11月の壁面飾りは高齢者と作れる8案|110円材料でもみじ・七五三・勤労感謝の日

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カレンダーが11月に変わると、施設の壁が急に寂しく見えてくる——そんな声をよく聞きます。ハロウィンの飾りを外したあと、次に何を貼ればいいのか。クリスマスにはまだ早いし、かといって秋の名残だけでは10月と代わり映えしない。11月の壁面飾りは、じつは一年でいちばん「間が空きやすい」時期なのです。

結論から言うと、11月の壁面はもみじ・いちょうの紅葉、七五三、実りの秋、そして勤労感謝の日という4本柱で考えると迷いません。しかも材料は110円ショップの折り紙と色画用紙でほぼ足ります。大切なのは見栄えよりも、高齢の方が「自分の手で作った」と感じられる工程を残しておくことです。

この記事では、110円の材料でできる11月の壁面飾り8案と、手の力が弱い方でも参加できる工程の分け方、そして飾りながら会話が生まれる声かけまでをまとめました。デイサービスの職員さんはもちろん、ご家庭でお孫さんと飾り付けを楽しみたい方にも使える内容です。

📝 押さえておきたいポイント
・11月の壁面は「紅葉・七五三・実り・勤労感謝」の4テーマで組み立てる
・材料は110円ショップの折り紙(15cm角・70枚入)と色画用紙で足りる
・塗る/切る/貼るの3工程に分ければ、手の力が弱い方も必ず参加できる
・完成度より「作っている時間の会話」が、季節を感じる手がかりになる
目次

11月の壁面飾りが高齢者と一緒に作りやすい理由

11月の壁面飾りが高齢者と一緒に作りやすい理由の解説画像

11月は、壁面づくりを利用者さんと一緒にやるのに向いた月です。理由は3つあります。テーマがはっきりしていること、モチーフの形が単純なこと、そして作業が屋内で完結することです。順番に見ていきます。

テーマが4つに絞れるから、迷わず始められる

11月の壁面は、紅葉・七五三・実りの秋・勤労感謝の日という4つのテーマでほぼカバーできます。10月がハロウィンと運動会と秋祭りで散らかりがちなのに比べ、11月は日本の暦の行事が中程度の密度で並んでいるため、1枚の壁に無理なく収まります。

背景には、11月の暦そのものがあります。内閣府「国民の祝日について」によれば、11月3日は文化の日で法律上の趣旨は「自由と平和を愛し、文化をすすめる。」、11月23日は勤労感謝の日で「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。」と定められています。どちらも国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に基づくものです。加えて11月15日の七五三があり、月の前半・中盤・後半に自然な区切りができます。

実務としては、月初に紅葉を貼り、中旬に七五三の千歳飴を足し、下旬に「ありがとう」のメッセージを加える——という3段階の貼り足し方式にすると、1回30分程度の作業を3回に分けられます。注意点は、4テーマ全部を初日に並べようとしないこと。壁が一気に埋まると、その後の3週間が手持ち無沙汰になります。

もみじ・いちょう・どんぐりは、形が単純で失敗しにくい

11月のモチーフは、線が少なく左右対称のものが多いのが特徴です。もみじは五角形を基本に切り込みを入れるだけ、いちょうは扇形、どんぐりは楕円と帽子の2パーツ。ハロウィンのコウモリやクリスマスのトナカイのように、細い脚や角を切り抜く必要がありません。

これは手指の巧緻性が落ちてきた方にとって大きな違いになります。はさみで細い部分を切ろうとして紙が破れると、その一枚は作り直しになり、本人の意欲もそこで途切れます。形が単純であれば、多少線からはみ出しても「味のあるもみじ」として成立します。

折り紙で作る場合も同じです。いちょうは折り紙を折ってはさみで切る切り絵の方法で作れますし、もみじはひし形に折ったパーツを放射状に並べて貼ると立体感が出ます。折る作業の繰り返しそのものが手指の運動になります。ただし、折り工程が5回を超えると混乱する方が出てくるので、そのときはあらかじめ切った形を用意して貼るだけの工程に切り替えてください。

屋外に出なくても季節を感じられる壁になる

11月は朝晩の冷え込みが進み、外出レクリエーションを組みにくくなる月です。紅葉狩りに行きたくても、移動と気温のリスクを考えると見送る施設が多くなります。だからこそ、屋内の壁が季節を伝える役割を持ちます。

マイナビ介護職の「認知症ケアの現場から」では、壁面飾りづくりのねらいとして「余暇時間が充実して生活の質が向上する」「季節の移り変わりが感じられ、見当識が賦活される」ことが挙げられています。今が何月なのかを、カレンダーの数字ではなく色で伝えられるのが壁面の強みです。

ちなみに紅葉の見頃そのものは、思っているより遅めです。日本気象協会の2025年紅葉見頃予想(第3回・11月6日更新)では、全国的に見頃が遅く、東日本・西日本は11月下旬の見込みとされていました。つまり壁に紅葉を貼る時期と、外の木が色づく時期は3週間ほどずれることになります。月初に真っ赤な壁を作ると外の景色と合わないので、月初は黄色や橙色を多めに、下旬に赤を足していくと現実の季節と歩調が合います。

💡 暮らしの知恵
壁面の色は「月初は黄・橙 → 下旬に赤」の順で足していくと、窓の外の紅葉と色がそろいます。最初から完成させず、毎週1色ずつ足す設計にしておくと、参加の機会も3回に増えます。

何を飾る?11月ならではのモチーフ選び

テーマが決まっても、具体的に何を貼るかで手が止まります。ここでは4つの柱ごとに、使えるモチーフと会話のきっかけになる背景知識をまとめます。

もみじといちょう:赤と黄のバランスは6対4が目安

紅葉の壁面で最も差が出るのが色のバランスです。赤いもみじばかりを貼ると壁全体が重く沈み、黄色ばかりだと春の菜の花に見えてしまいます。赤系6割・黄系4割を目安にし、そこに茶色の落ち葉を数枚混ぜると、奥行きが出ます。

紅葉(モミジ)と黄葉(イチョウ)は、そもそも見頃の時期が異なります。同じ「紅葉」とひとくくりにされがちですが、街路樹のイチョウが黄色く染まる時期とモミジが赤くなる時期はずれるため、壁面でも両方を混ぜたほうが実景に近くなります。

作り方は、色画用紙を型紙どおりに切る方法と、折り紙で折る方法の2通り。人数が多いときは色画用紙、じっくり取り組みたいときは折り紙が向きます。注意点として、赤い色画用紙は日光で退色しやすいので、窓に近い壁面は1か月で貼り替える前提にしておいてください。

七五三:11月15日の由来を知ると会話が変わる

七五三は11月の壁面で使いやすいモチーフです。千歳飴の袋、晴れ着の子ども、神社の鳥居——形が明快で、色も紅白ではっきりします。そして何より、利用者さんご自身やお子さん・お孫さんの思い出話が出てきやすいテーマです。

神社本庁の公式サイトによれば、七五三は3歳の「髪置(かみおき)」、5歳の「袴着(はかまぎ)」、7歳の「帯解(おびとき)」に由来するとされています。髪置は男女児ともに行われた儀式で、この日を境に髪を伸ばし始めたもの。袴着は男児がはじめて袴を着ける儀式、帯解は女児が幼児用の付紐をやめて大人の帯を締める儀式です。

11月15日に定着したのは江戸時代からで、5代将軍徳川綱吉が息子の徳松の健康を盛大に祈願したことが庶民に広まったともいわれています。この由来を作業中にひとこと添えるだけで、「うちは7歳で帯を締めた」「男の子だから5歳だけだった」といった記憶が引き出されます。地域によって祝う年齢や数え年・満年齢の扱いが違うので、「そちらではどうでした?」と幅を持たせて聞くのがコツです。

実りの秋:柿・さつまいも・きのこは立体にすると映える

11月は収穫の実感が残る月です。柿、さつまいも、きのこ、栗、稲穂といったモチーフは、平面で貼るより少し膨らませたほうが壁面が生きます。画用紙を2枚重ねて間に丸めた紙を挟むだけで、簡単な立体になります。

この「実り」のテーマは、勤労感謝の日ともつながっています。勤労感謝の日の趣旨には「生産を祝い」という言葉が入っており、収穫を祝う気持ちが法律の文言に残っています。壁面の中で、実りのかごと「ありがとう」のメッセージを並べて配置すると、11月後半までそのまま使えます。

注意したいのは食べ物モチーフの扱いです。柿やさつまいもを本物そっくりに作ると、認知機能が低下している方が口に運ぼうとすることがあります。壁面は手の届かない高さに貼る、小さなパーツは使わない、という2点を守ってください。

文化の日と勤労感謝の日:祝日を壁に取り込む

祝日は壁面のアクセントになります。文化の日(11月3日)は「自由と平和を愛し、文化をすすめる。」という趣旨のとおり、書道・俳句・手芸といった文化的な活動と相性がいい日です。利用者さんが書いた習字や俳句を壁面の一部として貼ると、それ自体が飾りになります。

勤労感謝の日(11月23日)は、施設の壁面で最も温かい仕上がりになるテーマです。「ありがとう」を書いた葉っぱを木に貼っていく形にすると、利用者さんからご家族へ、職員へ、あるいは職員から利用者さんへとメッセージが行き交います。11月下旬の1週間だけの企画として区切ると、書く負担も軽くなります。

もう一つ、意外な11月の記念日が「いい夫婦の日」です。「いい夫婦の日」公式サイトによれば、1988年に財団法人余暇開発センター(現・日本生産性本部)が、夫婦で余暇を楽しむゆとりあるライフスタイルを提案するものとして11月22日を提唱したものです。ご夫婦で通所されている方がいる施設なら、壁面の隅に小さく入れておくと喜ばれます。ただし配偶者を亡くされた方への配慮は必要なので、目立つ場所には置かないほうが無難です。

📊 データで見る
日本気象協会の2025年紅葉見頃予想(第3回・11月6日更新)では、全国的に見頃が遅く、東日本・西日本は11月下旬の見込みとされました。壁面に赤を増やすのは中旬以降にすると、窓の外の景色と色がそろいます(出典:日本気象協会 tenki.jp)。

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110円材料でできる11月の壁面飾り8案

110円材料でできる11月の壁面飾り8案の解説画像

ここからは具体的な8案です。すべて110円ショップで買える材料で作れます。ダイソーの単色おりがみは15cm×15cmで70枚入、色画用紙はセミB4サイズの10色10枚セットが、それぞれ110円(税込)です。100円ショップの本体価格は100円で、品ぞろえと在庫は店舗によって異なります。

案1・2:大きなもみじの木と、いちょう並木

案1「一本の大木」は、模造紙に茶色の幹を描き、そこへ全員で切ったもみじを貼っていく王道です。幹はあらかじめ職員が用意し、葉は人数分を各自が切ります。1人3枚ずつでも20人いれば60枚になり、壁一面が埋まります。所要は1回30分、材料は折り紙110円と色画用紙110円の合計220円ほど。

案2「いちょう並木」は、黄色の折り紙を扇形に切り、根元を細くまとめた葉を横一列に並べる構成です。じゃばら折りを使うと扇形が出しやすく、折る動作の繰り返しがそのまま手指の運動になります。並木道に見せたいときは、下部に茶色の帯を貼って地面を作り、そこにも落ち葉を数枚散らします。

どちらも注意点は同じで、葉を貼る位置を職員が決めないことです。バランスを整えたくなりますが、貼る場所を指定された瞬間に作業が「作業」になります。多少偏っても、それが集団で作った証拠になります。

案3・4:七五三の千歳飴と、鳥居のある神社

案3「千歳飴の袋」は、細長い長方形に鶴亀・松竹梅を描くだけで形になります。袋の色は紅白が基本。中の飴は白い画用紙を細長く切って、赤いラインを引けば完成です。文字が書ける方には「祝 七五三」の文字を担当してもらうと、書道の時間にもなります。

案4「鳥居と晴れ着の子ども」は、朱色の画用紙を3本の帯に切って組むだけで鳥居ができます。晴れ着の子どもは、着物部分を千代紙や柄入りの折り紙で作ると一気に華やかになります。顔は描かず、丸い肌色の紙だけにしておくと、見る人それぞれの記憶の中の子どもと重なります。

七五三モチーフの落とし穴は、細部にこだわりすぎることです。晴れ着の柄を再現しようとすると1人1時間かかります。柄は折り紙の模様に任せて、形だけを追うのが完成への近道です。材料は千代紙を足しても330円ほどで収まります。

案5・6:落ち葉のガーランドと、みのむしの木

案5「落ち葉のガーランド」は、切った葉を紐に貼って壁の上部に渡す形式です。壁面が広すぎて埋まらないときの救世主で、横方向の空白を一気に解決します。葉を1枚ずつ紐に貼る作業は座ったままできるため、車いすの方も参加しやすい工程です。

案6「みのむしの木」は、11月らしさが出るわりに知られていないモチーフです。トイレットペーパーの芯や丸めた画用紙に、細く切った茶色や橙色の紙を貼り重ねてみのむしを作り、枝からぶら下げます。細く切った紙を貼る作業は指先を使うので、細かい作業が得意な方に向いています。

この2案は、材料の切れ端が主役になるのが利点です。案1〜4で出た画用紙の余りを取っておけば、追加の材料費はほぼゼロ。逆に注意点として、細い紙片は床に落ちると滑るので、作業後の床の確認を忘れないでください。

案7・8:ありがとうの木と、初雪の富士山

案7「ありがとうの木」は、勤労感謝の日に合わせた11月下旬向けの案です。葉っぱの形に切った紙に一言ずつメッセージを書いて、幹に貼っていきます。書くのが難しい方には、職員が聞き取って代筆し、最後に本人に色を塗ってもらう形にすれば全員が参加できます。

案8「初雪の富士山」は、11月から12月への橋渡しになるモチーフです。青と白の画用紙で富士山を作り、周囲にはまだ赤いもみじを残します。紅葉と雪が同居する構図は11月後半にしか成立しないので、季節の移り変わりを一枚で表現できます。12月に入ったら、もみじだけを外してクリスマスの飾りに差し替えられるのも利点です。

8案すべてを1か月でやる必要はありません。大きな案1つ+小さな案2つで、11月の壁面は十分に成立します。残りは来年の候補として写真に撮っておくと、翌年の企画会議が5分で終わります。

✅ 11月の壁面づくり 持ち物チェックリスト
  • ☑ 折り紙(15cm角・70枚入/110円)赤・黄・橙・茶
  • ☑ 色画用紙(セミB4・10色10枚/110円)
  • ☐ はさみ(利き手別・ばね付きなど複数種類)
  • ☐ のり・両面テープ(液体のりは乾きにムラが出やすい)
  • ☐ 色鉛筆と太めの油性ペン
  • ☐ 模造紙(幹や台紙用)とバインダー(紙の固定用)

手が動かない人も参加できる工程の分け方

壁面づくりで最も差が出るのは、デザインではなく工程設計です。同じ作品でも、工程の刻み方ひとつで参加できる人数が倍近く変わります。

「塗る・切る・貼る」の3工程に分解する

基本は、1つの作品を塗る係・切る係・貼る係に分けることです。マイナビ介護職の記事で紹介されているもみじの壁面飾りも、塗り絵の図案(もみじ・落ち葉・ドングリ・キノコなど)を用意する→利用者さんに塗ってもらう→完成した塗り絵を切ってもらう→大きなもみじの台紙に貼る→壁に飾って完成、という流れで組み立てられています。

この分け方の利点は、能力に合わせて工程を割り当てられることです。はさみが使えない方は塗る係、色の判別が難しい方は貼る係、というように、その日の状態で担当を入れ替えられます。1人が最初から最後まで作る形にすると、途中でつまずいた人がそこで抜けてしまいます。

実務上のコツは、工程ごとにテーブルを分けること。同じテーブルで塗る人と切る人が混ざると、はさみが行き来して危険です。また、切る係のテーブルには職員を1人つけ、はさみの受け渡しを管理してください。

輪郭を太く、紙は固定する:小さな工夫が完成度を変える

同じ記事では、取り組みやすくする工夫として次の4点が挙げられています。輪郭(いちばん外側の線)を太くしておくこと、バインダーで紙を固定すること、複数のはさみを用意して選んでもらうこと、職員があらかじめ図案をおおまかに切っておくことです。

輪郭を太くする効果は想像以上です。細い線だと、どこを切るのか見えずに手が止まります。太い線なら線の内側を切っても外側を切っても線の上に収まるので、失敗という概念が消えます。目の状態が変わりやすい高齢の方にとって、この差は参加できるかどうかの分かれ目になります。

バインダーでの固定も同じ理屈です。片手の力が弱い方は、紙を押さえながら切るという2つの動作を同時にできません。紙が固定されていれば、はさみを持つ手だけに集中できます。100円ショップのクリップボードで代用できるので、人数分そろえておくと毎月使えます。

力が弱い方には、ちぎり絵とスタンプという選択肢

はさみがどうしても難しい方には、紙をちぎって貼るちぎり絵が向いています。もみじの形にちぎるのではなく、赤や黄の紙を無作為にちぎって、大きな葉の形の中に貼り詰めていく方法です。輪郭は職員が用意し、中を埋める作業だけを任せます。

もう一つはスタンプです。丸めた新聞紙に絵の具をつけて押すだけで、木の葉の茂みが表現できます。手指の細かい動きが要らず、腕の動きだけで参加できるため、麻痺がある方でも取り組めます。片手だけで完結する工程を1つ用意しておくと、参加率が上がります。

注意点は、代替工程を「簡単な方」と説明しないことです。「こちらのほうが色が豊かになるので、お願いできますか」と依頼の形にすると、受け取り方がまったく変わります。工程に優劣をつけない声かけが、参加の意欲を守ります。

失敗パターン①:職員が仕上げてしまい「自分の作品」でなくなる

よくある失敗が、作業終了後に職員が「整えて」しまうケースです。曲がった葉をまっすぐ貼り直し、はみ出した色を切り落とす。壁は美しくなりますが、翌日に利用者さんが壁を見上げても、自分が貼った葉がどこにあるかわかりません。

原因は、壁面を「掲示物」として評価する目線です。ご家族や見学者に見られるという意識が働くと、どうしても完成度を優先してしまいます。しかし壁面飾りのねらいは、生活の質の向上と季節の実感にあります。整った壁と、本人が指させる壁は別物です。

対策は簡単で、「ここは○○さんが貼ったところ」と指させる目印を残すこと。葉の裏に小さくお名前を書いておく、あるいはグループごとに色を分けて貼る場所を決めておけば、多少不揃いでも本人が自分の担当を見つけられます。整えるのは全体の配置だけにとどめてください。

✅ 工程を分けるときの進め方
  1. Step1: 前日に図案を印刷し、輪郭線を太いペンでなぞって太くしておく
  2. Step2: 塗る/切る/貼る/ちぎるの4テーブルを分け、各テーブルに職員を1人配置する
  3. Step3: 当日の様子を見て担当を振り分け、途中で疲れた方は別工程へ移す
  4. Step4: 貼る位置は本人に決めてもらい、職員は全体の配置だけ最後に調整する

壁面以外の秋の手仕事もあわせて用意しておくと、作業のバリエーションが広がります。

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材料費と所要時間の目安を8案で比べる

企画を通すときに必ず聞かれるのが、いくらかかって何分かかるのかという2点です。ここでは8案を材料費・所要時間・難易度で並べます。

8案の材料費・所要時間・難易度一覧

下の表は、20人規模のデイサービスで実施した場合の目安です(高齢者あんしんノート調べ)。材料費は110円ショップで買い足す分のみで、はさみ・のりなど既存の備品は含みません。

材料費の目安所要時間手指の負担
1 一本の大木220円30分
2 いちょう並木220円40分
3 千歳飴の袋330円40分
4 鳥居と晴れ着330円50分
5 落ち葉のガーランド110円20分
6 みのむしの木110円40分
7 ありがとうの木220円30分
8 初雪の富士山440円50分

この表から読み取れるのは、材料費より時間のほうが制約になるということです。8案すべてを足しても1,980円ですが、合計時間は5時間近くになります。週1回のレクリエーション枠で回すなら、11月中に実施できるのは3〜4案が現実的な上限です。

110円ショップで買うもの・買わなくていいもの

買うべきは、折り紙・色画用紙・両面テープの3点です。折り紙は赤・黄・橙・茶の暖色が11月中に消費されるので、この4色は多めに確保します。色画用紙はセミB4サイズの10色10枚セットが使い勝手がよく、幹や台紙にも流用できます。

逆に買わなくていいのは、既製の飾りです。造花のもみじや完成品のガーランドは110円で手に入りますが、これを買うと利用者さんの工程がなくなります。買うなら、壁の隅を埋める補助として1〜2点まで。主役は必ず手作りのパーツにしてください。

のりについては、スティックのりを人数分そろえるより、両面テープを職員が事前に貼っておく方法が扱いやすくなります。液体のりは乾くまで位置がずれ、乾きにムラが出て紙が波打ちます。手が汚れないという点でも、両面テープのほうが作業のストレスが少なくなります。

翌年も使うなら、パーツ単位で保管する

11月末に壁から外した飾りは、作品ごとではなくパーツごとに保管するのがコツです。もみじは色別、いちょうはまとめて、千歳飴は袋のまま——という具合に封筒に分けておけば、翌年は「足りない色だけ作る」形にできます。

保管の敵は湿気と重みです。段ボール箱に平積みすると、下の紙が波打ちます。A4のクリアファイルに挟んで立てて保管すると、翌年もそのまま使えます。名前を書いた葉は、書いた方が翌年もいらっしゃるとは限らないため、別の封筒に分けておくと配慮しやすくなります。

年間を通して壁面の企画を回す施設なら、月ごとに使い回せる土台(幹・空・地面など)を1セット作っておく方法もあります。土台を固定して、季節のパーツだけを差し替える設計にすれば、毎月の準備時間が半分近くまで減ります。

一年分の設計をまとめて考えたい方は、こちらの記事も参考になります。

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制約になるのは費用ではなく時間です。8案の材料費は合わせて1,980円ですが、合計時間は5時間近く。11月に実施できるのは3〜4案までと見積もって、大きな案1つと小さな案2つの組み合わせから決めていくと無理がありません。

飾りながら会話が生まれる壁面にするには

壁面づくりの本当の価値は、完成した壁ではなく作っている時間にあります。ここでは、作業を会話につなげる考え方を整理します。

回想法という考え方を知っておく

健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)によれば、回想法とは昔の写真や音楽、家庭用品などを通じて昔の経験や思い出を語り合う一種の心理療法で、1960年代にアメリカの精神科医ロバート・バトラー氏が提唱したものです。

同サイトでは、その効果として脳が活性化し、活動性・自発性・集中力の向上や自発語の増加が促されること、精神的安定がもたらされ不安や孤独感が和らぐことが挙げられています。実施形態は、マンツーマンで行う個人回想法と、約10名のグループで行うグループ回想法があり、グループ形式は1クール8〜10回、1回1時間程度で組まれるとされています。

壁面づくりは、この構造とよく似ています。10人前後が机を囲み、季節の道具を手にして、30分から1時間ほど手を動かしながら話す。回想法そのものではありませんが、思い出が引き出されやすい場であることは確かです。作業の目的を「壁を埋めること」から「話すきっかけを作ること」に置き換えると、進め方が変わります。

11月のテーマは、質問に変えると話が広がる

会話を引き出すコツは、モチーフを質問の形に置き換えることです。もみじを切りながら「紅葉を見に行かれたのはどちらでした?」、千歳飴を作りながら「七五三のお参りはどなたと行かれました?」といった具合です。

11月は質問の材料が豊富です。勤労感謝の日にちなんで「長く続けられたお仕事は何でしたか」、いい夫婦の日にちなんで「ご結婚は何月でしたか」、初雪にちなんで「雪はいつごろ降る土地でしたか」。どれも答えが一つに決まらない質問なので、話が続きます。

注意点は、答えを急かさないことです。健康長寿ネットでも、安易な肯定・否定はせずに対象者のペースに任せて傾聴を心がけること、守秘義務の遵守と継続性が重要であることが指摘されています。沈黙が続いても、手を動かしていれば場は保ちます。返答が返ってこないときは、職員が自分の話をひとつしてから、また作業に戻ってください。

意外と知られていないけれど、完成しない壁のほうが会話は続く

きれいに完成した壁面は、その瞬間に話題が終わります。「できましたね」で会話が閉じてしまうのです。一方で、余白が残った壁は「ここに何を足しましょうか」という問いを毎日生み出します。

そこで提案したいのが、11月の壁面をあえて7割で止めるという設計です。月初に幹と地面だけ作り、葉は毎週足す。中旬に七五三を加え、下旬に「ありがとう」の葉を貼る。壁が完成するのは11月30日で、翌日には外すことになります。もったいないようですが、1か月間ずっと壁が話題になり続けます。

この方式のもう一つの利点は、体調が優れず参加できなかった方に次の機会があることです。1日で完成させる企画だと、その日に休んだ方は参加できません。3回に分ければ、どこか1回には手を入れられます。ただし、進行状況を職員間で共有しておかないと、誰がどこまで作ったかがわからなくなるので、簡単な記録は残してください。

失敗パターン②:昔話が辛い記憶に触れてしまったとき

思い出を引き出す場では、辛い記憶が出てくることがあります。七五三の話から亡くなったお子さんの話になる、勤労感謝の日の話から職を失った時期の話になる——11月のテーマは家族と仕事に近いぶん、この可能性が他の月より高くなります。

原因は、質問が個人史の核心に触れやすいテーマだからです。「お子さんは何人でしたか」という何気ない問いが、答えたくない領域に踏み込むことがあります。避けようがない以上、起きたときの対応を決めておくことが対策になります。

対応の基本は、話をそらさず、しかし深追いもしないこと。「そうでしたか」と受け止めたうえで、手元の作業に一緒に戻ります。無理に明るい話題へ切り替えると、話した側は否定されたと感じます。その日の様子は記録に残し、次回は同じテーマでの声かけを避けるという申し送りをしておいてください。個別の対応が必要と感じたら、施設の相談員やケアマネジャーに共有するのが筋道です。

⚠️ 気をつけたいこと
11月のテーマは家族と仕事に近く、思い出話が辛い記憶に触れることがあります。受け止めて深追いせず、手元の作業に戻るのが基本。その日の様子は記録に残し、次回の声かけテーマを職員間で共有しておくと、同じ場面を繰り返さずにすみます。

場面別に変える、壁面づくりの進め方

同じ11月の壁面でも、デイサービスと入所施設、ご家庭では条件がまったく違います。ここでは4つの場面ごとに、無理のない進め方を挙げます。

デイサービス:30〜40分で区切り、曜日ごとに担当を割る

通所は、利用日が曜日で分かれているのが特徴です。月曜の方と金曜の方は顔を合わせません。だからこそ、曜日ごとにパーツを割り振る方法が向いています。月曜はもみじ、水曜はいちょう、金曜はどんぐり、というように担当を分ければ、全員が別々のパーツで参加できます。

時間は30〜40分が上限です。それを超えると集中が切れ、後半は職員が代わりに作る形になりがちです。あらかじめ職員が図案をおおまかに切っておけば、実作業の時間を短縮できます。

掲示のタイミングにも工夫の余地があります。作った当日ではなく次回の来所日に貼っておくと、「前回作ったものが飾られている」という発見が生まれます。作業と鑑賞を別の日に分けるだけで、楽しみが2回になります。

特養・入所施設:ベッドサイドでできる工程を用意する

入所施設では、フロアに出られない方が一定数いらっしゃいます。全員参加を目指すなら、居室で完結する工程が必要です。ちぎり絵の紙をちぎる、色を塗る、名前を書く——どれもベッド上のテーブルでできます。

職員が居室を回って集めたパーツを、フロアの壁面に組み込む形にすれば、外に出られない方の手も壁に残ります。貼り終えたあとで「○○さんが作った葉はここです」と写真を撮って見せに行くと、参加した実感につながります。

注意点は、居室での作業に使う道具です。はさみを居室に置いたままにしない、小さなパーツを枕元に残さない、この2点は必ず確認してください。認知機能の状態によっては、紙片を口に運ぶリスクがあります。

ご家庭:孫と一緒に作ると、11月が行事の月になる

ご家庭で飾る場合、規模は小さくて構いません。玄関の壁にA4サイズの台紙を1枚貼り、そこにもみじを5枚並べるだけでも季節は伝わります。お孫さんが来る週末に合わせて企画すると、七五三の思い出話も自然に出てきます。

子どもと高齢の方が一緒に作業する場合、はさみを使う工程は子どもに、貼る位置を決める工程は大人に、と役割を分けるとぶつかりません。年齢差があるほど、担当を分けたほうが両者の満足度が上がります。

材料は110円ショップの折り紙1袋(110円)で足ります。作ったものは、翌年また出せるように玄関の靴箱の上などに保管場所を決めておくと、毎年11月に自然と飾る習慣ができます。

どの場面でも共通する、安全面のチェック

最後に安全面です。11月は火災予防の意識が高まる月でもあります。総務省消防庁の消防白書によれば、秋季全国火災予防運動は11月9日〜11月15日に実施され、火災が発生しやすい時季を迎えるに当たり、火災予防思想の一層の普及を図り、火災の発生を防止し、死傷事故や財産の損失を防ぐことを目的としています。11月9日は119番の日で、総務省消防庁が1987年(昭和62年)に制定したものです。

壁面飾りは紙が主材料なので、避難経路の表示を隠さないこと、消火器や火災報知器の前をふさがないこと、暖房器具の近くに垂らさないことの3点は必ず確認してください。ガーランドを壁の上部に渡すときは、スプリンクラーヘッドの散水を妨げない位置かどうかも見ておきます。

もう一点、はさみと小さなパーツの管理です。作業後にはさみの本数を数えて回収する、床に落ちた紙片を拾う、この2つを終了時の手順に組み込んでおきます。せっかくの楽しい時間を事故で終わらせないために、片付けまでを一つの工程として設計してください。

✅ 掲示前の安全チェックリスト
  • ☑ 避難経路・非常口の表示を隠していないか
  • ☐ 消火器・火災報知器・スプリンクラーの前をふさいでいないか
  • ☐ 暖房器具の近くに紙が垂れ下がっていないか
  • ☐ 手の届く高さに、口に入る大きさのパーツがないか
  • ☐ 作業後にはさみの本数を数えて回収したか

まとめ:11月の壁面は「4テーマ・110円・3回に分けて」で決まる

🍀 この記事の結論

11月の壁面は紅葉・七五三・実り・勤労感謝の4テーマで組み立てれば迷いません。110円の折り紙と色画用紙を用意し、3回に分けて貼り足していきましょう。

✅ 要点チェック
  • 4テーマ:紅葉・七五三・実り・勤労感謝
  • 材料費:折り紙と色画用紙で220円から
  • 工程分け:塗る・切る・貼るの3つに分解
  • 参加の工夫:輪郭を太く、紙は固定する
  • 安全確認:避難経路と消火設備をふさがない

まずは模造紙に幹を1本描くところから始めてみてください。幹さえ壁にあれば、あとは毎週1色ずつ葉を足していくだけで11月が過ぎていきます。8案すべてを完璧にこなす必要はありません。大きな案を1つ選び、余白を残したまま貼り始める——それだけで、壁は1か月間ずっと会話の種になります。作りながら聞いた思い出話は、来年の企画のいちばんの資料にもなります。

なお、100円ショップの品ぞろえや在庫は店舗によって異なり、紅葉の見頃も年によって変わります。制度や記念日の趣旨を含め、最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

シニア世代の暮らしに役立つ情報を発信中。孫へのお祝いマナーや冠婚葬祭のしきたり、健康管理や終活の準備まで、日常の「困った」を解決する記事を心がけています。ご家族の方にも読んでいただける、安心できる情報源を目指しています。

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