正月飾りを高齢者と手作り|110円で簡単にできる7つのアイデアと飾る時期のコツ

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年末が近づくと、玄関に飾るしめ飾りをどうするか迷う方は少なくありません。買えば済む話ではあるのですが、「せっかくなら自分で作ってみたい」「デイサービスのレクで何か正月らしいものを作りたい」と考えている方も多いはずです。ただ、手先が以前ほど動かなくなってくると、細かい作業や道具の多い工作は身構えてしまいますよね。

結論から言うと、正月飾りの手作りは高齢者でも十分にできます。しかも、材料は100円ショップで買える110円のものと、家にある紙皿や牛乳パックでほぼ足ります。折り紙を折って貼るだけの飾りなら15分、少し手をかけた門松でも30分あれば形になります。難しいのは技術ではなく、「どこまで自分でやるか」の線引きのほうです。

この記事では、正月飾りに込められた本来の意味から、材料費と所要時間の一覧、作り方の具体的な手順、飾る時期としまう時期、そして施設や自宅で安全に作るための配慮まで、順を追って整理していきます。作品ごとに必要な材料と時間を先に把握しておけば、当日になって足りないものが出てあわてる、ということもなくなります。

📝 押さえておきたいポイント
・正月飾りは「飾り」ではなく、年神様を迎えるための目印。手作りでも意味は変わらない
・材料は110円の道具と家にある紙皿・牛乳パックでそろう。買い足しは最小限でよい
・飾り始めは12月13日以降、外すのは関東で1月7日・関西で1月15日が目安
・誤飲とはさみの扱いだけは、作り始める前に必ず段取りしておく
目次

正月飾りを高齢者と手作りする前に、知っておきたい3つのこと

正月飾りを高齢者と手作りする前に、知っておきたい3つのことの解説画像

正月飾りは「飾り」ではなく、年神様を迎える目印

正月飾りは部屋を華やかにするための装飾ではありません。北海道神社庁の説明によれば、門松は「来臨する歳神さまの依り代」であり、しめ縄は「神聖な場所と他を区別する縄」とされています。つまり、飾りそのものが神様の居場所を示す役割を持っているわけです。

この考え方は日本神話にさかのぼります。天照大神が天の岩戸から出た際、再び入らないようしめ縄で戸を塞いだという話が由来とされ、「しめ」には神様の占める場所という意味があるといわれています。門松についても「松は千歳を契り、竹は万歳を契る」と言われ、松と竹を組み合わせることで神の依代の永遠を願ってきました。松は「神を待つ」に通じ、冬でも緑を保ち樹齢が長いことから不老長寿を、竹は真っ直ぐ伸びて折れにくいことから誠実さや強い志を表します。

意味を知って作ると、手を動かす時間そのものが変わります。ただ紙を丸めているのではなく、年神様を迎える準備をしているのだと思えば、多少ゆがんでいても気にならなくなります。施設のレクで説明を添えると、「昔は実家で親が作っていた」という話が出てくることも多く、回想のきっかけにもなります。

注意したいのは、意味を語りすぎて「正しく作らないといけない」という空気にしないことです。形式にこだわりすぎると手が止まります。由来は最初に一言添える程度にとどめ、作業中は自由にさせるほうが結果的にうまくいきます。

手作りでも構わない。大事なのは「毎年新しくすること」

手作りの飾りでは失礼にあたるのでは、と気にする方がいますが、その心配は要りません。北海道神社庁は、正月には「神札や注連縄を新しくする必要があります」と説明しています。重視されているのは既製品かどうかではなく、年ごとに新しいものに替えることです。

そもそも、しめ縄や門松は各家庭で藁や松を使って作るものでした。ホームセンターや量販店で完成品を買うようになったのは近年の話で、手作りのほうがむしろ本来の姿に近いといえます。地域によっては、いまも年末に集落で藁を編む行事が残っています。

ただし、飾りなしのしめ縄については「一年を通して張っておきます」とされており、神棚のしめ縄と玄関のしめ飾りでは扱いが違います。神棚のしめ縄まで工作で作り替える必要はありません。手作りの対象は、玄関やリビングに飾るしめ飾り・門松・鏡餅・干支飾りといった、正月の期間だけ飾るものと考えておくと迷いません。

やりがちな失敗は、去年作った手作り飾りを「もったいないから」ともう一年使ってしまうことです。気持ちはわかりますが、新しくすることに意味がある以上、去年の飾りは後述する方法で納め、今年の分を作るのが筋になります。逆に言えば、毎年作る前提だからこそ、材料費を抑えた作り方に価値があります。

施設で作るとき、宗教のことはどう考えればいい?

デイサービスや老人ホームで正月飾りを作る際、宗教行事にあたるのではないかと気にする職員の方がいます。実務的には、正月飾りは年中行事・季節行事として扱われるのが一般的で、宗教的な儀礼として位置づけて行うわけではありません。とはいえ、利用者の中に別の信仰を持つ方がいる場合は配慮が必要です。

現実的な落としどころは、宗教色の薄いモチーフを選ぶことです。干支の動物、梅や松などの植物、扇、羽子板、水引の結びといったモチーフは、日本の冬の季節飾りとして受け取りやすく、抵抗を持たれにくい題材です。逆に、神棚まわりの道具や紙垂を伴う本格的なしめ縄は、参加をためらう方が出る可能性があります。

案内の仕方も工夫できます。「正月飾りを作ります」ではなく「冬の壁面飾りと干支飾りを作ります」と伝えれば、参加のハードルが下がります。作った後の飾り場所も、玄関に一括で飾るほか、居室に持ち帰れるサイズにしておくと、飾るかどうかを本人が選べます。

気をつけたいのは、良かれと思って全員に同じものを配ってしまうことです。信仰の話は本人から申し出にくいものですから、複数の題材を用意して選んでもらう形にしておくと、誰も断らずに済みます。選択肢を2〜3種類用意するだけで、この問題はほぼ解消します。

材料は110円でそろう|買うもの・家にあるもので足りるもの

100円ショップで買える正月飾りの材料と価格帯

正月飾りの材料は、100円ショップでほぼ完結します。ダイソー公式サイトによれば、お正月アイテムは「各種100〜500円(税込110〜550円)」の価格帯で展開されており、しめ縄、造花、装飾品、祝箸などが並びます。多くは110円で買えるため、1人分の材料費を抑えやすいのが利点です。

実際に使い勝手がよいのは、しめ縄の土台、水引、和柄の折り紙、フェルト、造花の南天や松、そして色画用紙です。しめ縄の土台は110円程度で手に入るものがあり、これに水引と造花を足すだけで玄関に飾れる飾りになります。水引も110円で色違いの束が買えるので、あわじ結びの練習にも向いています。

注意点として、100円ショップの価格はもう「すべて100円」ではありません。店頭商品の約80%は110円(税込)を維持しているものの、110円・220円・330円と価格帯が分かれた商品が増えています。円安を背景に2024年以降は段階的な価格改定が進んでおり、内容量を減らす形での実質的な値上げも続いています。予算を立てるときは、1点110円で計算しておいて、少し上振れする前提にしておくと安全です。

また、正月の材料は12月中旬から品薄になります。特に水引と和柄の折り紙は売り切れが早く、12月に入ってから探すと選べません。施設で人数分そろえるなら、11月のうちに買っておくのが現実的です。

捨てる前にとっておきたい、家の中の「タダの材料」

買わなくても手に入る材料は意外に多く、これを押さえておくと材料費はさらに下がります。使えるのは、紙皿、牛乳パック、トイレットペーパーの芯、お菓子の空き箱、包装紙、リボン、そして新聞紙です。どれも捨てる直前のものばかりですが、正月飾りの土台としては十分に働きます。

紙皿は、真ん中をくり抜けばそのままリースの土台になります。厚みがあるので、のりで飾りを貼っても波打ちにくく、片手で押さえながら作業する方にも扱いやすい素材です。牛乳パックは水に強く、底から4cmのところで切ると門松の器としてちょうどよい高さになります。トイレットペーパーの芯は、緑や金の紙を巻けば竹に見立てられます。

包装紙とリボンは、和柄の折り紙を買い足せないときの代用になります。お歳暮の包装紙には金や赤が使われていることが多く、細く切って貼るだけで正月らしい色味が出ます。新聞紙は、丸めて棒状にすると鏡餅の芯や飾りの土台として使えます。

ただし、無理に全部を廃材でまかなおうとすると、かえって手間が増えます。牛乳パックは洗って乾かす時間が要りますし、紙皿を人数分くり抜くのは職員側の負担になります。廃材は「土台」に使い、目に入る部分は買った紙を使う。この分け方にしておくと、見栄えと手間のバランスが取れます。

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買わなくていいもの、買うと持て余すもの

材料をそろえるときに買いすぎてしまうのが、グルーガン、専用の接着剤、そして大きなしめ縄の土台です。グルーガンは短時間で強く接着できて便利ですが、先端が高温になるため高齢者の工作では扱いに注意が要ります。木工用ボンドと両面テープがあれば、紙と紙、紙とフェルトはほぼ留められます。

大きなしめ縄の土台も、施設のレクでは持て余しがちです。直径20cmを超える土台は飾りを大量に必要とし、材料費も時間も膨らみます。玄関ではなく居室や壁面に飾るなら、紙皿サイズで十分に見栄えがします。買うなら小さめを選ぶほうが失敗しません。

反対に、買っておくと作業が楽になるのは、両面テープと丸シールです。両面テープはのりの乾き待ちがなくなるため、途中で手が止まりにくくなります。丸シールは、目玉やお餅の飾りとしてそのまま使えるうえ、指先でつまんで貼る動作がリハビリにもなります。どちらも110円で手に入ります。

造花についても、松や南天の単品より、複数の花材がまとまったセットのほうが結果的に安く済みます。単品を3種類買うと330円になりますが、詰め合わせなら220円程度で足りることがあります。売り場で単価だけを見ず、1人分に分けたときの本数で比べるのがコツです。

【高齢者あんしんノート調べ】作品別の材料費と所要時間一覧

どの飾りを選ぶかは、材料費よりも所要時間と手先の負担で決めたほうが失敗しません。以下は、この記事で紹介する7つの作品について、1人分の材料費・所要時間・向いている場面を整理したものです。

作品材料費
(1人分)
所要
時間
向いている場面
紙皿のしめ縄リース110円20分大人数のレク。座ったまま完結する
和柄折り紙の祝い鶴110円15分折り紙の経験がある方。短時間で形になる
末広がりの扇子飾り110円15分初めての方。折るだけで完成する
水引のあわじ結び110円10分指先が動く方。他の飾りに足せる
牛乳パックの門松110円30分2回に分けて作れる場面。玄関に置ける
フェルトの鏡餅220円40分手芸の経験がある方。毎年使える
未年のちぎり絵220円30分はさみが使いにくい方。指先だけで作れる
所要時間の目安の比較チャート(水引のあわじ結び 10分・門松 30分・鏡餅 40分)
所要時間の目安の比較(高齢者あんしんノート調べ・各公式サイトより、2026年8月時点)

表を見ると、時間と難しさは必ずしも比例しません。水引のあわじ結びは10分で終わりますが、指先の細かい動きが必要です。逆にちぎり絵は30分かかるものの、紙を手でちぎって貼るだけなので、はさみが使いにくい方でも最後まで自分の手で仕上げられます。参加者の手の状態を見て、時間ではなく動作で選ぶのが失敗しないコツです。

15分でできる|折り紙と紙皿で作る簡単アイデア3つ

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紙皿のしめ縄リース(20分)

もっとも作りやすいのが、紙皿を使ったリース型の飾りです。紙皿の中央をくり抜いて輪にし、そこに折り紙やお花紙で作った飾りを貼っていくだけで、玄関にも壁にも飾れる正月飾りになります。輪の形がしめ縄を思わせるため、正月らしさが出しやすいのも利点です。

手順はこうです。紙皿の中央を丸くくり抜いて輪を作り、輪の全体に金や赤の折り紙を細く切って巻きつけます。次に、お花紙を丸めた梅の花、緑の紙で作った松の葉、赤い丸シールの南天を配置し、最後に水引の結びを一つ添えます。飾りを貼る位置は輪の下側3分の1に寄せると、和の飾りらしいまとまりが出ます。

くり抜きの工程は職員や家族が先に済ませておくのが現実的です。紙皿は厚みがあるためはさみに力が要り、手指に負担がかかります。輪の状態で配れば、参加者は貼る作業に集中できます。

失敗しやすいのは、飾りを全体に均等に貼ってしまうことです。等間隔に並べると平坦な印象になり、どこを見ればよいのかわからない仕上がりになります。飾りは一箇所に寄せ、残りは余白のまま残す。この一点を最初に伝えるだけで、仕上がりの印象が変わります。

✅ やっておきたいこと
  1. Step1: 紙皿の中央をくり抜き、輪の形にしておく(職員・家族が事前に)
  2. Step2: 金や赤の折り紙を細く切り、輪に巻きつけて土台を作る
  3. Step3: 梅・松・南天の飾りを輪の下側3分の1に寄せて貼る
  4. Step4: 中央に水引の結びを一つ添えて完成。裏にひもを付ければ吊るせる

和柄折り紙の祝い鶴(15分)

折り鶴を折れる方なら、少しの手間で「祝い鶴」に格上げできます。通常の折り鶴の尾の部分を扇状に開いて広げると、末広がりの形になり、正月飾りとして飾れる姿になります。金や赤が入った和柄の折り紙を使うと、それだけで華やかに仕上がります。

折り鶴は、多くの高齢者にとって手が覚えている作業です。説明を聞かなくても最後まで折れる方が多く、途中で止まりにくいという点で、レクの導入に向いています。折り方を忘れかけている方には、途中まで折った見本を横に置いておくと思い出しやすくなります。

飾り方は、単体で台紙に貼る、紙皿リースの中央に載せる、複数を吊るして連にする、と幅があります。人数分をまとめて壁面に貼れば、施設の共有スペースの飾りとしても使えます。1人1羽でも、10人集まれば見応えのある壁面になります。

気をつけたいのは、和柄の折り紙は片面だけに柄が入っていることが多い点です。柄を外側にするか内側にするかで仕上がりが変わるため、折り始める前に「柄を下にして置いてください」と一言伝えておくと、途中でやり直しになりません。

末広がりの扇子飾り(15分)

折り鶴が難しい方には、扇子の飾りをおすすめします。折り紙を蛇腹に折って端を留めるだけで完成し、工程が単純なわりに正月らしさが出ます。扇は末広がりに広がる形から、繁栄を意味する縁起物とされてきました。

作り方は、和柄の折り紙を1cm幅ほどの蛇腹に折り、片方の端をまとめて留めるだけです。留める部分は水引で結んでもよく、両面テープで押さえても構いません。2枚を左右対称に合わせると、より扇らしい形になります。

蛇腹折りは、折り目を付ける動作の繰り返しなので、指先の力が弱くても続けやすいのが特徴です。定規や下敷きの縁に沿わせて折ると、幅がそろって見栄えがよくなります。幅がふぞろいでも、開いたときの表情として味になるので、細かく直す必要はありません。

注意点は、折り紙が薄いと蛇腹が開いてしまうことです。100円ショップの折り紙は薄手のものが多いため、色画用紙を使うか、折り紙を2枚重ねて貼り合わせてから折ると、形が保ちやすくなります。

⚠️ 気をつけたいこと
工作レクで手が止まる最大の原因は、技術ではなく「のり待ち」です。木工用ボンドは乾くまで数分かかるため、貼るたびに押さえて待つ時間が生まれ、その間に集中が切れて手が止まります。両面テープを使う、または飾りをすべて配置してから一気に貼る段取りに変えるだけで、途中離脱がぐっと減ります。

手を動かしたい人へ|水引・門松・鏡餅の本格派3つ

水引のあわじ結び(10分)

もう少し歯ごたえのあるものを作りたい方には、水引の「あわじ結び」が向いています。水引の基本となる結びで、多くのデザインがこの結びから発展します。ひとつ覚えれば、リースにも箸置きにも祝儀袋にも応用が利くのが強みです。

縁起の面でも意味があります。結び目の形が鮑(あわび)に似ていることから長寿を象徴し、左右に引くと結び目が固く複雑になることから、縁起がよい結びとされてきました。ほどけにくい形であることが、そのまま縁の強さに重ねられているわけです。

用意するのは、1本あたり約90cmの水引を3本一組にしたものです。3本まとめて扱うことで結び目に厚みが出て、指でつまみやすくなります。1本だけで結ぼうとすると細くて扱いづらいので、慣れないうちほど3本一組が作りやすくなります。

難しいのは、輪を作って通す最初の段階です。ここでつまずく方が多いので、机の上に置いたまま結ぶよう伝えるのがコツになります。宙で結ぼうとすると形が崩れますが、平らな面に置いて動かせば、目で確認しながら進められます。結び目がゆるんでも、最後に左右を引けば締まるので、途中の乱れは気にしなくて構いません。

牛乳パックとトイレットペーパーの芯で作る門松(30分)

玄関に置ける立体の飾りが欲しいなら、門松が候補になります。買うと場所も費用もかかりますが、廃材で作れば110円程度で、しかも卓上に置けるサイズに収まります。作った後に「本物らしい」と言われやすいのも、この作品の魅力です。

作り方はこうです。牛乳パックを底から4cmのところで切り、器の部分を作ります。周りに和柄の折り紙を貼って化粧をし、中にトイレットペーパーの芯を3本、長さを変えて立てます。芯には緑の紙を巻き、上端を斜めに切って竹の切り口に見せます。最後に、赤と白の色画用紙で作った梅、緑の色画用紙で作った松の枝を、器と竹のすき間に差し込めば完成です。

2つ作って左右一対にすると、玄関に置いたときの見栄えが変わります。ただし工程が増えるため、施設のレクでは1人1つに絞り、対にしたい方だけ翌週にもう1つ作る形にすると無理がありません。30分を一度に集中して使うより、器作りと飾り付けの2回に分けたほうが、疲れずに完成まで届きます。

失敗しやすいのは、牛乳パックの中が空洞のままだと竹が倒れることです。丸めた新聞紙を器の中に詰めてから芯を立てると安定します。土台が軽いままだと、玄関に置いたときに風で倒れるので、新聞紙の詰め物はひと手間かけておく価値があります。

フェルトの鏡餅(40分)

鏡餅は、名前の由来からしておもしろい題材です。昔の鏡は丸く、神様の力が宿ると考えられていたため、神様に供える餅も鏡のように丸い形にし「鏡もち」と呼ばれるようになりました。この話をしながら作ると、手を動かす時間に会話が生まれます。

作り方は、白いフェルトを丸く切って綿を詰め、大小2つを重ねるだけです。橙はオレンジ色のフェルトで作り、緑のフェルトで葉を添えます。台になる三方は、色画用紙を折って作るか、小さな空き箱に赤い紙を巻いて代用できます。フェルト2色と綿で材料費は220円ほどです。

フェルトで作る利点は、割れず、傷まず、翌年もそのまま使えることです。本物の鏡餅は鏡開きで割って食べますが、飾りとして毎年出したい方や、餅を食べにくくなった方には、フェルト製が現実的な選択になります。飾る場所は、床の間や神棚のほか、リビングや玄関に置く方も増えています。

注意点は、フェルトを丸く切る工程に力が要ることです。円を切るのは直線より難しく、手が震えるとゆがみます。あらかじめ職員側で丸く切ったパーツを配り、参加者は縫うか貼るかの工程から始めるほうが、40分で完成まで届きます。なお、鏡開きは1月11日に行われます。飾りとして作る場合も、この日に合わせて片付けると生活の区切りになります。

2027年は未年|干支飾りを入れると松の内が過ぎても飾れる

未(ひつじ)に込められた意味

2027年の干支は「丁未(ひのと・ひつじ)」です。十干の「丁」と十二支の「未」が組み合わさったもので、この組み合わせは60年に一度巡ってきます。干支飾りを作るなら、この意味を一言添えるだけで、作品への思い入れが変わります。

未は、平和・調和・家族の安泰を象徴する干支とされています。群れで寄り添いながら暮らす羊の姿から、人とのつながりに恵まれ、穏やかな幸せを育む年ともいわれます。また「未」という漢字は、木に枝葉が茂り、果実がまさに熟そうとしている様子を表すとされ、成長や成熟の象徴でもあります。

「丁」のほうは、十干では第4位で陰の「火」を表します。灯火のような穏やかで芯の強い火で、粘り強さや繊細さを象徴するとされます。派手さはないけれど、じわじわと実を結ぶ年、という読み方になります。

施設で説明するときは、細かい干支の理屈より「家族が穏やかに過ごせる年」という一点に絞るのが伝わりやすくなります。長い説明は聞き流されてしまいますが、意味がひとつだけなら覚えて帰ってもらえます。作品を家族に渡すときの言葉としても使えます。

ちぎり絵の干支飾りは、はさみが使えなくても作れる

干支飾りの作り方でおすすめしたいのが、ちぎり絵です。台紙に羊の輪郭を薄く描いておき、白い和紙や障子紙を手でちぎって貼り重ねていくだけで、羊の毛のふわふわした質感が出ます。はさみもカッターも使わないため、手指に力が入りにくい方でも最後まで自分の手で仕上げられます。

紙をちぎる動作は、指先でつまんで引く動きの繰り返しです。細かい調整が要らないので、多少ふぞろいでも作品として成立します。むしろ、ちぎった縁の毛羽立ちが羊らしさになるので、きれいに切りそろえるより仕上がりがよくなります。

材料は色紙と和紙で220円ほど。台紙を色画用紙にすれば、そのまま壁に貼れます。輪郭の下絵は職員や家族が用意しますが、羊は丸を2つ描いて耳と脚を足すだけなので、絵が苦手でも描けます。目は丸シールで済みます。

気をつけたいのは、のりを付けすぎて紙がふやけることです。薄い和紙は水分を含むとよれるので、のりは台紙側に薄く塗り、紙を上から置く順番にすると失敗しません。少しずつ貼り重ねる作業は時間が読みやすく、30分で切り上げやすいのも利点です。

実は、干支飾りは正月が過ぎても片付けなくていい

意外と知られていないのですが、干支飾りは松の内が終わっても飾り続けて構いません。しめ飾りや門松は年神様を迎えるための依り代なので、松の内が明ければ役目を終えて外します。一方、干支飾りはその年を象徴する縁起物であり、1年を通して飾る置物として扱われます。

これは、施設のレクを考えるうえで効いてきます。松の内が終わると、正月飾りは一斉に外されて手元に何も残りません。せっかく時間をかけて作ったものが1週間で片付いてしまうと、「作った意味がなかった」と感じる方が出ます。干支飾りを一緒に作っておけば、その一つは1年間残ります。

飾り方も柔軟です。壁面飾りの一部として貼っておき、季節ごとに周りだけ入れ替えれば、羊はそのまま1年間いられます。居室のドアに貼る、テレビの上に置く、という使い方をされる方も多く、家族が来たときの話題にもなります。

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どう作るかは「誰と作るか」で変わります。ひとりで作るなら、水引のあわじ結びのように短時間で終わり、失敗してもやり直せるものが向いています。施設のレクで作るなら、紙皿のしめ縄リースやちぎり絵のように、進み方の差が目立たず、途中で止まっても形になるものを選びます。孫と作るなら、牛乳パックの門松のように役割を分けられるものがよく、切る係と貼る係に分かれれば会話が続きます。

いつ飾って、いつしまう?時期と処分のきまりごと

飾り始めは12月13日以降、ねらい目は26〜28日

作った飾りをいつ出すかには、目安があります。12月13日は「正月事始め」とされ、この日以降なら飾り始めても問題ないとされています。ただし実際には、クリスマスの飾りと入れ替える形になるため、12月26〜28日が最も適した時期とされています。

この時期が選ばれるのは、大掃除を済ませて家を清めた状態で飾るのが理想とされるためです。飾ってから掃除をすると、せっかくの飾りにほこりが乗りますし、動かす手間も生まれます。掃除が先、飾りが後という順番が生活の面でも合理的です。

施設で作る場合は、作る日と飾る日をずらす前提で計画を組むと無理がありません。12月中旬に作って保管しておき、26日以降に一斉に飾る形にすれば、レクの日程を年末の忙しい時期から外せます。作品には名前を書いておき、持ち帰る方と施設に飾る方を分けておくと当日あわてません。

気をつけたいのは、作った飾りの保管です。紙製の飾りは重ねると潰れます。作品ごとに紙袋に立てて入れ、名前を書いておくのが確実です。折り紙の鶴や扇は特に潰れやすいので、箱に平置きするのは避けてください。

一夜飾りを避けるのはなぜ?

正月飾りで昔から言われているのが「一夜飾りは避けましょう」ということです。北海道神社庁も、神札や注連縄を年末に受け取り、大掃除後に納めることが理想的で、一夜飾りは避けるよう説明しています。

一夜飾りとは、大晦日である12月31日に飾ることを指します。避けられる理由として一般に語られるのは、年神様を迎える準備が間に合わせになってしまうこと、そして葬儀の準備が一夜で整えられることに通じるため縁起がよくないとされること、の2点です。

あわせて避けるとよいとされるのが12月29日です。「9」が「苦」に通じるとして嫌う地域があります。一方で「29」を「福」と読み替えて、むしろ縁起がよいとする地域もあり、扱いは一様ではありません。地域の慣習に合わせるのが確実です。

年内に購入し、歳末の吉日を選んで飾る、というのが北海道神社庁の示す考え方です。細かい日にちにこだわるより、大掃除を終えてから、大晦日ではない日に飾る。この2点さえ押さえておけば、大きく外すことはありません。

外すのは関東で1月7日・関西で1月15日、鏡開きは1月11日

しまう時期は地域で違います。関東では1月7日まで、関西では1月15日までが目安です。この期間を「松の内」と呼び、玄関に門松を飾っている期間を指します。一般的には元旦から1月7日までの7日間とされています。

関西などで1月15日まで飾るのは、小正月の行事に由来します。各地で行われる「どんど焼き」などの火祭りで飾りを焚き上げ、年神様をお見送りして一年の無病息災を願う、という流れになっているためです。どちらが正しいという話ではなく、地域の行事日程に合わせた結果の違いです。

鏡餅だけは扱いが別で、鏡開きの日である1月11日に下げて食べます。鏡開きの由来は武家社会の「具足開き」とされ、もとは1月20日に行われていました。徳川家光が亡くなり、月命日である20日が武家社会では忌日となったため、1月11日に移ったといわれています。年神様の依り代であった餅を食べ、霊力を分けてもらって一年の良運を願う行事です。

迷ったときは、実家や近所の慣習に合わせるのが確実です。同じ市内でも、旧市街と新興住宅地で日程が違うことがあります。集合住宅なら、管理組合の掲示や近隣の玄関を見れば地域の目安がわかります。

📝 押さえておきたいポイント
飾る・しまうの日程は「関東は1月7日、関西は1月15日、鏡餅だけ1月11日」と覚えておけば実用上は足ります。作った飾りを家族に渡すときは、この一行をメモにして添えると親切です。もらった側は飾り方より「いつまで飾るのか」で迷います。

手作り飾りの処分は「素材」で決まる

役目を終えた飾りは、どんど焼きに出すのが最も広く行われている方法です。どんど焼きは小正月である1月15日前後に行われる火祭りで、別名を左義長(さぎちょう)といいます。門松やしめ飾り、書き初めなどを一か所に集めてお焚き上げし、年神様をお見送りします。

ここで手作り飾りに関わる制約が出てきます。多くの神社では「紙や藁などの天然素材の飾りは受け入れるが、プラスチック製品やガラス、金属などは不可」という条件を設けています。手作り飾りには、プラスチックの造花、金属のワイヤー、ビーズ、グルーガンの樹脂が入りがちです。これらが混ざっていると受け付けてもらえません。

作る段階から素材を意識しておくと、この問題は起きません。紙、和紙、藁、木、綿といった天然素材だけで作れば、そのままお焚き上げに出せます。造花を使うなら、外せる付け方にしておき、納める前に取り除けるようにしておくのが現実的です。

どんど焼きの日程が合わない場合は、神社や寺院が行っているお焚き上げサービスを利用できます。社務所や寺務所へ直接持ち込む形式のほか、宅配便で送る形式を用意している寺社もあります。フェルトの鏡餅のように毎年使う前提の飾りは、そもそも納める対象ではないので、箱にしまって翌年また出せば構いません。

安全に楽しむための配慮|誤飲・はさみ・座ったままの工夫

誤飲事故は165件。工作材料で危ないもの

工作レクで最初に押さえたいのが誤飲です。消費者庁に寄せられた65歳以上の誤飲・誤食事故情報は165件で、薬のPTP包装シートや部分入れ歯、漂白剤、乾燥剤の誤飲・誤食が多く見られます。背景には、視覚・味覚等の身体機能や判断力の低下、認知症などによりリスクが高まるという事情があります。

工作の材料でいえば、危ないのはビーズ、ボタン、丸シール、豆類、そして小さく切った紙です。特に注意が要るのは、赤い小さな飾りです。南天や梅の実に見立てた赤いビーズや丸い飾りは、食べ物と見分けがつきにくく、口に入れられる可能性があります。

予防策として、県の消費生活担当が挙げているのは、食品と非食品は分けて保管する、食品以外のものを食品用容器に移し替えない、認知症の方の手が届く所に不要・危険なものを置かない、という3点です。工作の場面に置き換えると、材料をお菓子の空き容器や食器に入れて配らないこと、休憩のお茶とお菓子を材料と同じ机に置かないこと、が具体策になります。

怖いのは、こうした事故は自分では気付かない場合が多く、家族や介護者など周囲の人が気を配ることが大切だという点です。飲み込んでも本人が申告しないことがあるため、作業後は必ず机の上の材料の数を確認しておくと安心です。赤い実は、ビーズではなく丸シールか折り紙で代用すれば、リスクそのものをなくせます。

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📊 データで見る
消費者庁に寄せられた65歳以上の誤飲・誤食事故情報は165件。薬のPTP包装シートや部分入れ歯、漂白剤、乾燥剤の誤飲・誤食が多く見られ、視覚・味覚等の身体機能や判断力の低下、認知症などによりリスクが高まるとされています(出典:富山県「高齢者の誤飲・誤食事故に御注意ください!」

はさみとのりは「下ごしらえ」で決まる

工作レクでははさみを使って形を整える作業が出てきますが、細かい作業が苦手な方もいます。あらかじめ材料を切りそろえ、必要な道具を準備しておくと進行が安定します。当日の作業を「貼る」「折る」「ちぎる」に限定できれば、はさみを持つ場面そのものを減らせます。

はさみを使う場合は、刃先が丸い工作用のものを配り、1人1本にします。共有にすると受け渡しの動作が生まれ、その瞬間が危険です。使わない時間は刃を閉じて机の決まった位置に置く、と最初に決めておくと、置き場所を探す動きがなくなります。

のりは、木工用ボンドより両面テープとスティックのりのほうが扱いやすくなります。木工用ボンドは指に付くとべたつき、拭き取りに手間がかかります。指先の感覚が鈍くなっていると、付いたことに気づかないまま服や机を汚してしまいます。

下準備でどこまでやるかは悩ましいところですが、判断基準は「その工程に意味があるか」です。紙皿をくり抜く工程は作品の出来に関わらないので職員がやってよい。一方、飾りを配置する工程は本人の選択が作品に出るので、必ず本人にやってもらう。この線引きで考えると迷いません。

手指の力が弱い方・片手が使いにくい方への工夫

片麻痺のある方や握力が落ちた方でも、道具と段取りを変えれば同じ作品を作れます。基本になるのは、紙が動かないよう固定することです。滑り止めシートを机に敷く、台紙をマスキングテープで机に留める、この2つで片手作業がかなり楽になります。

ちぎり絵は、片手でも進められる作業です。紙を机に押さえつけて指でこするようにちぎれば、両手でつまむ必要がありません。逆に折り紙は両手の協調が必要なので、片手が使いにくい方には向きません。作品を選ぶ段階で分けておくのが親切です。

水引のあわじ結びも、机に置いたまま結べば片手ずつの操作で進められます。指先の力より、目で形を追える環境が効きます。手元が見えにくい方には、白い紙を下に敷いて水引の色とのコントラストを付けると、輪の位置がわかりやすくなります。

座ったままで完結するかどうかも確認しておきたい点です。立ち上がって材料を取りに行く動線があると、転倒のリスクが生まれます。材料は各テーブルに小分けして配り、追加が要るときは職員が回る形にすると、席を立つ場面をなくせます。

職員が仕上げてしまうと、翌年の参加率が落ちる

もうひとつの失敗パターンが、見栄えを気にして職員や家族が手を出しすぎることです。作業が遅れている方の作品を「手伝いますね」と引き取って仕上げてしまう、飾りの位置を後からきれいに直してしまう。悪気はないのですが、これをやると本人の作品ではなくなります。

結果として何が起きるかというと、翌年の工作レクで「私は下手だから」と参加を辞退する方が出ます。仕上げてもらった経験は、本人の中では「自分ではできなかった」という記憶として残ります。1回の見栄えと引き換えに、翌年の参加意欲を失うのは割に合いません。

対策は、作業量の設計を変えることです。時間内に終わらない設計になっているから手を出す必要が生まれます。工程を減らす、下準備を増やす、2回に分けるという調整をすれば、全員が自分で完成させられます。前述の門松を2回に分ける案は、この考え方から出ています。

もうひとつ効くのが、「直さない」と最初に宣言してしまうことです。「今日は形がどうであっても直しません。全部そのまま飾ります」と伝えると、参加者側も気楽になります。実際に並べてみると、ふぞろいな作品が並んだ壁面のほうが、そろった作品より見ていて楽しいものです。

✅ チェックリスト
  • ☑ 材料は食品用の容器・お皿に入れて配っていないか
  • ☐ 赤い小さなビーズを丸シールや折り紙に置き換えたか
  • ☐ はさみを使う工程を事前の下準備で減らしたか
  • ☐ 滑り止めシートかマスキングテープで台紙を固定したか
  • ☐ 席を立たずに完結する材料配置になっているか
  • ☐ 作業後、机の上の材料の数を確認したか

まとめ

🍀 この記事の結論

正月飾りの手作りは、110円の材料と家にある紙皿や牛乳パックで高齢者でも作れます。まずは15分で終わる扇子飾りから始めてみてください。

✅ 要点チェック
  • 意味:飾りは年神様を迎える目印
  • 材料費:1人分110円から作れる
  • 時期:飾るのは12月26〜28日が目安
  • 片付け:関東1月7日・関西1月15日
  • 安全:赤いビーズは丸シールに置き換え

作るものに迷ったら、まず折り紙1枚で作れる扇子飾りを1つ折ってみてください。15分もかかりませんし、うまくいけばそのまま玄関に飾れます。そこで手の調子がつかめたら、紙皿のしめ縄リースや牛乳パックの門松に進めば無理がありません。干支飾りを一緒に作っておけば、松の内が明けても手元に1つ残り、1年間そばに置けます。年末の慌ただしい時期に一気に片付けようとせず、11月のうちに材料をそろえ、12月中旬に作り、26日以降に飾る。この3段階に分けるだけで、正月飾りの準備は驚くほど楽になります。

なお、100円ショップの価格や品ぞろえ、どんど焼きの日程や受け入れ素材の条件は、店舗や地域によって変わります。※最新情報は公式サイトや各神社・自治体でご確認ください。

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この記事を書いた人

シニア世代の暮らしに役立つ情報を発信中。孫へのお祝いマナーや冠婚葬祭のしきたり、健康管理や終活の準備まで、日常の「困った」を解決する記事を心がけています。ご家族の方にも読んでいただける、安心できる情報源を目指しています。

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