10月の壁面飾りは高齢者と作れる8選|秋を感じるデザインと簡単な作り方

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9月の敬老会が終わってほっとしたのも束の間、カレンダーをめくると10月。フロアの壁にはまだ夏の名残の飾りが貼りっぱなし……そんな時期ではないでしょうか。「今月は何を作ろう」「同じネタばかりで利用者さんに飽きられている気がする」という悩みは、介護施設で壁面飾りを担当する方の多くが毎年抱えるものです。

先に結論をお伝えすると、10月は一年のなかで壁面飾りがいちばん作りやすい月です。理由は単純で、コスモス・紅葉・栗・とんぼといった自然のモチーフと、十三夜・スポーツの日・ハロウィンといった行事が同じ月に集中しているから。素材が豊富なぶん、参加する方の手の力や視力に合わせてデザインを選び分けられます。

この記事では、10月の壁面飾りを高齢者と一緒に作るための考え方を、デザイン8選・材料費の目安・貼り方のコツまでまとめました。折り紙もお花紙も1袋110円で揃いますから、予算をかけずに壁ひとつぶんの秋を作れます。読み終わるころには、今月の制作レクの段取りがそのまま組み立てられるはずです。

📝 押さえておきたいポイント
・10月の壁面飾りは「秋の風景」4種と「行事」4種の計8デザインから選べる
・材料は折り紙・お花紙・画用紙とも100円ショップで税込110円から揃う
・2026年の十三夜は10月23日、スポーツの日は10月12日(月)、ハロウィンは10月31日
・はさみを使わない工程を1つ用意すると、手指が動きにくい方も最後まで参加できる
目次

10月の壁面飾りが高齢者施設で喜ばれる3つの理由

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壁面飾りは「見た目をきれいにするための飾り」だと思われがちですが、実際に施設で果たしている役割はもう少し広いものです。10月という月に限っていえば、次の3つの理由が重なります。

「今が何月か」が伝わる壁は、暮らしのリズムをつくる

施設で暮らす方にとって、季節を感じる機会は在宅時よりも限られます。空調の効いた室内で1日を過ごせば、外気温の変化も日差しの傾きも実感しにくくなるためです。だからこそ、視界に入る壁が「10月の景色」になっているかどうかが、時間の見当をつける手がかりになります。

認知症のある方への関わりでは、日付や季節をさりげなく伝える工夫が生活の落ち着きにつながると介護現場で広く共有されています。カレンダーの数字だけでは伝わりにくくても、赤や黄色のもみじ、稲穂、栗が並んだ壁なら「ああ、秋か」と一目で入ってくる。壁面飾りは、文字を読まなくても季節が伝わる掲示物なのです。

注意したいのは、モチーフを詰め込みすぎないこと。コスモスもハロウィンも運動会も1枚に詰め込むと、何を伝えたい壁なのかがぼやけます。10月なら前半は「実りの秋」、後半は「十三夜とハロウィン」というように、月内で2場面に分ける施設もあります。壁が大きくない場合は、思い切って1テーマに絞ったほうが季節は伝わります。

手を動かす30分が、いつもと違う会話を生む

制作の時間そのものが、レクリエーションとして働きます。折り紙を折る、お花紙を広げる、のりで貼る。手先を使う作業には自然と会話がついてきて、普段は口数の少ない方が「昔は畑で栗を拾った」と話し出すことがあります。これは回想法の考え方と重なる部分で、秋の果物や稲刈りといったモチーフは、農作業や子育ての記憶を引き出しやすい題材です。

時間の目安は1回30〜40分。手指の疲れや集中力を考えると、これ以上長くすると後半に離脱する方が出ます。10人程度のグループなら、もみじの型抜き15分・貼り合わせ15分・全体の配置10分といった配分にすると、途中で手が空く人が出にくくなります。

一方で、制作が苦手な方に無理強いするのは逆効果です。「見ているだけでいい」「色を選ぶ係をお願いします」といった参加の仕方を用意しておくと、断った方も気まずくなりません。作品の完成度より、その30分をどう過ごしたかのほうが記録に残る価値があります。

完成した壁は、家族が面会に来たときの話題になる

意外と見落とされがちなのが、壁面飾りが家族との会話材料になる点です。面会に来たご家族は、久しぶりに会う親と何を話せばいいか困ることがあります。そんなとき「このコスモス、お母さんが貼ったんですよ」と職員がひと言添えるだけで、10分の面会が15分になります。

そのために有効なのが、作品に小さく名前を入れておくことです。もみじの葉の裏、コスモスの茎の脇など目立たない場所に鉛筆で名字を書いておく。全員ぶんの作品が壁に載っていれば、誰が来ても自分の家族の手仕事を見つけられます。写真に撮ってお便りに載せる施設も増えています。

ただし、名前の掲示は個人情報の扱いに関わります。フルネームを大きく書いた掲示物を玄関ホールなど外来者の目に触れる場所に貼るのは避け、掲示の可否は事前に本人・家族へ確認しておくのが無難です。施設によっては同意書の項目に含まれていますから、まず自施設のルールを確認してください。

📊 データで見る
10月に集まる行事は多く、2026年でいえば10月1日から赤い羽根共同募金がスタートし(出典:中央共同募金会)、10月10日は目の愛護デー、10月12日(月)はスポーツの日(出典:内閣府「国民の祝日について」)、10月23日が十三夜(出典:国立天文台)、10月31日がハロウィン。1か月に5つの題材があるのは、年間でも10月と12月くらいです。

作りはじめる前に決めておきたい4つのこと

デザインを選ぶ前に段取りを決めておくと、当日の「材料が足りない」「壁に入りきらない」が起きません。制作日の1週間前に、次の4点を押さえておきましょう。

壁のサイズと貼る場所を、先にメジャーで測る

最初にやるべきは、飾る壁の実寸を測ることです。作品を作ってから「入らなかった」となると、せっかくの制作が台無しになります。デイサービスのフロア壁なら横180cm×縦90cm前後、廊下の掲示板ならA0サイズ(横84cm×縦119cm)程度が目安です。

測ったら、模造紙や新聞紙を床に広げて実寸の枠を作り、その上にパーツを並べてみます。この「床でリハーサル」をしておくと、コスモスが何本必要か、もみじが何枚いるかが数で出せます。10人が1人3枚作れば30枚。パーツ数が決まれば、材料の買い出しも一度で済みます。

貼る高さにも配慮が要ります。車いすの方の目線は座位で床から110〜130cm程度。壁の上部だけに飾ると、座って過ごす方には見えません。主役になるモチーフは目線の高さに置き、空や月といった背景を上部に回すと、座っていても絵が成立します。脚立を使う高所作業は職員が担当し、利用者の頭上での作業は避けてください。

材料は100円ショップで揃う|折り紙もお花紙も110円

壁面飾りの材料費は、想像よりかかりません。ダイソーの場合、色数の多い折り紙(50色50枚など)が税込110円、コスモスや菊に使うフラワーペーパー(お花紙)が5色100枚入りで税込110円、画用紙も税込110円から揃います(2026年時点、店舗により品揃えは異なります)。

10人規模の制作で用意しておきたいのは、折り紙2袋、お花紙1袋、画用紙(黒・茶・黄土色)3袋、のり5本、両面テープ2巻、モールやリボン1袋。合計しても税込1,500円前後で収まります。1回の制作あたり1人150円と考えると、行事レクとしてはかなり安く済む部類です。

買い足しでつまずきやすいのが「同じ色が手に入らない」問題です。100円ショップの商品は入れ替わりがあり、途中で同じ赤が買えなくなることがあります。背景に使う大判の色画用紙だけは、制作を始める前に必要枚数を一度に買っておくと、色ムラのある壁になりません。

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工程を「切る・貼る・仕上げる」の3段階に分けておく

参加者の力量はばらつきます。そこで、制作を難易度の違う3工程に分けておくと、全員に役割を配れます。切る工程(はさみ・型抜き)は手指の力がある方、貼る工程(のり付け・重ね貼り)は座って落ち着いて作業できる方、仕上げ(配置・貼り付け)は立位が安定している方と職員、という分担です。

実際の配分でいえば、10人のうち切る係3人・貼る係5人・仕上げ係2人くらいがちょうどよいバランスになります。切る作業だけが遅れると全体が止まるので、職員が前日に半分だけ切っておく「下ごしらえ」を入れると当日の流れが崩れません。

気をつけたいのは、工程の割り振りが「できる人・できない人」の線引きに見えてしまうことです。「Aさんは切るのが得意だから」と役割の理由を言葉にして渡すと、印象が変わります。逆に、毎回同じ人が同じ工程になると飽きが来ますから、月ごとに担当を入れ替える施設もあります。

制作は1回で終わらせず、2〜3回に分ける

大きな壁面飾りを1日で仕上げようとすると、後半は疲れて集中が切れます。10月なら第1週にパーツ作り、第2週に貼り合わせ、第3週に壁へ設置と3回に分けるのが現実的です。1回あたり30〜40分に収まり、参加できない日があっても途中から加われます。

分割には別の利点もあります。作りかけの状態がフロアに置かれていると「これ、どうなるの」と自然に関心が続き、次回の参加率が上がります。完成後に「みんなで作った」という実感が残りやすいのも、複数回に分けたときのほうです。

ただし、パーツを保管する場所は先に決めておいてください。作りかけの紙が事務所の机に積まれ、次回までに折れたり紛失したりするのはよくある話です。A4のクリアファイルやお菓子の空き箱に「10月壁面・コスモス(20本)」とラベルを貼って保管すると、数の確認も同時にできます。

✅ 制作前の準備チェックリスト
  • ☑ 壁の横幅・縦幅をメジャーで測った(貼る高さも確認)
  • ☐ 必要なパーツ数を数え、材料をまとめて購入した
  • ☐ 切る・貼る・仕上げの担当を決めた
  • ☐ 制作日を2〜3回に分けて予定表に入れた
  • ☐ 作りかけパーツの保管場所とラベルを用意した
  • ☐ はさみを使わない工程を1つ以上用意した

秋の風景を切り取るデザイン4選|コスモス・紅葉・実りの秋

秋の風景を切り取るデザイン4選|コスモス・紅葉・実りの秋の解説画像

ここからは具体的なデザインを紹介します。まずは行事に寄らない「秋の風景」から4つ。どれも折り紙・お花紙・画用紙だけで作れて、10月いっぱい貼っておけるのが利点です。

1. お花紙のコスモス畑|1本3分で作れて壁が一気に華やぐ

10月の壁面で最も再現しやすいのがコスモスです。ピンク・濃いピンク・白のお花紙を8cm角に切り、4枚重ねて中心を細いモールで留め、1枚ずつ起こすだけ。花びらの先に浅い切り込みを入れると、コスモス特有の輪郭になります。慣れれば1本3分ほどで、10人で30分作れば60本前後が揃います。

コスモスが選ばれる理由は、失敗が目立たないことにあります。花びらの形がふぞろいでも、群生させると自然に見える。むしろ大きさが不揃いなほうが畑らしくなるので、手の力に差があるグループでも仕上がりに差が出ません。茎は緑の画用紙を1cm幅に切って貼るだけで十分です。

配置のコツは、下部に密集させて上へいくほどまばらにすること。地面から生えている遠近感が出ます。注意点は、お花紙が薄いため貼り付けにのりを多く使うと透けてシワになること。中心部だけに少量のスティックのりを使い、花びらは浮かせたままにすると立体感が残ります。

2. 紅葉のグラデーション|同じ型紙でも色を3段階にすると本物らしくなる

もみじは型紙を1枚作れば量産できます。厚紙でもみじ型を作り、赤・オレンジ・黄・黄緑の4色の折り紙に鉛筆で写して切るだけ。色を混ぜて貼ると「まだ色づき始めた木」に見えるので、10月上旬の景色として自然です。逆に赤だけで揃えると11月の紅葉になってしまいます。

枝は茶色の画用紙をちぎって作ると、はさみを使えない方も参加できます。定規で切った直線の枝より、手でちぎった不規則な線のほうが樹木らしく見えるのは、この工作の面白いところです。1本の幹から枝を3方向に伸ばし、その周りに葉を40〜60枚配置すると、横90cmの壁が埋まります。

やりがちな失敗は、葉を等間隔に並べてしまうこと。壁紙の模様のように見えて、季節感が消えます。3枚を1組にして重ね気味に貼り、組と組の間に余白を作ると、風に揺れている印象が出ます。葉を数枚、幹から離れた床方向に貼って「落ち葉」にするのも効果的です。

3. 実りの秋|栗・柿・さつまいもは会話が弾む定番

栗・柿・さつまいも・きのこといった実りのモチーフは、10月ならではの題材です。栗は茶色の折り紙を三角に折って底を丸く切るだけ、柿はオレンジの丸に緑のヘタを貼るだけと、工程が短いのが利点。1人が3〜4種類作れるので、飽きずに手が動きます。

この題材の本領は、制作中の会話にあります。「栗の渋皮をむくのが大変だった」「柿は干し柿にした」といった話が出やすく、地域による呼び名の違いが出ることもあります。作品そのものより、そこで出た話を記録に残しておくと、次の面会や個別支援に生きます。

注意点は、茶色・オレンジ・黄土色ばかりで壁が沈んで見えることです。背景に薄い水色の画用紙を敷くか、稲穂の黄色を多めに入れると明るさが戻ります。また、実物の栗やどんぐりを貼るのは避けたほうが無難です。虫が出ることがあり、誤飲のリスクもあるためです。

4. とんぼと稲穂|男性利用者が手に取りやすい題材

花や果物に手が伸びない方でも、とんぼには反応することがあります。とんぼは折り紙1枚で折れるほか、羽根を透明の折り紙やトレーシングペーパーで作ると光に透けて見栄えします。目玉に丸シールを貼るだけで表情が出るので、細かい作業が難しい方の担当工程にもなります。

稲穂は、黄土色の折り紙を1cm幅の短冊に切り、片側に細かく切り込みを入れて茎に巻きつけるだけ。10本ほど束ねると稲刈り前の田んぼになります。稲刈りや脱穀の記憶がある方には、ここで話が広がります。とんぼ10匹・稲穂15本もあれば、田園風景として成立します。

気をつけたいのは、とんぼの向きを全部同じにしないこと。同じ方向に整列すると標本のように見えます。上下左右バラバラに、数匹は斜めに貼ると飛んでいる動きが出ます。稲穂は根元をそろえて、穂先を少し垂らすと実った重みが表現できます。

💡 暮らしの知恵
背景の空だけは、毎月使い回せる作り方にしておくと制作が楽になります。水色の模造紙を壁のサイズに合わせて1枚貼り、その上にモチーフだけを両面テープで着脱する方式です。10月はコスモスと紅葉、11月は落ち葉と焼き芋、と主役を替えるだけで済み、背景を毎月作り直す手間がなくなります。

10月の行事から選ぶ壁面飾り4選|十三夜・ハロウィン・運動会

続いて、10月の行事を題材にした4デザインです。日付が決まっているぶん「今日は何の日」の掲示と組み合わせやすく、季節の話題づくりにも使えます。

5. 十三夜のお月見|2026年は10月23日、栗名月とも呼ばれる

お月見といえば9月の十五夜が有名ですが、10月には十三夜があります。旧暦9月13日の月を指し、国立天文台によれば2026年の十三夜は10月23日。栗名月・豆名月とも呼ばれ、中秋の名月と合わせて「二夜の月」と言います。ちなみに2026年の中秋の名月は9月25日でした。

飾りは、黄色い画用紙の満月を1つ、すすきを5〜8本、月見団子を三方に積んだ形で15個作れば形になります。団子は白い折り紙を丸めて貼るだけ。すすきは茶色の画用紙を細長く切り、片側に切り込みを入れて指で反らせると穂になります。うさぎを2匹添えると、遠目にもお月見だと伝わります。

この題材の強みは、話のネタが1つ増えることです。「十五夜だけ見て十三夜を見ないのは片見月といって縁起が悪いとされた」という言い伝えは、知らない方も多く、掲示に添えると読まれます。背景は濃紺の画用紙にすると月が映えますが、フロア全体が暗くならないよう、貼る面積は壁の半分以内に抑えるとバランスが取れます。

6. ハロウィン|元はカブだったジャック・オー・ランタン

10月31日のハロウィンは、施設でも定着してきました。オレンジの画用紙でかぼちゃを10個、黒でこうもりを8羽、白でおばけを5体作れば、それらしい壁になります。かぼちゃの表情を1つずつ変えるのが楽しい工程で、目や口の形を自由に切ってもらうと、同じ型紙でも全部違う顔になります。

ハロウィンの由来は古代ケルトの収穫祭にあるとされ、10月31日はケルトの1年の終わりにあたる日でした。ジャック・オー・ランタンは元々アイルランドでカブを使って作られており、アメリカに渡ってから、手に入りやすいかぼちゃに替わったと言われています。この話を掲示に1行添えると、飾りが「知る楽しみ」に変わります。

ただし、ハロウィンに抵抗のある方がいる点は押さえておきたいところです。「おばけは気味が悪い」「日本の行事じゃない」と感じる方は一定数います。こわい顔のモチーフを避けて笑顔のかぼちゃだけにする、居室前の廊下には貼らずフロアの一角に留める、といった配慮で角が立ちません。

7. スポーツの日の運動会|10月12日(月)は玉入れと万国旗で

2026年のスポーツの日は10月12日(月)です。内閣府の定めでは10月の第2月曜日で、趣旨は「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」こと。施設で運動会レクを行う日程に合わせて壁を作ると、行事の予告掲示を兼ねられます。

作りやすいのは万国旗です。三角や四角に切った色紙をひもに貼るだけで、はさみが苦手な方はシールを貼る係に回れます。20〜30枚の旗が斜めに渡っているだけで、フロアが運動会の空気になります。玉入れのかごと紅白玉、走る人のシルエットを加えると場面が完成します。

気をつけたいのは、走る人の絵ばかりにしないこと。走れない方が見て居心地の悪い壁になっては本末転倒です。玉入れ・応援・パン食い競走といった座ってできる種目を混ぜ、応援席の人物も描いておくと、見る人の誰かが必ずどこかにいる壁になります。

8. 赤い羽根と目の愛護デー|10月の「今日は何の日」を壁で伝える

10月1日からは赤い羽根共同募金が始まります。中央共同募金会によれば、募金活動は毎年10月1日から翌年3月31日までの期間に全国で実施されるものです。赤い羽根を模した折り紙のパーツを並べ、その脇に募金の趣旨を1〜2行添えるだけで、社会とのつながりを感じる掲示になります。

10月10日の目の愛護デーも、壁面と相性のよい題材です。1931年に「視力保存デー」として始まり、1947年に10月10日が目の愛護デーと定められたとされています。「10」と「10」を横に倒すと眉と目の形に見えることが日付の由来。大きな目のイラストと一緒にこの由来を貼ると、通りがかった人が足を止めます。

この手の記念日ものは、作品としては地味です。ですから、風景の壁面と並べて「サブの掲示」として扱うのが現実的でしょう。B4サイズ1枚程度に収め、月の後半には十三夜やハロウィンに差し替える。壁全体を記念日で埋めようとすると、情報が多すぎて誰も読まない壁になります。

📝 2026年10月の日付まとめ
10月1日:赤い羽根共同募金の開始(〜翌年3月31日)/10月10日:目の愛護デー/10月12日(月):スポーツの日(10月の第2月曜日)/10月23日:十三夜(後の月・栗名月)/10月31日:ハロウィン

手が動きにくい人も主役になれる4つの工夫

壁面飾りの制作でいちばん惜しいのは、「うまく作れないから」と参加をあきらめてしまう方が出ることです。工程の作り方を少し変えるだけで、参加できる人の幅は広がります。

はさみを使わない工程を、必ず1つ用意する

握力が落ちている方、麻痺のある方にとって、はさみは最も高いハードルです。そこで「ちぎる」「丸める」「押す」の3つを工程に組み込みます。ちぎった紙は木の幹や落ち葉に、丸めた紙はお月見団子やどんぐりに、スタンプを押した紙は背景の模様になります。

ちぎり絵は特に相性がよく、折り紙を1cm角程度にちぎって台紙に貼るだけで、もみじ1枚が20分ほどの作業になります。指先の細かい動きの練習にもなり、力の弱い方でも紙は必ずちぎれる。「切れなかった」という失敗が起きない工程だという点が、いちばんの利点です。

道具で補う方法もあります。ばね式(自動で開くタイプ)のはさみや、台に固定して押し切るタイプのはさみを1つ用意しておくと、片手でも切る作業に参加できます。ただし刃物である以上、使用中は職員が横につくのが前提です。使わないはさみは箱にまとめ、テーブルに出しっぱなしにしないでください。

片麻痺・視力低下の方への、道具と配置の合わせ方

片麻痺のある方には、台紙が動かないようにする工夫が要ります。滑り止めシートをテーブルに敷く、台紙をマスキングテープで机に留める。この2点だけで、片手でものり付けができます。健側が右か左かで座る位置を変え、材料は健側に置くのが基本です。

視力が落ちている方には、コントラストの強い組み合わせを回します。白い紙に薄い黄色を貼る作業は見えにくくても、黒い台紙にオレンジの折り紙なら境目がわかります。手元の照度も重要で、窓側の席や卓上ライトのある席に案内すると、作業の速度が変わります。

やりがちな失敗は、良かれと思って職員が手を添えすぎることです。途中から職員の作品になってしまい、本人の「作った」という手応えが消えます。手を出す前に「ここ、押さえておきましょうか」と声をかけ、本人が動かす部分を残す。完成度は落ちても、そのほうが壁を見上げたときの表情が違います。

「1人1枚」にすると、全員の作品が壁に載る

作品数の設計を「1人1枚以上」にしておくと、参加した全員のものが壁に必ず載ります。もみじ40枚を10人で作るなら1人4枚。コスモス60本なら1人6本。数を先に割り算しておけば、早く終わった方に追加を頼むのも自然です。

この方式の効果は、面会時の会話に現れます。「どれがお母さんの?」と聞かれて「これです」と指させる壁と、職員が作った完成度の高い壁とでは、家族の受け取り方が変わります。手作り感が残っていることは、この場合はマイナスになりません。

逆に気をつけたいのは、参加できなかった方への配慮です。体調不良で欠席した方の作品だけがない状態は、本人が気づけば寂しさにつながります。翌週に1枚だけ追加で作ってもらい、後から貼り足せる余白を壁に残しておく。この「あとから入れる余白」を10%ほど確保しておくと、運用が柔らかくなります。

男性が参加しない壁面レク|原因は題材選びにある

「男性利用者が制作レクに来ない」という悩みは、多くの施設で共通しています。原因の多くは題材にあります。花やハートを折る作業は、これまでの生活で手を出してこなかった領域で、入りづらいのは自然なことです。誘い方を工夫する前に、題材のほうを変えるほうが早く効きます。

効果が出やすいのは、道具や技術が関わる題材です。とんぼ、稲穂、はしご車、船、時計、将棋の駒。あるいは「型紙を作る」「寸法を測る」「全体の配置を決める」といった設計側の役割を頼むと、参加しやすくなります。木工の経験がある方に枠づくりを任せている施設もあります。

失敗しやすいのは、「男性だから力仕事を」と決めつけることです。かえって疎外感を与えることがあります。声のかけ方としては、「田んぼの絵を作りたいのですが、稲の穂ってどんな形でしたか」と教えてもらう立場から入るほうが、自然に手が動き出します。原因は意欲ではなく入口の設計にある、と考えると打ち手が見つかります。

✅ 全員が参加できる制作の進め方
  1. Step1: 参加者の手指の状態を確認し、切る・貼る・ちぎるの3工程に振り分ける
  2. Step2: 滑り止めシートと台紙の固定を用意し、材料を健側に置く
  3. Step3: 必要なパーツ数を人数で割り、「1人○枚」を最初に伝える
  4. Step4: 完成後は作品の裏に鉛筆で名字を書き、壁に10%の余白を残す
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材料費と所要時間はどれくらい?デザイン別の目安一覧

「予算が出ない」「時間が取れない」という制約は、どの施設にもあります。8つのデザインについて、材料費と時間の目安を整理しました。

デザイン別の材料費・所要時間・難易度一覧

10人規模のグループで、横180cm×縦90cm程度の壁を想定した目安です。材料費はいずれも100円ショップ(税込110円)で揃う前提で計算しています。難易度は、はさみをどれだけ使うかを基準にしています。

デザイン材料費の目安所要時間はさみ
コスモス畑(60本)330円30分×2回少なめ
紅葉のグラデーション(葉50枚)440円40分×2回多め
実りの秋(栗・柿など30個)330円30分×1回ふつう
とんぼと稲穂(25点)220円30分×1回ふつう
十三夜のお月見(団子15個ほか)440円40分×2回ふつう
ハロウィン(かぼちゃ10個ほか)330円40分×1回多め
運動会・万国旗(旗30枚)220円30分×1回少なめ
赤い羽根・目の愛護デー(掲示1枚)110円20分×1回少なめ

※高齢者あんしんノート調べ。10人規模・横180cm程度の壁を想定した目安。材料の価格は2026年時点の100円ショップ(税込110円)を基準に算出

100均で買うもの、買わなくていいもの

買い物リストを絞ると、無駄が減ります。買うべきは、折り紙・お花紙・画用紙・のり・両面テープ・マスキングテープ・モールの7点。この7点があれば、上の8デザインはすべて作れます。合計しても税込770円程度です。

買わなくていいものの筆頭は、キャラクターものの装飾シールと、季節の既製飾りです。既製品を混ぜると手作りのパーツが見劣りし、「買ってきた壁」に見えてしまいます。また、ラミネートフィルムも壁面飾りには基本的に不要で、屋外掲示や複数年使い回すとき以外は費用倒れになります。

代用できるものも多くあります。新聞紙は下敷きと型紙に、お菓子の空き箱はパーツの保管に、包装紙は背景の一部に使えます。牛乳パックを切り開いて厚紙代わりにすれば、型紙は無料です。「買う前に施設内で探す」を1度挟むだけで、材料費は半分近くまで下がります。

型紙と背景を残しておくと、来年の制作が半分の時間で済む

壁面飾りは毎年同じ月が巡ってきます。だからこそ、型紙の保管が効きます。もみじ・かぼちゃ・とんぼ・うさぎの型紙を厚紙で作り、A4のクリアファイルに月ごとに分けて入れておく。翌年はここから出すだけで、下ごしらえの時間がなくなります。

背景の模造紙も同様です。水色の空、濃紺の夜空、黄土色の田んぼの3枚を作って丸めて保管しておけば、10月は毎年この3枚の組み合わせで済みます。丸めるときは絵柄を外側にすると、広げたときに反りが戻りやすくなります。

ただし、作品そのものを全部保管するのはおすすめしません。翌年そのまま貼ると、作った本人が入れ替わっているうえ、色あせも目立ちます。残すのは型紙・背景・写真の3つ。写真は「昨年はこう作った」という設計図として、次の担当者への引き継ぎ資料になります。

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「貼ったら落ちた」「子どもっぽい」を防ぐ4つのコツ

せっかく作った飾りも、貼り方や見せ方でつまずくことがあります。現場でよく起こる4つの問題と、その対処法を整理します。

貼ってすぐ落ちる|壁材に合ったテープを選ぶ

朝には貼ってあったコスモスが、夕方には床に落ちている。これは壁面飾りで最も多い失敗です。原因のほとんどは、壁材とテープの相性にあります。ビニールクロスの壁には両面テープが効きますが、ざらついた砂壁・塗り壁・凹凸のあるクロスでは接着面が足りず、紙の重みで剥がれます。

対処法は3つ。凹凸のある壁には粘着力の強いはく離タイプの両面テープを使う、貼る前に壁のほこりを乾いた布で拭く、大きなパーツは4隅+中央の5点で留める。この3つで落下はほぼ止まります。逆に、粘着力の強すぎるテープを直接壁に貼ると、剥がすときにクロスがはがれる恐れがあります。壁にマスキングテープを下貼りし、その上に両面テープを重ねる二段構えが安全です。

落下は美観の問題だけではありません。床に落ちた紙を踏んで滑る、拾おうとして前傾姿勢になり転倒する、といった事故につながります。朝の申し送りのついでに壁を一度見上げ、浮いているパーツを押さえ直す習慣をつけておくと、落ちる前に気づけます。

「子どもっぽい」と言われたときの、色と題材の直し方

制作した壁を見て「保育園みたい」と言われて落ち込んだ、という話は珍しくありません。原因は多くの場合、配色にあります。赤・青・黄の原色をそのまま並べると、どうしても幼い印象になります。えんじ・からし色・深緑・柿色といった、和の色名で呼べる色に置き換えるだけで、印象は変わります。

題材の描き方も影響します。目や口を大きく描いた擬人化のモチーフ(笑顔のおひさま、顔のついた栗)は幼く見えます。同じ栗でも、いがの線を細く描いて写実に寄せると、大人の飾りになります。文字を入れる場合も、丸文字より楷書体に近い字のほうが落ち着きます。

実は、ここには逆の視点もあります。あえて素朴な仕上がりを残すほうが喜ばれる場面があるのです。職員が作り込んだ完成度の高い壁は美しいのですが、「自分たちが作った」という手触りは消えます。ふぞろいなコスモスが並ぶ壁のほうが、面会に来た家族の足が止まる。整った壁を目指すか、参加の跡が残る壁を目指すかは、その施設が壁面飾りに何を求めるかで決めてよいところです。

安全面の確認|誤飲・脚立・防炎の3点

制作と掲示には、いくつか安全上の注意点があります。1つ目は誤飲です。丸めた紙、モール、丸シール、ビーズは口に入る大きさで、認知症のある方が手に取ることがあります。制作中は材料を必要な分だけ小皿に出し、余りはテーブルに置かないでください。実物のどんぐりや木の実を使わないのも、この理由からです。

2つ目は高所作業です。脚立に上っての貼り付けは職員が行い、必ず2人1組で支えます。利用者の頭上や車いすの通り道での作業は避け、フロアの移動が落ち着く時間帯に行うのが基本です。画びょうを使う場合は本数を記録し、作業後に回収数を照合します。

3つ目が防炎です。東京消防庁の説明によれば、養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・老人デイサービスセンターなどは消防法施行令別表第1の(6)項にあたり、カーテンなどの防炎対象物品には防炎性能が求められます。紙の壁面飾りそのものの扱いは建物や規模で判断が分かれるため、大きな面積を紙で覆う場合や避難経路にかかる場合は、所轄の消防署に確認しておくと安心です。

来年も使えるように、写真とラベルで引き継ぐ

壁面飾りの担当は、異動や退職で入れ替わります。そのたびにゼロから考え直すのは、施設全体の負担です。完成した壁を正面から1枚、細部を2〜3枚撮影し、月ごとのフォルダに保存しておく。これだけで、次の担当者は「10月はこれくらいの規模」を数秒で把握できます。

写真と一緒に、材料リストと所要時間をメモしておくとさらに実用的です。「お花紙1袋・折り紙2袋・制作30分×2回・参加10名」と1行残すだけで、翌年の準備が読めます。型紙の保管袋にも同じメモを入れておくと、探す手間が省けます。

注意したいのは、写真に利用者の顔が写り込むケースです。制作風景の写真を施設内で共有する場合でも、広報誌やSNSに使うのであれば別途同意が必要になります。壁だけを撮る、後ろ姿にする、といった撮り方を最初から決めておくと、後で使えない写真が増えません。

⚠️ 気をつけたいこと
避難経路や防火扉の周りには飾りを貼らないでください。扉の可動範囲にかかる掲示物は、火災時に扉が閉まらない原因になります。また、非常口の誘導灯や消火栓の表示を紙で隠すのも避けるべき配置です。壁を決めるときは「きれいに見える場所」ではなく、「掲示していい場所」から選びましょう。
全員参加型で作るメリット職員が仕上げる場合の注意点
作品に個人差が出て面会時の話題になる
制作中の会話から生活歴が引き出せる
手指を動かす機会が自然に増える
参加者の「作った」という手応えが残る
見た目は整うが誰の作品かわからない
職員の残業や持ち帰り作業になりやすい
毎年同じ完成形になり変化が出にくい
利用者が「見るだけの人」になってしまう

まとめ|秋の壁は、みんなで作るから温かい

10月の壁面飾りは、素材の多さという点で一年でも作りやすい月です。コスモス・紅葉・実りの秋・とんぼという自然の題材に、十三夜・ハロウィン・スポーツの日・記念日という行事が重なります。デザインに迷ったら、まず壁のサイズを測り、参加する方の手の状態から工程を決める。この順番で考えると、無理のない計画が立ちます。

材料費は8デザインのいずれも110〜440円程度で、100円ショップだけで揃います。かける費用より、はさみを使わない工程を1つ用意する、1人1枚以上を全員に割り当てるといった設計のほうが、仕上がりと満足度を左右します。そして貼るときは、壁材に合ったテープを選び、避難経路を避ける。この2点で、飾りが安全に1か月もちます。

🍀 この記事の結論

10月の壁面飾りは秋の風景4種と行事4種から選べば迷わない。材料は100円ショップで揃い、工程を分ければ全員が参加できる。

✅ 要点チェック
  • デザインは8つ:風景4種+行事4種から選ぶ
  • 材料費:1デザイン110〜440円、100均で完結
  • 時間配分:1回30〜40分を2〜3回に分ける
  • 参加の工夫:ちぎる・丸める工程を必ず1つ
  • 2026年の日付:十三夜10月23日、スポーツの日10月12日
  • 安全:避難経路・防火扉の周りには貼らない

最初の一歩としておすすめしたいのは、今週のうちにメジャーを持って壁の前に立ち、横と縦を測ってメモすることです。サイズが決まればパーツの数が決まり、数が決まれば買い物リストが決まります。そこまでいけば、あとは折り紙を配って「今日はコスモスを作りましょう」と声をかけるだけ。完璧な壁を目指さなくてかまいません。ふぞろいの花が並んだ壁のほうが、見上げた人の足を止めるものです。

もし今年うまくいったら、型紙と背景、そして完成写真を残しておいてください。来年の10月、次に担当する人がその封筒を開けたとき、準備の時間は半分で済みます。壁面飾りは1回きりの制作ではなく、施設に積み重なっていく財産になります。

※行事の日付や制度の内容は変更されることがあります。祝日は内閣府、十三夜などの天文情報は国立天文台、募金の実施期間は中央共同募金会の各公式サイトで最新情報をご確認ください。掲示場所の防火上の扱いについては、所轄の消防署にご相談ください。

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この記事を書いた人

シニア世代の暮らしに役立つ情報を発信中。孫へのお祝いマナーや冠婚葬祭のしきたり、健康管理や終活の準備まで、日常の「困った」を解決する記事を心がけています。ご家族の方にも読んでいただける、安心できる情報源を目指しています。

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