8月に入ると、施設の壁がまだ7月のままで気になっている――そんな声を毎年この時期に聞きます。七夕飾りを外したあと、次に何を貼ればいいのか手が止まってしまう。材料を買いに行く時間もない。そんな状態で8月を迎えてしまうと、あっという間にお盆が過ぎて9月になってしまいます。
結論から言えば、8月の壁面飾りは「涼しさ」「夏祭り」「季節の節目」の3つだけ押さえれば形になります。しかも材料はダイソーやセリアで買える税込110円の折り紙と色画用紙でほぼ足ります。凝った道具も、絵心も要りません。
この記事では、高齢者の方と一緒に作れる8月の壁面飾りを8案、作り方の手順と所要時間つきで紹介します。あわせて、山の日やお盆といった8月の暦の押さえ方、手指の力が落ちてきた方でも参加できる工程の分け方、そして猛暑の8月だからこそ気をつけたい熱中症や道具の安全対策までまとめました。読み終えるころには、明日の買い出しリストが決まっているはずです。
・8月の壁面飾りを「涼・祭り・節目」の3本立てで組む考え方
・110円材料で作れる8案の作り方と、所要時間・難易度の比較表
・手指の力や認知機能に合わせた工程の分け方と声かけのコツ
・猛暑の8月ならではの熱中症対策と、はさみ・小物の安全管理
8月の壁面飾りを高齢者と作るなら「涼・祭り・節目」の3本立てで決まる

8月の壁面は、ほかの月にくらべてモチーフの候補が多すぎるのが悩みどころです。花火、風鈴、スイカ、金魚、朝顔、ひまわり、提灯、盆踊り、海……どれも夏らしく、どれを選んでも間違いではありません。だからこそ迷います。そこで、選ぶ順番を決めてしまうと一気に楽になります。
迷ったら「涼しさ」「夏祭り」「季節の節目」の3要素から1つずつ選ぶ
まず選ぶ基準を3つに絞ります。1つ目は「涼しさを感じるもの」。風鈴、金魚鉢、かき氷、スイカなど、見ただけで体感温度が下がるモチーフです。2つ目は「夏祭りらしいもの」。提灯、うちわ、打ち上げ花火など、賑やかさを担当します。3つ目は「季節の節目を示すもの」。山の日、お盆、残暑見舞いといった8月の暦にひもづくモチーフです。
なぜこの3つかというと、壁面飾りには「季節を伝える」以外に「会話のきっかけを作る」という役割があるからです。涼しさのモチーフは体感の話題を、祭りのモチーフは若いころの思い出話を、節目のモチーフは家族や帰省の話題を引き出します。3方向から話の種をまいておくと、壁の前を通るたびに違う会話が生まれます。
実際の配分は、大きな壁(横180cm前後)なら涼2・祭り2・節目1の5パーツ、小さな壁(横90cm前後)なら各1つずつの3パーツで十分です。欲張って8案すべてを1枚の壁に詰め込むと、遠目には何が描いてあるのか判別できなくなります。注意したいのは、同系色のモチーフを隣同士に置かないこと。青系の金魚鉢と青系の風鈴を並べると輪郭が溶けて見えます。間に黄色いひまわりを1つ挟むだけで、ぐっと見やすくなります。
山の日は8月11日、お盆は8月13〜16日|8月の暦を先に紙に書き出す
制作日を決める前に、8月の暦を紙に書き出しておくと段取りが崩れません。8月にある国民の祝日は「山の日」ひとつだけで、日付は8月11日です。内閣府は山の日の趣旨を「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」と定めており、2026年の山の日は8月11日(火)にあたります。
お盆は、全国的には8月13日〜16日の4日間です。ただしこれは地域によって変わります。東京都・神奈川県・石川県・静岡県の一部の都市部では7月13日〜16日の「7月盆」が主流で、沖縄では旧暦にもとづくため年によって9月にずれ込みます。利用者の方の出身地がばらばらな施設では、「うちの田舎は7月だったよ」という話がここから始まります。
もう1つ押さえておきたいのが立秋です。2026年の立秋は8月7日(金)。相手に8月6日までに届くなら暑中見舞い、8月7日以降に届くなら残暑見舞いという線引きになります。壁面に「残暑お見舞い申し上げます」の文字を入れるなら、8月7日以降に貼り替えるのが筋です。8月上旬に「残暑」と貼ってしまうと、暦に詳しい利用者の方から指摘が入ることがあります。逆に言えば、その指摘こそが会話のきっかけになるので、あえて「いつから残暑だと思いますか」と問いかける形で掲示するのも一手です。
- ☑ 8月7日(金)立秋/この日以降に届くものが「残暑見舞い」
- ☐ 8月11日(火)山の日/8月唯一の国民の祝日
- ☐ 8月13日(木)〜16日(日)お盆/全国的な8月盆の期間
- ☐ 7月盆の地域(東京・神奈川・石川・静岡の一部都市部)出身の方がいるか確認
貼り替えは月の前半・後半の2段構えにすると手間が半分になる
8月の壁面は、1日に全部作って月末まで放置、という運用にすると中だるみします。おすすめは前半・後半の2段構えです。8月1日〜12日は「夏祭り・花火」を主役に、8月13日以降は「お盆・残暑」に主役を差し替える。台紙と大きな背景パーツは共通のまま、真ん中の主役だけ入れ替えれば、貼り替え作業は5分で終わります。
この方式が効くのは、制作の負担を分散できるからです。8案を一度に作ろうとすると、1回のレクで2時間近くかかって参加者も職員も疲れます。前半4案・後半4案に分ければ、1回40分程度のレクを月2回組むだけで済みます。月の途中で壁が変わるので、利用者の方が「あ、変わった」と気づいてくれるのも利点です。
気をつけたいのは、共通で使い回す背景パーツの作りです。背景を薄い画用紙で作ると、主役パーツを剥がすたびに一緒に破れます。背景だけは工作用紙や特厚口の画用紙を使い、主役パーツは背面に小さなマスキングテープを貼ってから両面テープで留めると、剥がすときに背景が傷みません。翌月の9月の壁面に背景を持ち越したい場合も、この作り方なら流用できます。

9月が近づくと、デイサービスや特別養護老人ホームの掲示板の前で「今月は何を貼ろうか」と腕を組む方が増えてきます。8月の花火やスイカを外したあと、9月は行事が多い…
材料は110円で足りる|買い出しリストと前日15分の下ごしらえ
壁面飾りでいちばん時間を取られるのは、実は制作そのものではなく買い出しと下ごしらえです。ここを型にしてしまえば、毎月の負担がぐっと軽くなります。100円ショップで買えるものだけで、8案すべてまかなえます。
そろえるのは5点だけ|折り紙・色画用紙・黒台紙・両面テープ・スティックのり
買うものは5点に絞ります。折り紙(15cm角の一般的なもの)、色画用紙、黒または紺の台紙用画用紙、両面テープ、スティックのり。これだけで8案すべてが作れます。ダイソー・セリアともに色画用紙・折り紙・工作用紙はいずれも税込110円が基本価格です。
同じ110円でも、店舗ブランドによって枚数と厚みが違うのは覚えておくと得をします。ダイソーは「特厚口画用紙 四ツ切4枚」「八ツ切10枚」がそれぞれ110円、セリアは「色画用紙 四六判半裁1枚」「色画用紙5枚」がそれぞれ110円という構成です。台紙のように大きくて丈夫な紙が欲しいときはダイソーの特厚口、色数を多く使いたいときはセリアの色画用紙、と使い分けると無駄が出ません。
金額の目安としては、20人規模のデイサービスで8案すべてを作る場合、折り紙3袋・色画用紙4冊・台紙2枚・両面テープ2個・のり3本で合計約1,320円。1人あたり66円の計算です。よくある失敗は、色を欲張って折り紙を7袋買い、半分以上を翌年まで使わずに保管してしまうこと。8月の壁面で本当に出番が多いのは赤・オレンジ・黄・青・水色・緑・黒の7色なので、単色パックが売っていればそちらのほうが結局安く済みます。
型紙は八ツ切1枚から取る|前日15分の下ごしらえで当日が変わる
当日いきなり「はい、ひまわりを作りましょう」と始めると、下絵を描く段階で30分が溶けます。前日に15分だけ時間を取って、型紙を作っておきましょう。八ツ切の画用紙1枚に、ひまわりの花びら・葉・花火の芯・風鈴の本体といった基本形を並べて描き、切り抜いて型紙にします。これを人数分の色画用紙に鉛筆でなぞって渡せば、当日は「線に沿って切る」から始められます。
下ごしらえが効くのは、参加者の手が止まる時間をなくせるからです。工作レクで離脱が起きるのは、待ち時間と「何をすればいいかわからない時間」です。最初の一手が「線を切る」という明確な作業だと、説明を聞き逃した方も周りを見て真似できます。
下ごしらえの具体的な分量は、20人規模で1案あたり型紙3種類・下書き済み用紙20枚が目安。所要時間は慣れれば12〜15分です。注意点として、型紙は毎年使い回せるようクリアファイルに月ごとに入れて保管しておくこと。2年目からは下ごしらえが5分に短縮できます。ただし、鉛筆の線は濃く引きすぎないこと。切ったあとに線が残ると仕上がりが野暮ったく見えるので、切り取り線は紙の裏面に引くのが基本です。
のり・両面テープ・マスキングテープの使い分けで仕上がりが決まる
接着は3種類を使い分けます。スティックのりは紙同士を面で貼るとき、両面テープは壁に留めるとき、マスキングテープは位置決めの仮留めと剥がす前提のパーツに使います。この3つを1つのトレーにまとめて各テーブルに置いておくと、職員が走り回らずに済みます。
なぜ使い分けが必要かというと、8月は湿度と気温が高く、のりの乾きと粘着力が普段と違うからです。冷房の効いた室内でも壁際は温度が上がりやすく、両面テープだけで大きなパーツを留めると、数日後に自重で剥がれ落ちます。特に画用紙を何枚も重ねた立体的なパーツほど落ちやすくなります。
具体的には、直径15cm以上のパーツは両面テープを4か所以上(四隅と中央)に配置し、さらにマスキングテープで上辺を押さえる二重留めにします。逆に、小さな花びらや金魚のような軽いパーツは、両面テープ1か所で十分です。やりがちな失敗は、全部のパーツに同じ量のテープを使うこと。小さいパーツにテープを付けすぎると、剥がすときに台紙ごと破れます。
失敗パターン①「翌朝には床に落ちている」を防ぐ貼り方の一手間
8月の壁面でいちばん多い失敗が、作った翌日の朝に主役のパーツが床に落ちているというものです。原因の多くは、壁の材質と接着剤の相性にあります。ビニールクロスや塗装壁は表面に細かな凹凸があり、両面テープの接地面積が思ったより小さくなっています。そこに夏の高温が加わると、粘着剤が柔らかくなって滑り落ちます。
対策は3つあります。1つ目は、壁に直接貼らず、模造紙や大きめの台紙を1枚壁に固定し、その上にパーツを貼る方式にすること。台紙は上辺を養生テープで長く留めれば安定します。2つ目は、貼る前に壁を乾いた布で拭き、ほこりと油分を落とすこと。これだけで保持力が変わります。3つ目は、重いパーツの下側に「支え」を作ること。パーツの下端に折り返しを作って壁に貼ると、下から支える形になり落ちにくくなります。
壁紙によっては、養生テープや両面テープを剥がすときに表面がめくれることがあります。初めて貼る壁では、目立たない隅に5cm角のテープを24時間貼って剥がし、跡が残らないか確かめてから本番に進んでください。賃貸物件や築年数の経った施設では特に確認が必要です。
ひまわり・花火・風鈴・スイカ|8月前半を彩る壁面4案

ここからは具体的な8案を紹介します。前半の4案は、8月1日〜12日の「夏まっさかり」を表現するモチーフです。どれも折り紙と色画用紙だけで作れて、所要時間は1案あたり20〜40分。工程を分ければ、手指の力が落ちてきた方でも必ず参加できるパートがあります。
案1|ひまわりの貼り絵は「ちぎって貼る」だけで立体感が出る
8月の壁面の主役といえばひまわりです。作り方はいたって単純で、円形に切った台紙に、黄色とオレンジの折り紙をちぎって放射状に貼っていくだけ。オレンジ一色ではなく、黄色・山吹色・オレンジと同系色をランダムに混ぜて貼ると、花びらの陰影が生まれて立体的に見えます。中心の種の部分は、茶色の折り紙を小さくちぎって敷き詰めるか、丸めた新聞紙を茶色の紙で包んで貼ると、ぐっと本物らしくなります。
この案をおすすめする理由は、ハサミを使わずに完成できる点にあります。ちぎる動作は指先の力が弱くなった方でも続けやすく、多少ちぎり方がいびつでも仕上がりに影響しません。むしろ不揃いなほうがひまわりらしく見えます。
所要時間は1輪あたり20〜25分。20人で作れば大小20輪のひまわり畑ができます。会話のネタも豊富で、ひまわりは7月〜9月が開花期、8月2日や8月5日の誕生花としても知られています。名前の由来は太陽の動きを追う「向日性」からで、漢字では「向日葵」。日本での花言葉は「私はあなただけを見つめる」です。制作中にこの話を挟むと、場が和みます。注意点は、ちぎった紙くずが床に散らばること。テーブルごとにレジ袋を1枚テープで留めておくと、片付けが3分で終わります。
- Step1: 色画用紙を直径20cmの円に切り、中心に直径8cmの円を鉛筆で描く(前日の下ごしらえで済ませる)
- Step2: 黄色・山吹色・オレンジの折り紙を3cm角前後にちぎり、外側の輪に放射状に貼る。向きをそろえず、少し重ねるのがコツ
- Step3: 中心の円に茶色をちぎって敷き詰め、裏に緑の画用紙で切った葉と茎を貼って完成
案2|打ち上げ花火は黒台紙と細切り折り紙で夜空を再現する
打ち上げ花火は、8月の壁面飾りとして定番のモチーフです。黒または紺の画用紙を台紙にし、折り紙を幅0.5cm程度の細長い短冊状に切って、中心から放射状に貼っていきます。先端に小さな丸シールを付けると、光の粒が散る瞬間らしくなります。色を1発ごとに変えて、赤・青・金・銀の4発を組み合わせると華やかです。
この案の良いところは、「切る人」と「貼る人」に自然と分業できることです。細長く切る作業はハサミが使える方に、放射状に貼る作業は手指の細かい動きが苦手な方に、と役割を分けられます。仕上がりの見栄えのわりに、1人あたりの作業量は少なくて済みます。
所要時間は1発あたり15〜20分、4発で1時間強。ただし2回のレクに分ければ負担になりません。工夫として、細切りの折り紙を貼る前に指で軽くしごいてカーブをつけると、直線的だった花火が丸みを帯びて実物に近づきます。注意点は、黒い台紙に濃い色を貼ると遠目で見えないこと。紫や濃紺の折り紙は避け、黄・オレンジ・水色・ピンクなど明るい色を選んでください。
案3|風鈴と短冊は「涼しさ」担当|起源の話が会話を生む
軒先に並ぶ風鈴は、見た瞬間に涼を感じさせるモチーフです。作り方は、色画用紙を釣鐘型に切って本体にし、下に細長い短冊を吊るす形。短冊には利用者の方に一言ずつ書いてもらうと、そのまま作品展示になります。介護向けメディアでは型紙付きの制作手順も公開されており、6月から8月まで通して使える壁面として紹介されています。
風鈴が会話を生むのは、由来に物語があるからです。もとをたどると古代インドの仏塔に吊るされた「風鐸」という魔除けの道具にたどりつきます。それが中国に渡って風の向きと音で吉凶を占う「占風鐸」になり、日本へ伝わりました。ガラス製の風鈴が広く知られるようになったのは江戸時代の末期で、これが後に「江戸風鈴」と呼ばれるものです。「昔は音がうるさいと言われてね」といった思い出話が出てくることも珍しくありません。
所要時間は1個あたり15分程度と短めなので、他の案の合間に作れます。20人で作れば20個の風鈴が並び、それだけで壁一面が埋まります。注意したいのは、短冊が長すぎると通行の邪魔になること。廊下に面した壁に貼る場合は、短冊は8cm以内に収め、車いすの方の頭上に触れない高さに調整してください。
案4|スイカ畑は「赤い紙に黒い種」で誰でも失敗しない
スイカは、8月の壁面のおすすめモチーフとして紹介されることが多い題材です。作り方は最も簡単で、赤い色画用紙を半円に切り、外周に緑の画用紙を細く貼って皮にし、黒い折り紙を細く切った種を散らすだけ。半円のスイカを何個も並べて「スイカ畑」にしたり、丸ごと1個の姿を大きく作って中央に置いたりと、応用がききます。
この案が失敗しにくいのは、種の位置に正解がないからです。種を貼る作業は「どこに貼ってもそれらしく見える」ため、手が震える方や視力が落ちてきた方でも安心して参加できます。工作レクで大切なのは、完成度よりも「自分が手を動かした部分がある」という実感です。
所要時間は1個あたり10〜15分。20人で20個作れば十分な量になります。会話の広げ方としては、「井戸で冷やしたスイカ」「縁側で食べた種飛ばし」といった記憶を引き出す問いかけが効きます。注意点は、赤い色画用紙は日光で色あせやすいこと。窓際の壁に貼る場合、8月末には色が薄くなっていることがあるので、月末の貼り替え時に交換する前提で作ってください。
実は、8月の壁面は「作り込みすぎない」ほうが喜ばれます。職員が下絵から仕上げまで整えた美しい壁面より、利用者の方がちぎった不揃いなひまわりが並ぶ壁のほうが、家族の来訪時に足が止まります。「これ、お母さんが作ったんですね」という一言が生まれるのは、完璧に整っていない壁のほうなのです。
金魚鉢・提灯・山の日・朝顔|8月後半に主役を譲る壁面4案
後半の4案は、8月13日以降のお盆から残暑にかけて主役になるモチーフです。前半の花火やスイカを残したまま、真ん中の主役だけを差し替えるイメージで作ると、貼り替えが5分で終わります。
案5|金魚鉢は尾びれの切り方で一匹ずつ表情が変わる
金魚鉢は、涼しさを担当する後半の主役です。大きな水色の楕円を鉢に見立て、その中に折り紙で折った金魚を数匹泳がせます。金魚は折り紙の基本形から作れ、尾びれの切り方を変えるだけで一匹ずつ違う表情になります。長く裂けば流れるような尾に、短く切れば丸みのある琉金風に。折り紙の金魚鉢そのものを折る方法も公開されているので、鉢まで折り紙で作ることもできます。
この案の魅力は、一人ひとりの作品が壁の中で個体として認識される点です。「あれが私の金魚」と指させることが、壁面を自分ごとにします。デイサービスでは、魚やヒトデ・クラゲにシールや包装紙で模様をつける活動も行われており、金魚に千代紙のうろこを貼るアレンジも相性がよい方法です。
所要時間は金魚1匹あたり10〜15分、鉢の作成に20分。20人で20匹の金魚が泳ぐ鉢ができます。注意点は、水色の鉢に赤い金魚を重ねると、色のコントラストが強すぎて目が疲れる方がいることです。鉢の水色は薄めのトーンを選び、水草の緑を数本入れて赤を分散させると落ち着いた見え方になります。
案6|夏祭りの提灯とうちわは「賑やかさ」を一気に足せる
お盆の時期は、地域の盆踊りや夏祭りの記憶と結びつきます。折り紙で作るお祭り提灯は介護向けメディアで折り方が公開されており、高齢者レクの題材として紹介されています。好きな色の折り紙で折れるので、赤・黄・白を混ぜて横一列に並べると、それだけで祭りの空気になります。うちわは、色画用紙を丸く切って持ち手を貼り、表面に朝顔や花火を描く形。壁に斜めに配置すると動きが出ます。
提灯とうちわを推す理由は、8月後半に足りなくなりがちな「賑やかさ」を短時間で補えるからです。お盆モチーフは落ち着いた色調になりやすく、壁全体が沈んで見えることがあります。そこに赤い提灯を5つ並べるだけで、印象が変わります。
所要時間は提灯1個10分、うちわ1個15分。10人が1つずつ作れば横1.5mの帯ができます。工夫として、提灯の下に細長い紙をつけて「房」を作ると本物らしさが増します。注意点は、提灯を蛇腹に折る工程が指先に力を要すること。折り目を職員が先につけておき、利用者の方には広げて貼る工程を担当してもらうと、無理なく参加できます。

デイサービスのレクを任されたとき、あるいは家で過ごす時間をもう少し豊かにしたいと思ったとき、「工作でもしてみようか」という選択肢が浮かびます。ところが実際に探し…
案7|山の日の山並みは、貼り絵で標高差を出すのがコツ
8月11日の山の日にあわせて、山並みを壁面に入れる案です。作り方は、緑・深緑・青緑の3色の画用紙を、それぞれ高さを変えた山型に切り、手前から順に重ねて貼るだけ。奥の山ほど青みを強くすると、遠近感が出ます。頂上に白い雲を1つ置き、麓に小さな木を数本散らせば完成です。季節の壁画は折り紙・切り絵・貼り絵を組み合わせ、一人ひとりの状況に合わせて参加できるのが特徴とされており、山並みはその典型例といえます。
山の日を題材にする意味は、単に祝日だからではありません。内閣府が定める山の日の趣旨は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」というもので、登山だけでなく、山菜採りや里山の暮らしまで話題が広がります。「若いころは山に薪を取りに行った」といった記憶を引き出す入口になります。
所要時間は、3色の山を切って貼るまでで25〜30分。壁の横幅いっぱいに広げるなら、数人で分担して1人1つの山を担当します。注意点は、緑ばかりで単調になりやすいこと。山の間に細く水色の紙を入れて川に見立てるか、麓にひまわりの小さいものを数輪配置すると、色に変化がつきます。
案8|朝顔と残暑見舞いの一言で、9月への橋渡しをする
8月の終わりに向けて主役になるのが朝顔です。紫や青の折り紙を折って開くだけで丸みのある花の形になり、高齢者向けの型紙付き手順も公開されています。プリントを切り抜くだけでも仕上がる方式もあるので、体調に合わせて難易度を選べます。つるは緑の細長い紙をねじって作り、葉はハート形に切って添えます。
朝顔を最後に持ってくる理由は、9月の壁面への橋渡しになるからです。朝顔は夏の花でありながら涼しさを感じさせる色調で、そのまま9月上旬まで残しておいても違和感がありません。ここに「残暑お見舞い申し上げます」の一言を添えると、季節の節目がはっきりします。2026年の立秋は8月7日なので、この文言を貼るのは8月7日以降にしてください。
所要時間は花1輪10分、つると葉を含めて20分程度。20人で作れば、壁一面につるを這わせる分量になります。注意点は、朝顔の紫が黒っぽく沈んで見えること。濃い紫だけでなく、薄紫・水色・ピンクを混ぜ、花の中心に白い丸を貼ると、遠くからでも花の形が判別できます。
後半4案は、前半の壁面を全部はがす必要はありません。台紙と背景の山並み・空はそのまま残し、中央の主役だけを花火から金魚鉢や提灯に差し替えるだけで、8月13日以降の雰囲気に切り替わります。貼り替え作業は5分で終わり、作った方の作品を最後まで壁に残せます。
8案を所要時間と難易度で比べる早わかり表
8案のどれから手をつけるか迷ったときのために、所要時間・難易度・向いている方を一覧にまとめました。数値は20人規模のデイサービスで実施した場合の目安です。
【高齢者あんしんノート調べ】8案の所要時間・難易度・材料費一覧
| 壁面案 | 1人あたり所要時間 | 難易度 | 向いている方・特徴 |
|---|---|---|---|
| ①ひまわり | 20〜25分 | 易 | ハサミ不要。ちぎる動作だけで完成し、失敗が形にならない |
| ②打ち上げ花火 | 15〜20分 | 中 | 細切りはハサミが使える方、貼るのは力が弱い方と分業できる |
| ③風鈴と短冊 | 15分 | 易 | 短冊に一言書けるので、字を書きたい方の出番になる |
| ④スイカ畑 | 10〜15分 | 易 | 種の位置に正解がなく、視力・手指に不安がある方でも安心 |
| ⑤金魚鉢 | 10〜15分 | 中 | 折り紙が得意な方向け。自分の1匹を指させるのが強み |
| ⑥提灯・うちわ | 10〜15分 | 中 | 蛇腹折りは職員が下準備。賑やかさを短時間で補える |
| ⑦山の日の山並み | 25〜30分 | 中 | 大きく切る作業が中心。共同制作で1枚を仕上げたいとき向け |
| ⑧朝顔と残暑見舞い | 20分 | 中 | 折る工程あり。9月の壁面へそのまま持ち越せる |
※20人規模のデイサービスでの実施を想定した目安時間です。材料費は8案すべてを作って合計約1,320円(1人あたり約66円)。難易度は「易=ハサミ不要または直線切りのみ」「中=曲線切りまたは折り工程あり」の2段階で分類しています。
手指の力が弱い方には「ちぎる・貼る・押さえる」の3工程を用意する
難易度が「中」の案でも、工程を分ければ全員が参加できます。ポイントは、どの案にも「ちぎる」「貼る」「押さえる」の3工程を用意しておくことです。ちぎるは握力が弱くても続けられ、貼るは片手でもでき、押さえるは座ったまま数秒で終わります。
この3工程を必ず残すのは、参加の実感が満足度を左右するからです。見ているだけの時間が長いと、次回の誘いに応じてもらえなくなります。5分でも自分の手が動いた記憶があれば、「またやりたい」につながります。
実務的には、テーブルを工程別に分けるのが手っ取り早い方法です。A卓は「ちぎる専門」、B卓は「切る専門」、C卓は「貼り合わせ専門」と分け、パーツをリレー方式で回します。20人を3卓に分ければ、職員2人でも回せます。注意点は、工程で分けると「自分はちぎっただけ」と感じる方が出ること。完成後に「この花びらは○○さんがちぎってくれた分です」と具体的に言葉にすると、この不足感が消えます。
認知症のある方と作るときは「完成見本を1つ先に貼っておく」
認知症のある方と制作するときは、口頭の説明よりも視覚的な手がかりが効きます。制作を始める前に、完成品を1つ壁に貼っておき、「これと同じものを作ります」と実物を示すだけで、理解の負担が大きく減ります。
これが効くのは、工程の全体像が見えないまま手を動かすことが不安につながるからです。「今、何を作っているのか」がわかると、途中で手を止める方が減ります。あわせて、昔の暮らしを題材にすることも有効です。昔懐かしい生活用具や写真を使って過去の体験を語り合う「回想法」は、脳の活性化に加えて自発性・集中力・自発語の増加、情緒の安定、抑うつ傾向の改善が報告されており、総務省の施策資料でも高齢者向けの取り組みとして紹介されています。風鈴やうちわ、スイカといった8月のモチーフは、この回想法の題材としてそのまま使えます。
実際の進め方としては、1回に指示する工程は1つに絞ります。「花びらをちぎって、貼って、葉っぱも付けてください」ではなく、「まず黄色い紙をちぎりましょう」だけ伝え、終わってから次を伝える。注意点は、間違いを訂正しないことです。花びらを裏返しに貼っても、種を外側に貼っても、そのまま壁に飾ります。訂正されると次から手が止まります。

デイサービスや特別養護老人ホームの壁を前にして、「今月は何を貼ろう」と手が止まったことはありませんか。桜が終われば紫陽花、紫陽花が終われば花火、花火が終われば紅…
参加率が上がる声かけと、当日40分の進行の組み立て方
材料と作り方が決まっても、当日の進行がうまくいかなければ、参加者は数人で終わります。ここでは、声かけの言葉から時間配分まで、実際の40分をどう組み立てるかを整理します。
「工作しませんか」より「昔の夏の話を聞かせてください」が効く
参加を呼びかけるとき、「今から工作をします」と言うと、「私は不器用だから」と断られることがあります。言い換えて「昔の夏の思い出を聞かせてください。話しながら手を動かしてもらえたら」と伝えると、応じてくれる方が増えます。
この違いが生まれるのは、工作という言葉が「うまく作れるかどうか」の評価を連想させるからです。一方、思い出話は正解も不正解もありません。手を動かすことが目的ではなく、話す場に来てもらうことが目的だと伝われば、心理的なハードルが下がります。
具体的な問いかけは3つ用意しておくと途切れません。「子どものころ、夏はどこで涼んでいましたか」「お盆はどんなふうに過ごしていましたか」「花火大会に行った思い出はありますか」。この3つで、8案すべてのモチーフに話がつながります。注意点は、答えが返ってこなくても待つこと。10秒ほど間を取ると、思い出すのに時間がかかる方も話し始めます。
役割分担は「切る・ちぎる・貼る・仕上げる」の4工程に固定する
毎回違う分け方をすると、職員も参加者も戸惑います。工程は4つに固定してしまいましょう。切る(ハサミを扱える方)、ちぎる(握力が弱い方)、貼る(片手が使える方)、仕上げる(全体を見て配置を決められる方)。この4分類なら、どの案にも当てはめられます。
固定する利点は、2回目以降の説明が要らなくなることです。「今日も同じ4つに分かれます」と言えば、参加者が自分の持ち場を覚えていて、席に着いた時点で作業が始まります。職員の説明時間が10分から2分に縮まります。
人数配分の目安は、20人なら切る4人・ちぎる8人・貼る6人・仕上げる2人。ちぎる工程を最も厚くするのは、この工程が最も参加できる方が多く、かつ作業量が多いからです。注意したいのは、「仕上げる」を職員が独占しないこと。全体の配置を決める役は達成感が大きい持ち場なので、月替わりで利用者の方に担ってもらうと、次回の参加意欲につながります。
1回の制作は40分以内|集中が切れる前に終わらせる
制作時間は40分を上限に組みます。導入の声かけと材料配布に5分、制作に25分、片付けと講評に10分という配分です。40分を超えると、姿勢の負担で腰や首が痛くなる方が出てきます。
時間を区切るのは、途中で終わったほうが次回につながるからです。「もう少し作りたかった」という状態で終えると、次のレクの参加率が上がります。逆に、疲れ切るまで作ると「工作は疲れる」という記憶だけが残ります。
8案を月2回のレクに割り振るなら、1回目(8月上旬)にひまわり・花火・風鈴・スイカ、2回目(8月中旬)に金魚鉢・提灯・山並み・朝顔という配分です。1回で4案は多いように見えますが、工程分担で並行して進めるので25分に収まります。注意点は、途中で手が空いた方が出ること。予備の作業として「短冊に一言書く」「シールを貼る」を用意しておくと、待ち時間が生まれません。
失敗パターン②「職員が作り込みすぎて、誰の作品かわからない」
もう1つ多い失敗が、仕上がりを整えようとして職員が手を入れすぎることです。曲がった花びらを貼り直し、はみ出したのりを拭き、位置をそろえていくうちに、完成した壁面が「職員の作品」になってしまう。これでは、家族が見に来ても「きれいですね」で会話が終わります。
対策は3つあります。1つ目は、壁面の左右どちらかに「利用者の方の作品だけを貼るゾーン」を作り、そこには職員が一切手を入れないと決めること。2つ目は、作品の脇に小さく名前カードを添えること。名前があるだけで、家族が「これがうちの母のです」と足を止めます。3つ目は、写真を撮って家族に共有すること。制作中の手元の写真を1枚添えるだけで、壁面が施設と家族をつなぐ道具になります。
- 0〜5分: 完成見本を見せて「昔の夏の話を聞かせてください」と声をかけ、工程別のテーブルに材料を配る
- 5〜30分: 制作。指示は1回に1工程だけ。手が空いた方には短冊書き・シール貼りを回す
- 30〜40分: 壁に貼りながら「この花びらは○○さんの分」と名前を出して講評。名前カードを添えて片付け
猛暑の8月ならではの注意点|熱中症・道具・掲示場所
8月の制作レクは、ほかの月と同じ感覚で進めると危険が伴います。暑さと、道具の扱いと、掲示する場所。この3点だけは、制作の前に確認しておいてください。
熱中症の搬送者は5〜9月で10万人超|その57.1%が高齢者
制作に集中していると、水分補給が後回しになります。総務省消防庁のまとめによると、令和7年(2025年)5月から9月の全国の熱中症による救急搬送人員は100,510人で、平成20年の調査開始以降で最も多い数でした。このうち65歳以上の高齢者は57,433人で、全体の57.1%を占めています。成人は33.9%、少年は8.4%です。
見落とされがちなのが、発生場所です。同じ調査で最も多かったのは屋外ではなく住居で、38,292人(38.1%)にのぼります。室内にいても安心とは言えないということです。8月単月の搬送者数は31,526人で、5月から9月の中で7月に次いで多い月でした。
制作レクでの具体策は、25分の制作時間の中間、開始から15分の時点で全員に一度手を止めてもらい、水分を取る時間を作ることです。「喉が渇いた方はどうぞ」ではなく、全員が同時に飲む形にします。加齢に伴って喉の渇きを感じにくくなるため、自己申告に任せると飲まない方が出ます。もう1つの注意点は席の配置で、窓際や壁際は室温が高くなりやすいので、長時間座る制作レクでは避けてください。
令和7年(2025年)5〜9月の熱中症による救急搬送人員は全国で100,510人。うち65歳以上の高齢者が57,433人(57.1%)を占め、発生場所は住居が38,292人(38.1%)で最多。8月単月では31,526人が搬送されています。(出典:総務省消防庁「熱中症情報」)
はさみ・カッターは「使ったらすぐ片づける」を徹底する
制作レクで使う道具の中で、最も注意が必要なのがはさみとカッターです。介護現場向けの解説では、危険が予測される道具は使ったらすぐ片づける、使用中は職員が付き添うといった安全確保を徹底すべきとされています。テーブルの上に出しっぱなしにしないという運用だけで、多くの事故が防げます。
片づけを徹底する理由は、制作中よりも制作の前後に事故が起きやすいからです。作業に入る前の待ち時間や、片づけ中の立ち上がりのタイミングで、置いてあるはさみに手が触れる。この場面が最も危ういのです。
実務的には、テーブルごとに「はさみ回収トレー」を1つ置き、切る工程が終わった時点で職員が回収します。切る工程は制作の最初の10分に集中させ、それ以降のテーブルにはハサミがない状態を作るのが理想です。あわせて、作業中の様子を観察して体調の変化にすぐ対応できる体制も欠かせません。注意点として、利き手が使えなくなった方には、握りやすいループ型のはさみを用意すると参加できる幅が広がります。
小さいパーツの誤飲と、のり・テープの肌トラブルに気を配る
壁面飾りの材料には、丸シールやビーズなど小さいパーツが混じることがあります。認知症が進んだ方の場合、食べ物と誤認して口に入れてしまうことがあるため、直径2cm未満のパーツはテーブルに出さない、という運用にするのが安全です。丸シールを使いたい場合は、あらかじめ台紙に貼った状態で配ると、一粒だけが手元に残る状況を防げます。
もう1つ気をつけたいのが、のりやテープによる肌のトラブルです。高齢になると皮膚が薄くなり、のりが乾いて突っ張ったり、テープを剥がすときに表皮が傷ついたりすることがあります。制作後は手を洗える時間を確保し、指先にのりが残っていないか職員が確認してください。
具体的な準備としては、ウェットティッシュをテーブルごとに1パック、絆創膏を職員が携帯しておくこと。この2つがあれば、その場で対応できます。注意点は、香りの強いウェットティッシュを避けること。閉め切った室内で20人分が一斉に使われると、匂いに敏感な方が体調を崩すことがあります。無香料を選んでください。
掲示場所は「車いすの目線」と「食事中の視界」で決める
完成した壁面をどこに貼るかで、効果が大きく変わります。基準は2つ。1つは車いすに座った方の目線の高さで、床から100〜120cmの帯が中心になります。立位の方に合わせて150cmの高さに貼ると、車いすの方には見上げる位置になり、首に負担がかかります。
もう1つは、食事の時間に自然と目に入る位置かどうかです。食堂で長時間過ごす施設なら、食堂の壁が最も効果的な掲示場所になります。眺める時間が長いほど、会話のきっかけとしての価値が上がります。
実際には、メインの壁面を食堂に、小さいパーツ(風鈴や金魚)を廊下の壁に分散させる形が使いやすい配置です。廊下は歩行訓練の動線でもあるため、数メートルごとに目印があると歩く動機づけにもなります。注意点は、非常口の表示や消火設備の前をふさがないこと。装飾物が避難経路の表示を隠すことは避けなければなりません。貼る前に、消防設備の位置を一度確認しておいてください。
まとめ|8月の壁面飾りは110円と40分で、会話が生まれる壁になる
8月の壁面飾りは、モチーフの候補が多いぶん迷いやすい月です。けれども選ぶ基準を「涼しさ」「夏祭り」「季節の節目」の3つに絞ってしまえば、あとは手を動かすだけになります。ひまわり・打ち上げ花火・風鈴・スイカで8月前半を、金魚鉢・提灯とうちわ・山の日の山並み・朝顔で8月後半を組み立てる。この8案なら、ダイソーやセリアで買える税込110円の折り紙と色画用紙だけで揃います。
大切なのは、きれいに仕上げることよりも、利用者の方の手が入っていることです。ちぎった花びらが不揃いでも、種の位置がずれていても、そのまま貼る。名前カードを添えれば、面会に来た家族が足を止めて「これ、お母さんが作ったんですね」と声をかけてくれます。壁面飾りが施設と家族をつなぐ道具になるのは、そういう瞬間です。
8月は暑さとの兼ね合いも避けて通れません。令和7年(2025年)の5〜9月に熱中症で救急搬送された100,510人のうち、57.1%が65歳以上の高齢者でした。制作の途中で必ず一度手を止め、全員で水分を取る時間を作ってください。はさみは使い終わったらすぐ回収し、小さなパーツはテーブルに残さない。この2つを守るだけで、安心して楽しめる時間になります。
最初の一歩は、買い出しではなく紙とペンです。8月のカレンダーを1枚用意して、山の日の8月11日、立秋の8月7日、お盆の8月13〜16日に印をつけてみてください。そこに制作日を2つ書き込めば、今年の8月の壁面はもう半分決まったも同然です。あとは100円ショップで折り紙と画用紙を選ぶだけ。型紙を作っておけば、来年の8月はさらに楽になります。
なお、国民の祝日の日付は内閣府「国民の祝日について」で、熱中症の最新の搬送状況は総務省消防庁「熱中症情報」で公開されています。お盆の日程や地域の風習は地域差が大きいため、詳しくはお住まいの地域の慣習や施設の方針にあわせてご確認ください。

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