「70歳の誕生日が近いけれど、古希って何をすればいいの?」「還暦のときほど派手にしなくてもいいのかな」――親や祖父母、あるいはご自身の70歳を前にして、こんなふうに迷っている方は少なくありません。還暦は赤いちゃんちゃんこのイメージがはっきりしていますが、古希となると色も、お祝いの金額も、のし袋の書き方も、意外とあいまいなまま当日を迎えてしまいがちです。
先に結論をお伝えすると、今の古希は満70歳の誕生日当日か、その前後の週末に、家族で食事会を開いて贈り物を渡すのがいちばん多い形です。テーマカラーは紫。お金や贈り物の相場は、子どもから両親なら10,000~50,000円、孫から祖父母なら社会人で5,000~20,000円がひとつの目安になります。
この記事では、古希の意味と由来から、還暦・喜寿との違い、関係別の相場、のしのマナー、喜ばれる贈り物と避けたい品、食事会の段取り、メッセージの書き方まで、お茶を飲みながら一緒に確認するつもりで順番にお話しします。「うちの場合はどうしよう」と考えながら読み進めてみてください。
・70歳古希の意味・由来と、紫がテーマカラーになっている理由
・還暦・喜寿・米寿など7つの長寿祝いとの違い
・子ども・孫・兄弟・職場など関係別のお祝いの相場とのしの書き方
・喜ばれる贈り物、避けたい贈り物、食事会とメッセージの準備
70歳古希とは?「人生七十古来稀なり」から生まれたお祝いの意味

古希は「満70歳」でお祝いするのが今の主流
古希は、70歳を迎えたことを家族や周りの人が祝う、日本の伝統的な長寿祝いです。今は満年齢70歳の誕生日に合わせてお祝いするのが主流になっています。
もともと日本の長寿祝いは、生まれた年を1歳と数える「数え年」で行うものでした。数え年の70歳は満年齢でいうと69歳の年にあたるため、昔の感覚では「古希は69歳の年に祝うもの」だったわけです。ところが戦後、年齢を満年齢で数えることが当たり前になり、誕生日という区切りがわかりやすいこともあって、今では満70歳で祝う家庭が大半になりました。
具体的には、2026年に満70歳を迎えるのは1956年(昭和31年)生まれの方です。誕生日が年の後半なら、お祝いの準備は夏ごろから考え始めても十分間に合います。
ただし、地域や家のしきたりによっては、今も数え年で長寿祝いをするところがあります。親戚の年長者から「うちは数えでやるものだ」と言われることもあるので、迷ったら祝われるご本人や、家の行事に詳しい親族に一度聞いてみると安心です。どちらで祝っても失礼にはなりません。
由来は唐の詩人・杜甫の「人生七十古来稀なり」
「古希」という言葉は、中国・唐の時代の詩人、杜甫の詩の一節「人生七十古来稀なり」から来ています。「70歳まで生きる人は、昔からめったにいない」という意味です。
杜甫が生きた8世紀の中国では、70歳まで生きることは本当に珍しいことでした。だからこそ、70歳を迎えた人は「稀な長寿を得た人」として敬われたのです。その「古来稀(こらいまれ)」の2文字を取って「古稀」、のちに常用漢字の関係で「古希」と書くようになりました。どちらの表記も目にしますが、意味は同じです。
面白いのは、今の日本では70歳はもう「稀」ではないという点です。周りを見渡しても、70歳で仕事や地域活動、趣味の集まりに元気に顔を出している方はたくさんいます。言葉の由来と今の実感には、ずいぶん開きがあるのです。
そのため、由来の話をするときは「昔はそれだけ珍しかったんだって」と軽く触れる程度にとどめるのがちょうどよいでしょう。「稀な長生き」を強調しすぎると、ご本人が「年寄り扱いされた」と受け取ることもあるので、少し気をつけたいところです。
テーマカラーが「紫」なのは高貴な色だから
古希のお祝いカラーは紫色です。還暦の赤のように、贈り物やお祝いの席の飾りに紫を取り入れるのが一般的です。
紫が選ばれている理由は、古くから紫が高貴な色とされてきたことにあります。聖徳太子の冠位十二階でも紫は最上位の色とされ、位の高い僧侶の衣にも紫が使われてきました。70年の人生を歩んできた方への敬意を表す色として、紫はぴったりだと考えられてきたのです。
具体的には、紫のちゃんちゃんこや座布団、紫の花束、紫色のストールやネクタイ、紫をワンポイントにした食器などがよく選ばれています。最近は、紫一色ではなく、紫色の刺しゅうやリボンなど「さりげなく紫」を取り入れる形も人気です。
ただし、紫は絶対のルールではありません。ご本人が紫を好まない場合や、普段使いしにくい品になってしまう場合は、ラッピングやリボンだけ紫にするなど、柔軟に考えて大丈夫です。「色より使ってもらえること」を優先するのが、今のお祝いの考え方です。
お祝いのタイミングは誕生日・週末・敬老の日・お正月
古希を祝うタイミングは、70歳の誕生日当日か、家族が集まりやすい誕生日前後の週末が中心です。敬老の日やお正月に合わせて祝う家庭もあります。
誕生日当日に祝うのがいちばん気持ちが伝わりやすいのは確かですが、子ども世代が仕事をしていたり、孫が遠方に住んでいたりすると、平日に全員が集まるのは難しいものです。そこで、誕生日前後の土日に食事会を開くケースが多くなっています。
また、誕生日が年の前半や後半に偏っていて日程が合わない場合、帰省で家族が顔をそろえるお正月や、9月の敬老の日にまとめてお祝いする方法もあります。一般的には、70歳の誕生日までに、あるいは誕生日の近くでお祝いするのが望ましいとされています。
注意したいのは、お盆やお彼岸、法事と日程が重なるケースです。お祝いと法要を同じ日に行うのは避けたいという考えの家もあるので、親族のスケジュールを早めに確認しておきましょう。
還暦・喜寿・米寿と何が違う?長寿祝い7つの早見表
還暦との違いは「由来」と「テーマカラー」
還暦と古希のいちばんの違いは、由来とテーマカラーです。還暦は干支の一巡、古希は漢詩の一節がもとになっていて、色も還暦は赤、古希は紫です。
還暦は、十干十二支の組み合わせが60年で一巡し、生まれ年の干支に戻ることを「元の暦に還る」と呼んだのが由来です。いわば「生まれ直し」のお祝いなので、赤ちゃんを連想させる赤いちゃんちゃんこを着る習わしが生まれました。一方の古希は、長く生きたことそのものへの敬意を表すお祝いで、高貴な紫がテーマカラーになっています。
年齢でいうと、還暦は満年齢60歳(数え年なら61歳)、古希は満年齢70歳です。お祝いの金額については、あるギフト専門店の注文データで、古希祝いギフトの平均購入金額は約15,000円と紹介されており、還暦より控えめになる傾向があるそうです。
ただ、「還暦のときに盛大にやったから古希は簡単に」と決めつける必要はありません。還暦の頃はまだ現役で忙しく、ゆっくり祝えなかったという方も多いものです。古希のほうが家族の時間を取りやすい、という家庭もあります。

「還暦祝いって、結局いくら包めばいいんだろう」——親の60歳が近づいてくると、多くの人がこの一点で立ち止まります。品物にするか現金にするか、封筒はご祝儀袋でいい…
喜寿・傘寿・米寿・卒寿は漢字から生まれた日本のお祝い
古希の次に来る喜寿(77歳)以降のお祝いは、漢字の形をもとにした日本生まれのお祝いです。還暦と古希が中国由来なのとは対照的です。
たとえば喜寿は、「喜」という字を草書体で書くと「㐂」となり、七を3つ重ねたように見えることから77歳のお祝いになりました。傘寿は「傘」の俗字が八と十を重ねた形に見えることから80歳、米寿は「米」の字を分解すると「八十八」になることから88歳、卒寿は「卒」の俗字「卆」が九十と読めることから90歳のお祝いです。
そして白寿は、「百」から「一」を引くと「白」になることから、100-1=99歳のお祝いです。漢字遊びのような発想ですが、それぞれに「ここまで元気で来られた」という家族の喜びが込められています。
こうした由来を知っておくと、お祝いの席で「喜寿は漢字の形から来ているんだよ」と話のタネになります。ただし、細かい由来の説明は地域や資料によって少しずつ言い回しが違うこともあるので、「そういう説がある」くらいの軽い気持ちで話すとよいでしょう。
ひと目でわかる長寿祝いの年齢・色・由来
主な長寿祝い7つを表にしました。紫がテーマカラーになっているのは古希・喜寿・卒寿の3つで、古希の紫はその後のお祝いにも受け継がれていきます。
| 名称 | 年齢(満年齢) | 色 | 由来 |
|---|---|---|---|
| 還暦 | 60歳 | 赤 | 干支が一巡して元の暦に還る |
| 古希 | 70歳 | 紫 | 杜甫の詩「人生七十古来稀なり」 |
| 喜寿 | 77歳 | 紫 | 「喜」の草書体が七十七に見える |
| 傘寿 | 80歳 | 金茶色・黄色 | 「傘」の俗字が八十に見える |
| 米寿 | 88歳 | 金茶色・黄色 | 「米」を分解すると八十八 |
| 卒寿 | 90歳 | 紫 | 「卆」が九十と読める |
| 白寿 | 99歳 | 白 | 「百」から「一」を引くと「白」 |
還暦は数え年だと61歳でお祝いします。そのほかのお祝いも、地域によっては数え年で祝う場合があります。長寿祝いの由来と色の一覧は、ギフト会社のリンベル「長寿祝いの種類と由来」でも確認できます。
表を見るとわかるように、紫は古希から卒寿まで何度も登場する色です。古希のときに紫の品を贈っておくと、喜寿のときに「あのとき一緒にもらった紫のストールと合わせて」と、次のお祝いにつなげやすいという利点もあります。
年齢が上がるほど「本人の体調優先」のお祝いに
長寿祝いは、年齢が上がるにつれて華やかさより、ご本人の負担が少ないことを重視する形に変わっていきます。
還暦や古希は、まだ元気に動ける方が多いため、家族旅行や温泉、料亭での食事会など、少し遠出をするお祝いも選びやすい時期です。ところが米寿の頃になると体調に配慮して負担のない形で祝うことが勧められ、卒寿では自宅で少人数の会を、白寿では日中2時間程度、穏やかに過ごせるお祝いが理想とされています。
この流れを逆から見ると、古希は「家族旅行や遠出のお祝いがしやすい、貴重なタイミング」だともいえます。孫を連れて温泉旅館に泊まる、ご本人が行ってみたかった場所を訪ねるといったお祝いは、70歳の今だからこそ実現しやすいのです。
ただし、70歳でも持病がある方や、長時間の移動が負担になる方もいます。「古希だから旅行」と決めつけず、ご本人の体力や希望を聞いてから計画を立てましょう。お祝いは家族の満足ではなく、主役が楽しめることがいちばん大切です。
古希祝いのお金はいくら包む?関係別の相場早見表

子どもから両親へは10,000~50,000円が目安
子どもから両親へのお祝いは、10,000~50,000円がひとつの目安です。食事会の費用も子ども側が持つ場合は、上限寄りになることが多くなります。
幅が大きいのは、「お祝い金や贈り物だけを渡すのか」「食事会や旅行の費用まで含めるのか」で必要な金額が大きく変わるからです。ギフト専門店の解説では、子どもから親への贈り物は1万円から3万円が一般的で、兄弟姉妹で連名にする場合は5万円前後になることもあると紹介されています。
たとえば、兄弟3人で連名にして食事会を開き、記念品も贈るなら、1人あたりの負担は10,000~30,000円に収まることが多いでしょう。逆に、ひとりっ子で食事会も記念品も一人で用意する場合は、上限の50,000円近くになることもあります。
注意したいのは、金額の大きさがそのまま喜びにつながるわけではない点です。子ども世代も住宅ローンや教育費を抱えている時期です。無理のない範囲で、ご本人が気を遣わない金額にとどめるほうが、長く気持ちよくお祝いを続けられます。
孫から祖父母へは5,000~20,000円、学生なら気持ちで十分
孫から祖父母へのお祝いは、社会人なら5,000~20,000円が目安です。学生のうちは金額にこだわらず、気持ちだけで十分とされています。
祖父母にとって、孫からのお祝いは金額以上の意味があります。自分で働いて得たお金で何かを贈ってくれた、という事実そのものがうれしいのです。そのため、社会人になりたての孫が高額な品を無理に選ぶより、身の丈にあった贈り物に手紙を添えるほうが、印象に残りやすいものです。
学生や小さな孫の場合は、手書きのメッセージカードや似顔絵、一緒に撮った写真をフォトブックにするなど、お金をかけない形でも立派なお祝いになります。食事会の場で、孫が花束を手渡す役目を担うだけでも場が和みます。
気をつけたいのは、孫が複数いる場合です。社会人の孫と学生の孫で差が出るのは自然なことですが、同じ立場の孫同士で金額が大きく違うと、あとで気まずくなることもあります。いとこ同士で事前に軽く相談しておくと安心です。
兄弟姉妹・甥姪・友人は付き合いの深さで調整
兄弟姉妹なら10,000~30,000円、甥・姪からなら5,000~10,000円、友人・知人なら3,000~10,000円が目安です。
兄弟姉妹の場合は、普段の付き合いの深さで金額を調整するのが一般的です。近くに住んでいて行き来が多い兄弟なら上限寄り、年賀状のやりとり程度なら下限寄り、という考え方で問題ありません。自分の古希のときにもらった金額がわかっているなら、同程度にそろえるのがいちばん角が立ちません。
友人・知人の場合は、現金を包むより、3,000~10,000円程度の品物を贈るケースが多くなります。趣味の仲間同士なら、何人かでお金を出し合って少し良い品を贈ると、相手も受け取りやすくなります。
ただし、地域によっては親戚付き合いのしきたりが強く、「兄弟なら○万円」という暗黙の相場が決まっていることもあります。迷ったときは、年長の親族に「このあたりだとどのくらい包むのが普通かな」と聞いてしまうのが、結局いちばんの近道です。
職場の上司や恩師へは連名で負担を軽く
職場関係では、個人で贈るなら5,000~10,000円、連名なら1人1,000~3,000円(合計10,000~30,000円程度)が目安です。
70歳の上司や恩師へのお祝いは、個人で高額なものを贈ると、相手がお返しに気を遣ってしまいます。部署や教え子仲間の連名にすれば、一人ひとりの負担は軽く、全体としては見栄えのする品を用意できます。
贈り物の予算の目安として、恩師へは5,000~10,000円程度とする解説もあります。退職された元上司や、嘱託で働き続けている先輩など、70歳を迎える職場関係の方は今どき珍しくありません。
注意点として、職場で目上の方に現金を贈るのは失礼にあたると感じる人もいます。職場関係では現金より品物、それも名入れの記念品やお花など、形に残るものを選ぶほうが無難です。
| 贈る人 → 贈られる人 | 相場の目安 |
|---|---|
| 子ども → 両親 | 10,000~50,000円(食事会込みなら上限寄り) |
| 孫(社会人)→ 祖父母 | 5,000~20,000円(学生は気持ちで十分) |
| 兄弟姉妹 | 10,000~30,000円 |
| 甥・姪 | 5,000~10,000円 |
| 友人・知人 | 3,000~10,000円 |
| 職場(個人) | 5,000~10,000円 |
| 職場(連名) | 1人1,000~3,000円 |
長男は食事会の費用を全額負担、次男は花束だけ、長女は高額な旅行券……と、兄弟が相談せずにそれぞれ動いた結果、親が「気を遣わせた」と恐縮し、兄弟の間にもしこりが残るケースがあります。原因は「誰が何をどこまで出すか」を決めていなかったこと。対策は、誕生日の2〜3か月前に兄弟でグループLINEなどを作り、食事会・記念品・花束の担当と負担割合を先に決めておくことです。連名にすれば金額差も表に出ません。
のし袋・水引・表書きで迷わないための基本マナー
水引は紅白の蝶結びを選ぶ
古希祝いの水引は、紅白(赤白)の蝶結びが正解です。熨斗(のし)も付けます。
蝶結び(花結び)は、ほどいて何度でも結び直せる結び方です。そのため、「何度あっても喜ばしいこと」のお祝いに使われます。長寿祝いは、古希のあとも喜寿、傘寿、米寿と続いてほしいお祝いなので、蝶結びがふさわしいとされているのです。
具体的には、現金を包むときは紅白蝶結びの祝儀袋、品物を贈るときは紅白蝶結びの掛け紙を使います。デパートやギフトショップで「古希のお祝いです」と伝えれば、適切な掛け紙を選んでもらえます。
やりがちな失敗は、結婚祝い用の「結び切り」や「あわじ結び」の袋を使ってしまうことです。結び切りは「一度きりであってほしいこと」に使う結び方なので、長寿祝いには向きません。文具店で買うときは、袋に書かれた用途欄をよく確認しましょう。
表書きは「祝古希」か「御祝」、四文字は避けると無難
表書きは「祝古希」「古希御祝」「古希祝い」「御祝」のいずれかが一般的です。ただ、迷ったら「祝古希」か「御祝」にしておくと安心です。
というのも、「古希御祝」のような四文字の表書きは、「四文字=死文字」と語呂合わせで嫌う人がいるからです。気にしない方も多いのですが、70歳の長寿祝いでは縁起を大切にする方も少なくありません。わざわざ気にされる可能性のある書き方を選ぶ理由はないので、避けておくのが無難です。
表書きは水引の上段中央に、濃い墨の毛筆か筆ペンで書きます。祝い事なので、弔事用の薄墨は使いません。普段筆を使わない方でも、太めの筆ペンでゆっくり書けば十分きれいに仕上がります。
地域によっては「寿」の一文字だけを書く習わしがある場合もあります。家のしきたりが気になる場合は、親族の年長者に確認してから書くと間違いがありません。表書きのマナーは、古希の基礎知識をまとめた解説ページでも紹介されています。
名前の書き方と連名の順番
贈り主の名前は、水引の下段中央に、表書きより少し小さめの文字で書きます。
連名にする場合は、右から左へ、格上・年長の人から順に書くのが基本です。兄弟なら長男・次男・長女……と年齢順に並べます。友人同士で序列がない場合は、五十音順で並べれば角が立ちません。
具体的には、2〜3人までなら全員の名前を並べて書けます。4人以上になる場合は、代表者の名前を中央に書き、その左に「外一同」と添え、全員の名前は別紙に書いて中袋に入れる形が一般的です。兄弟の家族全員からなら「○○家一同」、孫一同からなら「孫一同」とまとめる書き方もあります。
注意したいのは、夫婦で贈る場合の書き方です。夫の名前をフルネームで書き、その左に妻の名前だけを添えるのが従来の形ですが、最近は夫婦それぞれフルネームで書く方も増えています。どちらでも失礼にはならないので、家の考え方に合わせましょう。
渡すタイミングと渡し方
お祝いを渡すのは、70歳の誕生日までに、食事会の席で直接手渡すのがいちばん自然です。
誕生日を過ぎてから渡すと、「後回しにされた」と感じる方もいるため、一般的には誕生日当日か、それより前に渡すのがよいとされています。食事会を誕生日前の週末に開けば、自然とこの条件を満たせます。
手渡すときは、祝儀袋をそのまま持っていくのではなく、袱紗(ふくさ)に包んで持参し、相手の前で取り出して渡すと丁寧です。祝い事用の袱紗は、赤やえんじ、紫などの暖色系を選びます。紫は慶弔どちらにも使えるので、一枚持っておくと便利です。
遠方に住んでいて直接渡せない場合は、現金書留で送ることもできます。その際は、祝儀袋ごと現金書留封筒に入れ、短い手紙を添えましょう。品物を配送する場合も、別便で手紙やカードを送るか、同梱してもらうと気持ちが伝わります。
- ☐ 水引は紅白の蝶結び(結び切り・あわじ結びではない)
- ☐ 表書きは「祝古希」または「御祝」(四文字は避けると無難)
- ☐ 濃い墨の筆ペンで書いた(薄墨は使わない)
- ☐ 名前は水引の下に表書きより小さく書いた
- ☐ 連名は右から年長順、4人以上なら「外一同」
- ☐ 慶事用の袱紗(紫・赤など)に包んで持参する
喜ばれる贈り物と、うっかり選びがちなNGギフト
紫は「全身」より「ワンポイント」で取り入れる
古希の贈り物に紫を取り入れるなら、紫一色の品より、紫をワンポイントに含む品のほうが普段使いしてもらいやすくなります。
紫のちゃんちゃんこは古希祝いの象徴ですが、実際には記念撮影で一度着たきり、押し入れにしまわれているという話もよく聞きます。70歳はまだまだ現役感覚の方が多いので、「いかにも長寿祝い」という品より、日常で使える品のほうが喜ばれる傾向があります。
具体的には、紫の差し色が入ったストールやスカーフ、ネクタイ、紫の刺しゅう入りの名入れタオル、紫の花を使ったアレンジメントなどが選ばれています。ギフト通販では、紫をはじめ黒・白・グレー・ピンクの5色から選べる古希祝いのTシャツが人気という紹介もあり、「紫以外も選べる」ことが今どきのポイントになっています。
ただし、ちゃんちゃんこを家族写真の小道具として用意するのは、決して悪くありません。「着るのは写真の数分だけ」と割り切れば、ご本人も照れながら楽しんでくれるものです。実用品と記念品を分けて考えると選びやすくなります。
名入れ・オーダーメイドで「世界にひとつ」を
古希の贈り物で特に喜ばれやすいのが、名前やメッセージを入れたオーダーメイドの品です。
70歳にもなると、生活に必要なものはたいてい揃っています。すでに持っている物を贈っても「同じものがある」となりがちです。その点、名前や記念日、家族からのメッセージを入れた品は、世界にひとつしかないので重なる心配がありません。ずっと手元に置いて楽しめるのも魅力です。
よく選ばれているのは、名入れの切子グラスや信楽焼のカップ、名入れマグカップ、メッセージを刻んだステンレスタンブラー、似顔絵に名前を織り込んだポエム、枯れずに飾れる花(プリザーブドフラワー)などです。ステンレス製のタンブラーは落としても割れず、真空二重構造でホットもアイスも飲み頃の温度を保てるため、実用性も高い贈り物です。
注意点は、名入れやオーダーメイドは制作に日数がかかることです。人気の店では注文から届くまで数週間かかる場合もあるので、誕生日の1か月以上前には注文しておくと安心です。名前の漢字の間違いも起きやすいので、注文時に家族でダブルチェックしましょう。
お菓子・食事券・体験ギフトなど「消えもの」も人気
形に残る品に迷ったら、お菓子や食事券、体験ギフトなどの「消えもの」も有力な選択肢です。
「物を増やしたくない」「終活を意識して身の回りを整理している」という70歳の方は増えています。そういう方には、食べたり体験したりして消える贈り物のほうが、かえって気が楽に受け取ってもらえます。
たとえばお母さんへの古希祝いなら、有名な老舗の和菓子や季節を映した上生菓子など、普段は自分ではなかなか買わない「特別な一品」が喜ばれるという紹介もあります。お酒好きのお父さんなら生まれ年にちなんだ名入れボトル、旅好きのご夫婦なら温泉旅館の宿泊券、というように、趣味に合わせて選ぶと外れにくくなります。
ただし、食べ物を贈るときは、ご本人の食事制限や入れ歯の具合などにも気を配りましょう。硬いおかきより柔らかい和菓子、量より質、というように、「食べやすさ」を基準に加えると安心です。

おじいちゃんの誕生日や敬老の日が近づくたびに、「孫から何を贈れば喜んでもらえるのだろう」と迷ってしまう。お菓子でいいのか、それでは軽すぎるのか。いくらくらいが失…
避けたい贈り物と、その理由
古希祝いで避けたほうがよい品は、老眼鏡・杖、櫛(くし)、ハンカチ、刃物類、真っ黒な物、そして目上の方への靴・靴下・下着です。
老眼鏡や杖は、加齢を強く意識させるため、「年寄り扱いされた」と感じさせてしまうおそれがあります。櫛は「苦」「死」の語呂合わせ、ハンカチは漢字で「手巾(てぎれ)」と書くことから別れを連想させ、刃物は「縁を切る」につながるとされます。真っ黒な物は葬儀を連想させ、靴や靴下、下着は「踏みつける」意味合いから、目上の方には避けるのが無難とされています。
とはいえ、ご本人から「新しい杖がほしい」「使いやすい老眼鏡を探している」とリクエストがあった場合は、話が別です。本人が望んでいる実用品を贈るのは、失礼どころか気の利いた贈り物になります。
大事なのは、「こちらの思い込みで、年齢を意識させる品を選ばない」ことです。迷ったら、ご本人かその配偶者に、さりげなく欲しいものを聞いてみましょう。サプライズにこだわりすぎるより、確実に喜ばれる選び方です。
「最近歩くのが遅くなったから」と、お父さんの古希に高機能な杖と血圧計をセットで贈ったところ、ご本人は笑顔を見せつつも、その後一度も使わなかった……という話は珍しくありません。原因は、贈る側の「心配」が前に出て、祝われる側の「まだ若いつもり」という気持ちを置き去りにしたこと。対策は、古希のお祝いでは「これからの楽しみ」につながる品を選び、健康や生活を助ける道具は、別の機会に本人と相談しながら用意することです。
意外と知られていないけれど、70歳を迎える方の中には「古希」という言葉自体に少し抵抗を感じる人もいます。現代の70歳は元気で活動的な方が多く、「まだまだ若い」という気持ちが強いからです。そんな方には、「古希おめでとう」を前面に出すより、「70歳の誕生日おめでとう、これからも一緒に旅行に行こうね」と、人生のセカンドステージの門出を祝う形にすると、素直に喜んでもらえます。紫の品やのしで古希らしさは添えつつ、言葉は「これから」に向けるのがコツです。
古希祝いの食事会、会場選びから当日までの段取り
会場はレストラン・自宅・旅館ホテルの3択
古希祝いの食事会の会場は、レストランや料亭、自宅、旅館・ホテルの3つが主な選択肢です。いちばん多いのは、レストランの個室や料亭で家族や親しい人を集めて開く食事会です。
レストランや料亭は、プロの料理人による旬の料理が味わえて特別感があり、準備や後片付けの手間もかかりません。自宅は、ご本人がくつろげて、小さな子どもがいても周りに気を遣わずに済みます。旅館やホテルは、温泉やお祝いプランを活用でき、家族旅行としての思い出も作れます。
具体的に選ぶときは、参加人数と顔ぶれを基準にするとわかりやすくなります。子ども夫婦と孫まで含めて10人以上になるならレストランの個室、乳幼児が多いなら自宅、遠方の家族が集まるなら宿泊できる旅館、というのがひとつの考え方です。
注意したいのは、ご本人が「外食は疲れる」「自宅が落ち着く」というタイプの場合です。家族が張り切って高級料亭を予約しても、ご本人が緊張してしまっては元も子もありません。会場を決める前に、ご本人の好みを聞いておきましょう。
| 会場 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| レストラン・料亭 | プロの旬の料理で特別感 準備・片付けの手間がない 個室なら落ち着ける | 人気店は早くから予約が埋まる 小さな子ども連れは気を遣う |
| 自宅 | ご本人がリラックスできる 子どもがいても気兼ねがない 時間を気にせず過ごせる | 料理・片付けの負担がかかる 特別感を出す工夫が必要 |
| 旅館・ホテル | 温泉やお祝いプランを使える 家族旅行として思い出になる 疲れたら部屋で休める | 移動の負担がある 日程調整の難易度が上がる |
予算は1人5,000~15,000円が目安
食事会の費用は、1人あたり5,000~15,000円が目安です。個室のある料亭やレストランが人気で、この範囲に収まることが多くなっています。
幅があるのは、ランチかディナーか、コース料理の内容、飲み物の量などで費用が大きく変わるからです。ランチのコースなら下限寄り、個室の懐石ディナーで飲み物も含めるなら上限寄り、と考えておくとよいでしょう。
費用の分担は、主役であるご本人(と配偶者)の分は子ども世代が持ち、参加者の分は各家庭で負担する、というやり方が一般的です。兄弟で頭割りにする場合も、小さな子どもの分をどう数えるかを事前に決めておくと、会計のときにもめません。
注意したいのは、主役のご本人が「自分の分は払う」と言い出すケースです。気持ちはありがたいものの、ここは「今日は私たちからのお祝いだから」とやんわり断りましょう。代わりに、ご本人が孫たちへ何か買ってあげたいと言うなら、それは受け取ってあげるのも親孝行です。

親の還暦が近づくと、まず頭に浮かぶのが「食事会でもしようか」という一言です。ところが、いざ決めようとすると分からないことばかり。どこの店を選べばいいのか、1人い…
料理は本人の好み最優先、和食も洋食もOK
料理選びでいちばん大切なのは、ご本人の好みを優先することです。お祝いだからといって、必ず和食である必要はありません。
和食なら、懐石料理、お赤飯、ちらし寿司、「めでたい」にかけた鯛料理などがお祝いの定番です。洋食なら、白身魚のムニエルやローストビーフ、みんなで取り分けられるパエリアなども喜ばれます。中華が好きな方なら、円卓を囲んでにぎやかに過ごすのも素敵です。
70歳前後になると、脂っこい料理や量の多いコースを負担に感じる方も出てきます。予約時に「少なめのポーションにできるか」「硬いものを柔らかく調理してもらえるか」を相談しておくと、ご本人が最後まで無理なく楽しめます。長寿祝い向けのプランを用意しているお店もあります。
やりがちな失敗は、家族が食べたい店を選んでしまうことです。孫の好みに合わせて焼肉やビュッフェを選んだら、ご本人はほとんど箸が進まなかった、ということも。「主役が食べたいもの」を軸に、ほかの参加者が楽しめる店を選ぶ順番を守りましょう。
予約前に確認したい5つのこと
会場を予約する前には、日時、メニューとアレルギー対応、人数と予算、席のタイプ、服装規定の5つを確認しておくと安心です。
人気のレストランや料亭は、数か月以上前に予約が埋まることもあります。特に敬老の日や年末年始、春秋の行楽シーズンの週末は混み合うため、日程が決まったらできるだけ早めに押さえましょう。
席のタイプは見落としがちですが、座敷の掘りごたつや床座は、膝や腰が気になる方には負担になります。テーブル席か椅子席を選べるか、個室で周りを気にせず過ごせるかを確認しておきましょう。また、段差の少ない入口か、トイレが近いかといった点も、70歳の方の快適さを左右します。
当日の演出として、家族の思い出話を引き出す写真を持参したり、孫からの似顔絵をプレゼントしたりすると、会話が自然に弾みます。お店によってはメッセージ入りのデザートプレートや記念撮影をお願いできることもあるので、予約時に聞いてみてください。食事会の準備の流れは、長寿祝いの食事会ガイドでも詳しく紹介されています。
- Step1(2〜3か月前): 兄弟で担当と負担割合を決め、ご本人に好みや希望をさりげなく聞く
- Step2(1〜2か月前): 会場を予約し、椅子席・個室・アレルギー対応を確認。名入れギフトを注文
- Step3(2週間前): 参加者の最終人数を確定し、メッセージカードや色紙を集める
- Step4(当日): 袱紗に包んだお祝いと花束を持参し、記念撮影の段取りも忘れずに
気持ちが伝わる古希祝いのメッセージの書き方
メッセージの3つのコツは「感謝・前向き・忌み言葉なし」
古希のメッセージで押さえたいのは、感謝と尊敬をまっすぐ伝えること、70歳を前向きに肯定すること、忌み言葉を避けることの3つです。
普段は照れくさくて口にできない感謝や尊敬の気持ちも、節目のお祝いなら素直に書けます。メッセージの書き出しは、「古希おめでとう」「70歳の誕生日おめでとう」といったシンプルな言葉で十分です。
2つ目の「前向きな表現」は、意外と難しいところです。たとえば「まだお若いですね」という言葉は、裏を返せば「年齢のわりに」という意味にも取れます。それよりも「いつもアクティブで尊敬しています」「これからも一緒に山歩きしましょう」のように、今の姿やこれからの楽しみを肯定する言葉のほうが、相手の心にまっすぐ届きます。
3つ目の忌み言葉は、次の見出しで詳しく紹介しますが、「年寄り」「老い」などの言葉は避けるのがマナーです。書き終えたら一度声に出して読んでみて、ご本人の立場で聞いたときに引っかかる言葉がないか確かめてみましょう。
カード・手紙・LINEの文字数目安
メッセージの長さは、メッセージカードなら100~150字(4~6行)、手紙なら300~500字(便箋1~2枚)、LINEなら3~5行程度が読みやすい目安です。
カードは、スペースが限られているぶん、伝えたいことを1つに絞るのがコツです。「おめでとう」「ありがとう」「これからもよろしく」の3点を、それぞれ1〜2行で書けば、ちょうど収まります。
手紙なら、具体的な思い出を1つ入れられます。「小学生のとき、毎朝駅まで送ってくれたこと」「初めて一緒に釣りに行った日のこと」など、ご本人が「そんなこともあったね」と思い出せるエピソードがあると、読み返したくなる手紙になります。
LINEで送る場合は、長文になりすぎないよう注意しましょう。スマートフォンの小さな画面で長い文章を読むのは、70歳の方には負担になることもあります。LINEでは短くお祝いを伝え、詳しい気持ちは食事会の席で直接、あるいは手書きのカードで伝える、という使い分けがおすすめです。
相手別の例文(父・母・義父母・祖父母・上司・友人)
メッセージは、相手との関係によって盛り込む内容を変えると、ぐっと心に届くものになります。シーン別に例文を紹介します。
父へ:「お父さん、古希おめでとう。休みのたびに釣りに連れて行ってくれたこと、今でもよく思い出します。これからも好きな釣りを続けて、また孫たちにも教えてあげてください」。感謝に加えて、趣味や家族のつながりに触れるのがポイントです。
母へ:「お母さん、70歳の誕生日おめでとう。お母さんの作る筑前煮の味は、今も我が家の目標です。いつも明るく家族を支えてくれてありがとう」。手料理など具体的な思い出を入れると、温かさが伝わります。
義父母へ:「お義父さん、古希おめでとうございます。○○さん(配偶者)を育ててくださったことに、改めて感謝しています」。敬意を込めつつ、配偶者を育ててくれたことへの感謝を添えると好印象です。
祖父母へ:「おばあちゃん、古希おめでとう。小さいころに教えてもらったおはじきやお手玉、今でもできるよ。また一緒に遊ぼうね」。昔の思い出や教わったことに触れると、孫らしさが出ます。
上司・恩師へ:「古希を迎えられましたこと、心よりお祝い申し上げます。新人のころに教えていただいた○○は、今も私の仕事の軸になっています」。具体的に学んだことを書くと、形式的な挨拶に終わりません。友人へは、「古希おめでとう!次の旅行の計画も楽しみにしているよ」と、親しみを込めた表現で共有した思い出に触れるとよいでしょう。
避けたい忌み言葉と、言い換えのコツ
古希のメッセージで避けたいのは、「終わる」「老いる」「ボケる」「衰える」「年寄り」などの言葉と、「4(死)」「9(苦)」を連想させる数字です。
長寿祝いは「これからも元気でいてほしい」という願いを込めるお祝いなので、人生の終わりや衰えを連想させる言葉は、たとえ冗談でも避けるのがマナーです。また、「いつまでもお元気で」という表現も、人によっては「残り時間」を意識させることがあるので、「これからもご一緒させてください」など、未来の楽しみを共有する表現に言い換えるとやわらかくなります。
具体的な言い換え例としては、「老後の楽しみに」→「これからの楽しみに」、「もう年なんだから無理しないで」→「のんびり楽しんでね」、「最後に一度」→「次はぜひ」などがあります。
ただし、親しい間柄で、ご本人がユーモアを好むタイプなら、「70歳とは思えない若さ!」くらいの軽い冗談は場を和ませることもあります。相手の性格をいちばんよく知っているのは、贈る側のあなたです。迷ったら、無難で温かい言葉を選んでおけば間違いありません。メッセージのマナーは、古希祝いのメッセージ例文集も参考になります。
・「まだお若いですね」→「いつもアクティブで尊敬しています」
・「いつまでもお元気で」→「これからもご一緒させてください」
・「老後の楽しみに」→「これからの楽しみに」
・「無理しないで」→「のんびり楽しんでね」
まとめ
古希のお祝いに、決まった正解はありません。大切なのは、70年を歩んできた方に「ありがとう」と「これからもよろしく」を伝えることです。最初の一歩として、今週のうちにご本人か兄弟へ「古希のお祝い、どうしようか」と一言声をかけてみてください。
※相場やマナーは地域・家庭によって異なります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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