠をとり、参加人数に合わせて飲食の手配を完了させる、というのが基本の流れです。

⚠️ よくある失敗②:理由を書かない案内で、友人を心配させてしまった
状況:「生前葬を行います」と日時と場所だけを書いた案内状を送ったところ、古い友人から「病気なの?」と電話が相次ぎ、欠席の返事も目立った。
原因:生前葬に慣れていない相手の気持ちを想像せず、会の趣旨を説明しなかった。
対策:招待状に「元気なうちに感謝を伝えたい」という理由と、明るい会にしたいという思いを一文で添える。服装・会費・香典の扱いも明記し、心配の種を先に摘んでおく。

当日の流れと、終わったあとにすること

当日の流れは、開会の言葉、主催者本人による挨拶、人生をたどる映像演出、参列者代表のスピーチ、余興、会食、閉会の言葉という順番が一般的です。通常の葬儀よりも明るく、最後の時間を楽しむ構成が多いと紹介されています。

最初の本人挨拶では、なぜ生前葬を開こうと思ったのかを自分の言葉で話すと、会場の空気がぐっとやわらぎます。そのあとスライドや映像で人生を振り返り、友人や親族にスピーチをお願いします。カラオケやダンス、音楽演出などで楽しく過ごし、会食で歓談したあと、もう一度本人から締めの挨拶をして閉会、という流れです。

会が終わったら、参加者へのお礼状の送付、当日の写真や動画の共有、そして家族との「亡くなった後の葬儀」に関する確認を行います。この最後の確認が抜けやすいのですが、せっかく生前葬を開いたのなら、その思いが死後の見送りにもきちんとつながるよう、家族と話をまとめておきましょう。

招かれたらどうする?服装・会費・言葉づかいのマナー

服装は「平服」が基本、でも主催者に確認を

生前葬に招かれたときの服装は、平服(略礼装)を指すことが多く、ブラックスーツや濃紺のスーツなど落ち着いた色合いが無難です。主催者が健在なので、喪服でなくてよい場合がほとんどです。

とはいえ、生前葬の雰囲気は主催者の意向で大きく変わります。「しんみりした会にしたくない」「明るく楽しくやりたい」という人もいれば、読経を含むきちんとした儀式を望む人もいます。平服でよい場合もあるものの、主催者の意向による部分が大きいので、参列する場合は直接問い合わせて確認しておくと安心だとされています(出典:公益社「生前葬に関するよくあるご質問」)。

案内状に「平服で」とあっても、真っ赤なワンピースや派手なアロハシャツは避けたほうが安全です。一方、ホテルでのパーティー形式なら、黒一色だとかえって浮いてしまうこともあります。迷ったら紺やグレーのスーツ、落ち着いた色のワンピースにしておけば、どちらの雰囲気にもなじみます。

香典は基本的に不要、会費は1~2万円程度が目安

生前葬では、香典は持参しなくてもよいとされています。会費制で実施されることが多く、香典の代わりに本人を温かく見守ることが期待される、という考え方です(出典:よりそうお葬式)。

会費が設定されている場合、その相場は1~2万円程度とされています。封筒に入れて渡すときは、表書きに「御花料」などと書くのが一般的です。「御霊前」「御香典」は亡くなった方に対する言葉なので、生きている主催者には使わないよう気をつけましょう。

ただし、主催者が会費も香典も辞退する場合があります。その場合は無理に包まず、案内に従うのが礼儀です。どうしても気持ちを表したいときは、会の後に手紙を送ったり、本人の好きなお花やお菓子を後日届けたりするほうが、相手の負担になりません。案内状に何も書かれていなければ、主催者か家族にさりげなく確認しておくと安心です。

忌み言葉は避けつつ、笑顔と拍手はむしろ歓迎

生前葬での言葉づかいは、和やかな気持ちで挨拶を済ませ、忌み言葉や重ね言葉を避けるのが基本です。一方で、演出に対して笑顔を見せたり拍手をしたりしてもかまいません(出典:よりそうお葬式)。

「重ね重ね」「たびたび」などの重ね言葉や、「最後」「消える」といった不吉な印象の言葉は、ふつうのお葬式と同じように避けておくと無難です。忌み言葉の言い換えに自信がない方は、下の記事で一覧を確認しておくと当日慌てずに済みます。

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一方で、ふつうのお葬式と大きく違うのは、しんみりしすぎる必要がないことです。主役は目の前で元気に笑っています。スライドで懐かしい写真が映れば声を上げて笑い、スピーチには拍手を送りましょう。「お元気なうちにこうして会えてうれしいです」と伝えれば、それだけで主催者にとって何よりの贈り物になります。

✅ 招かれた側のチェックリスト
  • ☐ 案内状で服装・会費・香典の扱いを確認したか
  • ☐ 書かれていない点は主催者か家族に確認したか
  • ☐ 会費の封筒の表書きは「御花料」などにしたか
  • ☐ 忌み言葉・重ね言葉を使わない挨拶を考えたか
  • ☐ 欠席する場合、早めに連絡したか

欠席するならできるだけ早く、気持ちは手紙で

生前葬に参加できない場合は、なるべく早い段階で主催者に知らせるのがマナーです。会費制の会では、人数に合わせて料理や記念品を手配しているからです。

ふつうのお葬式は急に日程が決まるため、欠席しても仕方ないと受け止められやすいものです。しかし生前葬は何か月も前から準備されているので、返事が遅れると主催者の手配に影響します。出欠の返信は届いたらすぐ、少なくとも締め切りの前には出しましょう。

欠席の連絡には、お祝いやお礼の気持ちを込めた手紙を添えると喜ばれます。「当日は伺えませんが、これまでのご縁に感謝しています」と一言あるだけで、主催者の心は温まるものです。ただし、「生前葬なんて縁起でもない」といった否定的な言葉を理由に書くのは避けましょう。考え方が合わなくても、相手が悩んだ末に決めた会であることを尊重したいものです。

家族に反対されないために|亡くなった後の段取りまで話し合う

まず家族に相談、ひとりで決めて進めない

生前葬を円滑に開くには、家族や周囲の協力が欠かせません。自分本位に話を進めず、費用や内容について家族や親族に相談し、理解や協力を得ることが大切だとされています(出典:いい葬儀「生前葬とは」)。

ひとりで決めてから「もう会場も押さえたから」と家族に伝えると、内容以前に「相談してくれなかった」ことへの寂しさで反対されがちです。とくに子ども世代は、親が自分の葬儀の準備をしていると知ると、体調が悪いのではと心配になります。最初の相談は、まず元気であることを伝え、「元気だからこそやっておきたい」と理由を話すところから始めましょう。

家族の意見は一度で揃わないことも多いものです。反対されたら、規模を小さくして家族だけの食事会から始める、名称を「感謝の会」に変えるなど、歩み寄れる点を探すのが現実的です。

「縁起が悪い」と言われたときの伝え方

親族から「縁起が悪い」と反対されたときは、生前葬の目的を丁寧に説明し、本人の思いを尊重してほしいと伝えるのが近道です。故人の遺志として生前葬を望む場合、遺志を尊重したいとしっかり伝えることで親族の理解が得られやすくなる、と葬儀関連のコラムでも紹介されています。

「縁起」という言葉の裏には、「死を早めるのでは」という漠然とした不安が隠れていることがあります。そうした相手には、還暦や米寿のお祝いと同じく「人生の節目にお礼を言う会」だと説明すると受け入れてもらいやすくなります。

⚠️ 気をつけたいこと
生前葬の話を、お盆や法事など親族が大勢集まる場で初めて切り出すのは避けましょう。一人が反対すると周りも同調しやすく、話がこじれがちです。まず配偶者や子ども、次に兄弟姉妹と、少人数ずつ順番に相談していくほうが、それぞれの本音を聞けます。

それでも理解が得られない場合は、無理に押し通さないという選択肢もあります。生前葬は本来、感謝を伝える会です。家族との関係がぎくしゃくしてしまっては本末転倒ですから、「今回は見送って、元気なうちに一人ずつ会いに行く」という形に切り替えるのも、立派な答えのひとつです。

亡くなった後のお迎えから火葬までを決めておく

生前葬を検討する際は、亡くなった後のお迎えから火葬までを事前に家族と話し合っておくことが重要です。生前葬をしても、亡くなった後の火葬を省くことはできません。

ここを決めずにおくと、いざというとき家族は「生前葬をしたのだから、もう葬儀はしなくていいのか」「親戚には知らせるべきか」と迷ってしまいます。生前葬の後に亡くなった際の葬儀の形式、火葬の手配、誰に知らせるかを、生前葬の準備と同じタイミングで決めておきましょう。

具体的には、「亡くなった後は家族だけで火葬のみ」「生前葬に来てくれた友人には、落ち着いてからはがきで知らせる」といった希望を書き残しておくと、家族はその通りに動けます。どの葬儀社に頼むか、費用をどこから出すかまで決めておけば、なお安心です。こうした希望は口約束にせず、紙に残しておくのがいちばん確実です。

希望はエンディングノートに書いて家族と共有

生前葬と死後の見送りについての希望は、エンディングノートに書いて家族と共有しておくのがおすすめです。口で伝えただけでは、年月がたつうちに家族の記憶があいまいになってしまいます。

エンディングノートには、生前葬を開いた日付と参加者、亡くなった後の葬儀の形式、知らせてほしい人の連絡先などを書いておきます。とくに「生前葬で誰にお別れを済ませたか」の記録は、死後の連絡範囲を決めるときに家族の大きな助けになります。

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読者タイプ別にみると、身内だけで静かに感謝を伝えたい人は自宅や飲食店での小さな会、仕事関係や趣味仲間も多い人は式場やホテルでの会、そして体力に不安がある人は無理に大きな会を開かず、エンディングノートと手紙で気持ちを残す方法が向いています。どれを選んでも、家族と希望を共有しておくことがいちばんの土台になります。

💡 暮らしの知恵
家族との話し合いは、生前葬の見積もりを取るときに一緒に葬儀社へ足を運ぶのが自然なきっかけになります。専門家を交えると、生前葬と亡くなった後の見送りの両方について、感情的にならずに話を進めやすくなります。

まとめ|生前葬儀は「感謝を伝える会」、死後の段取りとセットで考えよう

🍀 この記事の結論

生前葬儀は元気なうちに自分で開く感謝の会で、形式も費用も自由に決められる。まず家族に相談し、亡くなった後の段取りまで決めておこう。

✅ 要点チェック
  • ✔ 生前葬とは:本人が主催するお礼の会
  • ✔ 費用:自宅なら1万~5万円が目安
  • ✔ 注意点:死後の火葬は別に必要
  • ✔ 招待状:開く理由を一文添える
  • ✔ 参列マナー:平服・香典不要が基本

生前葬を考えはじめたら、最初の一歩として「ありがとうを伝えたい人」の名前を紙に書き出し、その紙を持って家族とお茶を飲みながら話してみてください。会の規模も形式も、そこから自然に見えてきます。招待状を受け取った方は、主催者の思いを受け止め、案内に沿って温かい気持ちで出かけてみてはいかがでしょうか。

※費用やマナーは葬儀社・地域・主催者の意向によって異なります。最新情報は各葬儀社の公式サイトでご確認ください。

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シニア世代の暮らしに役立つ情報を発信中。孫へのお祝いマナーや冠婚葬祭のしきたり、健康管理や終活の準備まで、日常の「困った」を解決する記事を心がけています。ご家族の方にも読んでいただける、安心できる情報源を目指しています。

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