「孫の入学祝い、いくら渡せばいいんだろう……」「年金だけの暮らしで、お祝い金をちゃんと用意できるかな」。そんなふうに気持ちと財布のあいだで揺れている方は、決して少なくありません。
結論から言えば、年金暮らしでもお祝い金は渡せます。ただし「相場通りに出さなければ」と無理をすると、日々の生活費を圧迫してしまう危険があります。大切なのは、行事ごとの相場を知ったうえで「わが家はここまで」というラインを先に決めておくことです。
この記事では、年金収入の実態をふまえながら、孫へのお祝い金の行事別相場、家計を守る工夫、のし袋のマナー、そしてお金をかけずに喜ばれる方法まで、幅広くお伝えしていきます。
・年金暮らしで孫のお祝い金を無理なく渡すための家計管理術
・出産祝いから結婚祝いまで行事別の金額相場一覧
・のし袋の書き方・渡し方の基本マナー
・お金をかけなくても喜ばれるプレゼントアイデア
年金暮らしで孫のお祝い金に悩むのは「あるある」

孫1人に出産から成人まで約70万円という現実
孫が生まれてから成人するまでに、祖父母が渡すお祝い金の総額は1人あたり約70万円にのぼるとされています。内訳は出産祝いに3万〜10万円、入園・入学祝いが計7万〜8万円ほど、誕生日プレゼントが年間1万円として20年で約20万円、さらにお年玉が約7万円、成人祝い・就職祝い・結婚祝いと続きます。
この数字を見て「そんなに?」と驚いた方もいるかもしれません。ただ、これはあくまで一般的な相場を積み上げた数字です。地域や家庭のルールによっては、もっと少額で済むケースもあります。大事なのは「だいたいこのくらいかかるんだな」と全体像を知っておくことで、急な出費に慌てずに済む点です。
注意したいのは、孫が2人・3人といる場合です。70万円×人数で計算すると、3人なら210万円。年金暮らしの世帯には軽くない金額です。「1人目に張り切りすぎて、2人目以降がきつくなった」という声も少なくないので、最初から長期的な視点で計画しておくことをおすすめします。
国民年金だけの世帯は月6万8,000円でやりくりしている
2025年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額6万8,000円です。自営業やフリーランスだった方で、この年金だけが収入源という世帯は珍しくありません。ここから食費・光熱費・医療費を払い、さらに孫のお祝い金を捻出するのは、率直に言ってかなり大変です。
一方、厚生年金を受給するモデル世帯(夫婦2人)の場合は月額約23万円(2025年度時点)。それでも住居費や介護保険料(65歳以上の全国平均は月額約6,014円)を差し引くと、自由に使えるお金は限られます。
年金額は毎年度改定されるため、最新の受給額は日本年金機構の公式サイトで確認するのが確実です。ご自身の年金額を正確に把握しておくことが、お祝い金の予算を組む第一歩になります。
「孫破産」という言葉が生まれた背景
近年、「孫破産」という言葉がメディアで取り上げられるようになりました。これは、孫への出費が重なった結果、老後の家計が立ち行かなくなる現象を指します。お祝い金だけでなく、一緒に遊びに行ったときの外食費やおもちゃ代、帰省の交通費なども含めると、祖父母が孫のために使う金額は年間平均10万8,134円というデータもあります。
孫破産が起きやすいのは、「かわいい孫のためなら」と自分の暮らしを後回しにしてしまうケースです。気持ちはよくわかります。ただ、祖父母の生活が苦しくなれば、結局は子ども世代に心配をかけることになります。
実は、孫破産を防ぐいちばんのポイントは「年間の孫予算を決める」というシンプルな方法です。これについては後ほど詳しくお伝えします。孫への愛情と家計のバランスは、仕組みさえ作れば両立できます。

出産から結婚まで|行事別お祝い金の相場一覧
| 行事 | 相場(祖父母から) | 備考 |
|---|---|---|
| 出産祝い | 3万〜10万円 | 初孫は高めの傾向 |
| 入園祝い | 5,000〜1万円 | 品物でもOK |
| 小学校入学祝い | 1万〜3万円 | ランドセル代として渡す家庭も |
| 中学校入学祝い | 1万〜3万円 | 制服代の足しにする場合あり |
| 高校入学祝い | 1万〜5万円 | 私立の場合は高めに |
| 大学入学祝い | 1万〜5万円 | 一人暮らし準備金を含む場合も |
| 成人祝い | 1万〜10万円 | 振袖・スーツ代を兼ねることも |
| 就職祝い | 3万〜5万円 | 腕時計や名刺入れなど品物も人気 |
| 結婚祝い | 5万〜30万円 | 挙式出席の場合はご祝儀として |
(高齢者あんしんノート調べ/金額は一般的な目安。地域・家庭により異なります)
出産祝いは3万〜10万円だが「初孫プレミアム」に注意
祖父母から孫への出産祝いの相場は3万〜10万円です。金額に幅があるのは、家庭の経済状況や地域の慣習によって大きく異なるためです。たとえば、東北や北陸の一部地域では、初孫の出産祝いに10万円以上を包む慣習が残っているところもあります。
気をつけたいのが「初孫プレミアム」とも呼べる現象です。嬉しさのあまり初孫には10万円を包んだものの、2人目・3人目の孫が生まれたとき同じ金額を続けられず、金額を下げざるを得なくなるケースがあります。子ども世代は「1人目と差がある」と敏感に感じるものです。
年金暮らしであれば、最初から3万〜5万円の範囲に設定しておくのが現実的です。ベビー用品やおむつなどの現物を添えれば、金額以上の気持ちが伝わります。また、出産祝いは生後1週間〜1ヶ月以内に渡すのがマナーですが、退院後の落ち着いたタイミングで渡すのが喜ばれます。
入園・入学祝いは学校の段階で金額が変わる
入園祝いは5,000〜1万円、小中学校の入学祝いは1万〜3万円、高校・大学は1万〜5万円が一般的な相場です。学校の段階が上がるにつれて金額も上がる傾向がありますが、これは制服代や通学定期代など、実際に必要な費用が増えることが背景にあります。
意外と知られていないのが、入学祝いは「品物で渡す」のも立派な選択肢だということです。小学校ならランドセルや学習机、中学なら電子辞書、高校や大学ならノートパソコンなど、実用的な品物は親世代からも歓迎されます。品物は「この金額を包まなければ」というプレッシャーから解放してくれる面もあります。
注意点として、入学祝いは入学が決まってから入学式の2〜3週間前までに渡すのがベストです。早すぎると受験を控えている場合に気まずくなりますし、遅すぎると入学準備に間に合いません。また、内祝いは基本的に不要とされていますが、地域によっては返礼の慣習がある場合もあります。

成人祝い・就職祝い・結婚祝いは金額の幅が大きい
成人祝いは1万〜10万円、就職祝いは3万〜5万円、結婚祝いは5万〜30万円と、人生の大きな節目のお祝いは金額の幅がかなり広くなります。これは家庭の経済力や「どこまで支援したいか」という考え方によって判断が分かれるためです。
成人祝いは2022年の成人年齢引き下げ(18歳成人)以降、渡すタイミングに迷う方が増えました。法的には18歳で成人ですが、多くの家庭では従来通り20歳の「二十歳の集い(旧成人式)」に合わせて渡しています。振袖やスーツの費用を兼ねる場合は5万〜10万円、お祝い金のみなら1万〜3万円が年金暮らしには現実的なラインです。
結婚祝いは式に出席するかどうかで金額が変わります。出席する場合はご祝儀として5万〜10万円(夫婦連名なら10万円が目安)、式なしや欠席の場合は3万〜5万円を包むのが一般的です。ただし年金暮らしであれば、無理のない範囲で構いません。気持ちのこもった手紙を添えれば、金額に関係なく喜ばれます。
お年玉・誕生日プレゼントの「毎年コスト」も計算に入れる
お祝い金に目が行きがちですが、意外と家計を圧迫するのがお年玉と誕生日プレゼントの「毎年コスト」です。お年玉は小学生で3,000〜5,000円、中学生で5,000円、高校生で5,000〜1万円が相場。誕生日プレゼントやクリスマスを合わせると、孫1人あたり年間2万〜3万円ほどの出費が続きます。
これを孫が3人いる家庭で計算すると、年間6万〜9万円。国民年金だけの世帯なら、ほぼ1ヶ月分の年金に相当します。「塵も積もれば」とはまさにこのことです。
対策として、誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントを統合して「冬の贈り物」として1回にまとめる家庭も増えています。また、お年玉の金額は事前に両家で揃えておくと、孫同士の比較やトラブルを防げます。大切なのは、単発の大きなお祝いだけでなく、この「毎年の定期支出」も含めて年間予算を立てることです。
家計を守りながらお祝い金を渡す5つの工夫

年間の「孫予算」を先に決めてしまうのがいちばんの安心策
孫破産を防ぐもっとも効果的な方法は、年間の「孫予算」を先に決めてしまうことです。お祝い金・お年玉・誕生日プレゼント・一緒に出かけたときの外食費まで、すべてひっくるめた上限を設定します。
目安として、年金暮らしの世帯であれば年間5万〜10万円を孫予算の上限にしている方が多いようです。厚生年金を受給する夫婦世帯(月約23万円)なら年間10万円、国民年金のみの世帯なら年間3万〜5万円が無理のないラインでしょう。
予算を決めたら、年間カレンダーに孫の行事を書き出し、金額を振り分けます。たとえば入学祝いがある年はお年玉を少し控えめにする、といった調整ができます。「今年は入学がないから余裕がある」「来年は結婚式があるから今から少し多めに積み立てよう」と、先を見通せるのが最大のメリットです。
- Step1: 年金収入から生活費・医療費・介護保険料を引き、自由に使える金額を算出する
- Step2: 自由に使える金額の10〜20%を「孫予算」として確保する
- Step3: 年間カレンダーに行事を書き出し、孫予算を振り分ける
毎月3,000〜5,000円の「孫積立」で急な出費に備える
年間予算を決めたら、次は「どうやって貯めるか」です。おすすめは、毎月3,000〜5,000円を封筒に入れて「孫積立」として分けておく方法。銀行口座を別にする必要はありません。封筒1枚で十分です。
毎月3,000円なら年間3万6,000円、5,000円なら年間6万円が貯まります。これだけあれば、入学祝いやお年玉など年間のお祝い事にはほぼ対応できます。結婚祝いのような大きな出費がある年は、1〜2年前から月額を少し増やすか、ボーナス的に別途確保しておくと安心です。
ポイントは、お祝い金を「あるお金から出す」のではなく「貯めたお金から出す」発想に切り替えることです。生活費の残りから捻出しようとすると、どうしても「今月は余裕がないから……」と気持ちが沈んでしまいます。先に分けておけば、渡すときも気持ちよく「これ、おばあちゃんが用意しておいたよ」と言えます。
子ども世代と事前に「金額の目線」を合わせておく
お祝い金でトラブルになりやすいのが、祖父母と親世代の「期待値のズレ」です。祖父母が「3万円で十分だろう」と思っていても、親世代が「うちの親は5万円くれるはず」と期待していると、お互いにモヤモヤが残ります。
これを防ぐには、孫が生まれた時点で「うちはお祝いごとに○万円くらいを目安にするね」と、ざっくりとした金額感を共有しておくのが有効です。年金暮らしであることを率直に伝えれば、多くの子ども世代は理解してくれます。
「お金の話はしにくい」と感じる方もいるかもしれません。ただ、事前に話しておかないと、金額が少なかったときに「ケチだと思われたかも」と祖父母が悩み、「親に負担をかけたかも」と子ども世代が気を遣う、という二重の気苦労が生まれます。一度話しておけば、以後ずっと楽になります。
贈与税の基礎控除(年間110万円)を知っておくと安心
お祝い金を渡すときに「贈与税がかかるのでは?」と心配する方がいます。結論から言えば、一般的なお祝い金の範囲であれば贈与税はかかりません。
贈与税には年間110万円の基礎控除があり、1年間に贈与を受けた金額の合計が110万円以下であれば申告も納税も不要です。入学祝いに3万円、お年玉に1万円、誕生日に1万円を渡しても、年間5万円程度ですから110万円には遠く及びません。
ただし、一度に数百万円単位のまとまった金額を渡す場合は注意が必要です。たとえば「孫の大学費用として300万円を一括で」となると贈与税の対象になる可能性があります。教育資金の一括贈与には非課税の特例制度もありますが、制度の詳細や適用条件は税務署や税理士に確認することをおすすめします。
お祝い金の名目であっても、毎年100万円を超えるような高額を継続的に渡すと「定期贈与」とみなされるリスクがあります。年金暮らしの一般的なお祝い金(年間数万円〜十数万円)であれば心配は不要ですが、高額を検討する場合は事前に税理士へ相談しましょう。
シニア割引を活用してお祝い資金を捻出する裏技
お祝い金の原資を増やすには、日常の支出を減らすのが最短ルートです。そこで活用したいのがシニア割引。映画館のシニア割引(60歳以上で1,300円前後)、飲食チェーンの割引パスポート、航空会社のシニア運賃など、使えるものは意外とたくさんあります。
たとえば映画を月2回観る方がシニア割引を使えば、年間で5,000〜6,000円の節約になります。スーパーのシニアデー(5%オフ)を毎週利用すれば、年間1万〜2万円の節約も可能です。これらを「孫積立」に回せば、お祝い金1回分の原資になります。
「節約してまで渡さなくても」と思うかもしれませんが、これは我慢ではなく「使える制度を使って賢く暮らす」ということです。シニア割引は使わなければただの権利のまま。使えば孫の笑顔に変わります。
お祝い金の代わりに喜ばれるプレゼントアイデア
図書カードやギフト券は実用派の孫に鉄板
「現金よりも気軽に渡したい」「金額を明示するのが気恥ずかしい」という方には、図書カードやギフト券がおすすめです。図書カードは500円から購入でき、全国の書店やオンライン書店で使えます。読書好きの孫にはもちろん、参考書や問題集を買う入学祝いにもぴったりです。
Amazonギフト券やQUOカードも若い世代には喜ばれます。Amazonギフト券はコンビニで1,000円から購入でき、メールやLINEで送ることもできるため、遠方に住む孫にも渡しやすいのが利点です。
注意点として、ギフト券には有効期限があるものがあります(Amazonギフト券は発行から10年)。また、商品券のたぐいは「金額がはっきりわかる」ため、相場より少額だと気になる方もいます。3,000〜5,000円程度の図書カードに手書きのメッセージカードを添えれば、金額以上の温かみが伝わります。
図書カードは「全国共通図書券」とは別物です。図書カードNEXTはプリペイド式で残高がスマホで確認でき、有効期限は10年。旧式の図書券(紙製)とは互換性がないので、購入時に「図書カードNEXT」を選びましょう。
ランドセルや学用品など「モノで贈る」と金額のプレッシャーが減る
入学祝いの場合、現金ではなく「モノ」で贈るのも賢い選択です。小学校入学ならランドセル、中学なら通学カバン、高校・大学なら電子辞書やノートパソコンなど、実際に使うものは親世代からも歓迎されます。
モノで贈るメリットは、金額が直接見えにくいこと。たとえばランドセルは3万〜7万円と幅がありますが、「おじいちゃんおばあちゃんに買ってもらったランドセル」という思い出は、金額に関係なく孫の記憶に残ります。
ただし、品物を贈るときは必ず事前に親(自分の子ども)に相談しましょう。ランドセルはすでに購入済みだった、電子辞書は学校指定のものがある、といったすれ違いが起きると、せっかくの贈り物が二重買いになってしまいます。「何が必要?」とひと声かけるだけで、このミスは防げます。
手紙やアルバムなどお金をかけない心のこもった贈り方
お金をかけなくても孫に喜ばれる方法はあります。手書きの手紙、孫の成長を写真で綴ったアルバム、おじいちゃんおばあちゃんの得意料理をふるまう食事会など、「時間と手間をかけた贈り物」は、むしろ現金よりも心に残ることがあります。
特に手紙は、大人になってから読み返して感動したという声が多い贈り物です。入学や成人のタイミングで「おめでとう」のひと言と、孫の成長を見守ってきた気持ちを書き添えるだけで十分です。便箋1枚にかかるお金はほぼゼロですが、その価値は計り知れません。
注意したいのは、「お金を渡さない代わりに手紙」と考えると、自分の中で引け目を感じてしまうことです。手紙は手紙、お祝い金はお祝い金。別物として考えましょう。少額のお祝い金に手紙を添える、あるいはお祝い金なしで手紙だけ、どちらも立派な贈り方です。
のし袋の書き方と渡し方マナーを押さえておこう
お祝い金ののし袋は「蝶結び」が基本ルール
孫へのお祝い金を包むのし袋は、水引が「蝶結び(花結び)」のものを選びます。蝶結びは「何度あってもよいお祝い」に使う水引で、出産・入学・成人・就職祝いはすべてこれに該当します。
間違えやすいのが結婚祝い。結婚は「一度きりが望ましいお祝い」なので、水引は「結び切り」または「あわじ結び」を使います。蝶結びののし袋で結婚祝いを渡すのはマナー違反になるので、ここだけは注意が必要です。
のし袋の格は金額に合わせます。1万円程度なら水引が印刷されたシンプルなもの、3万円以上なら水引が実際に結ばれた(飾りが立体の)タイプを選ぶのが目安です。100円ショップでも購入できますが、金額が大きい場合は文房具店で格に合ったものを選ぶと見栄えがよくなります。
表書き・中袋の書き方と金額にまつわるルール
表書きは行事によって異なります。出産祝いは「御祝」または「御出産御祝」、入学祝いは「御入学祝」または「祝御入学」、成人祝いは「御成人御祝」、就職祝いは「御就職御祝」と書きます。迷ったら「御祝」が万能です。
下段には贈り主のフルネームを書きます。夫婦連名の場合は、中央に夫の名前、その左に妻の名前を書くのが一般的です。筆ペンか毛筆で書くのが正式ですが、最近はサインペン(太字)でも問題ないとされています。ボールペンや鉛筆は避けましょう。
中袋には金額を旧字体で書くのが正式なマナーです。1万円は「壱萬圓」、3万円は「参萬圓」、5万円は「伍萬圓」。ただし、最近は算用数字で書いても失礼にはあたりません。裏面には住所と名前を記入します。お札は新札を用意し、肖像画が表・上向きになるように入れるのがマナーです。
- ☑ 蝶結びの水引(結婚祝いのみ結び切り)
- ☑ 表書きは行事に合った文言
- ☑ 下段にフルネーム(夫婦連名は夫が右)
- ☑ 中袋に金額・住所・名前を記入
- ☑ 新札を肖像画が表・上向きで封入
- ☑ 筆ペンまたはサインペン(太字)で記入
渡すタイミングは行事の1〜2週間前がベスト
お祝い金を渡すベストなタイミングは、行事の1〜2週間前です。入学祝いなら入学式の2〜3週間前、出産祝いなら退院後1週間〜お宮参り(生後1ヶ月)までが目安。早すぎず遅すぎず、相手が準備に使える時期に届けるのが理想です。
直接手渡しが基本ですが、遠方に住んでいる場合は現金書留で送ります。普通郵便やレターパックで現金を送るのは郵便法違反にあたるため、必ず現金書留を利用しましょう。現金書留封筒は郵便局で21円(2026年時点)で購入でき、のし袋ごと入るサイズが用意されています。
タイミングを逃してしまった場合でも、「遅くなってごめんね」とひと言添えて渡せば問題ありません。マナーは大切ですが、それ以上に「おめでとう」の気持ちが伝わることのほうが大事です。3ヶ月以上遅れた場合は、のし袋ではなくメッセージカードと一緒に包む方が自然です。

現金書留で送るときに気をつけたいポイント
現金書留を利用する際の基本を押さえておきましょう。現金書留の料金は、基本料金(定形郵便84円)+現金書留料金(480円)の合計564円からとなります。損害賠償額は1万円までが基本で、5,000円ごとに11円を加算すると最大50万円まで補償されます。
送り方の手順は、のし袋に現金を入れる→現金書留封筒にのし袋を入れる→封をして割印を押す→郵便局窓口で差し出す、の4ステップです。ポスト投函はできません。必ず郵便局の窓口で手続きする必要があります。
よくある失敗として、「のし袋が現金書留封筒に入らない」というケースがあります。大きな飾り水引がついたのし袋は封筒に収まらないことがあるため、郵送を予定している場合はコンパクトなのし袋を選ぶか、郵便局で大きめの現金書留封筒があるか確認しておきましょう。
祖父母・親・孫の三方が気持ちよくいられる伝え方
息子夫婦と娘夫婦で金額差をつけてもいい?
結論から言えば、同じ金額にするのが無難です。息子の子も娘の子も、祖父母にとっては等しく孫。片方だけ金額が高いと、後々「うちの方が少なかった」と不満の種になることがあります。
ただし、現実的には差が生じるケースもあります。たとえば娘夫婦が同居している場合は日常的な支援があるぶん、お祝い金は控えめにするという家庭もあります。また、息子夫婦側の義両親が高額を包む家庭であれば、「うちも合わせたほうがいいのかな」と悩むこともあるでしょう。
大事なのは、金額を揃えられない事情がある場合は、その理由を子どもに伝えておくことです。「お金の話をするのは気が引ける」と感じるかもしれませんが、何も言わないまま差をつけると、誤解が生まれやすくなります。「年金暮らしなので、この金額が精一杯」と正直に言えば、子ども世代は理解してくれます。
「もう気を遣わないで」と言われたらどう受け止める?
子ども世代から「もうお祝いはいいよ」「気を遣わないで」と言われることがあります。この言葉の裏にはいくつかの意味が考えられます。「親に経済的な負担をかけたくない」という思いやり、「自分たちで十分やっていけるから大丈夫」という自立の表明、あるいは「もらうと内祝いを返すのが大変」という本音が隠れていることもあります。
この場合、素直に「ありがとう、でも気持ちだけ渡させてね」と言って少額(5,000〜1万円程度)を包むか、現金ではなく品物や食事に招待するなど、形を変えて気持ちを伝えるのがスマートです。
注意したいのは、「遠慮されたから何もしない」と完全にやめてしまうケースです。お祝いの気持ちを表すこと自体は、祖父母と孫の絆を保つ大切なコミュニケーション。金額はゼロでも、手紙1通、電話1本でも、「おめでとう」を伝えることは続けてほしいと思います。
孫が複数いるときの公平な渡し方のコツ
孫が複数いる場合、公平さを保つのが長期的にはいちばん大切です。おすすめは「行事×金額」のルールを最初に決めてしまうこと。たとえば「入学祝いは一律2万円」「お年玉は小学生3,000円・中学生5,000円」と決めておけば、孫ごとに悩む必要がなくなります。
ルールを決めるときのポイントは、「いちばん孫が多いとき」を想定して金額を設定すること。今は孫が1人でも、将来3人・4人に増える可能性があります。1人のときに5万円を渡して、3人になったときに2万円に減らすと、親世代は複雑な気持ちになるものです。
年齢差がある孫の場合、「上の子と下の子で金額を変えるべきか」と迷うこともあります。基本的には同じ行事には同じ金額で統一するのがおすすめです。ただし、大学入学と小学校入学では実際に必要な費用が違うため、学校の段階に応じて金額を変えるのは自然なことです。
孫の人数が多い場合は、「現金+ひと手間」の組み合わせが効果的です。全員一律1万円の現金に、それぞれの好みに合わせた500円程度の小さなプレゼント(好きなキャラクターのグッズ、お気に入りのお菓子など)を添える。金額は同じでも「自分だけの特別感」が生まれ、孫は金額以上に喜んでくれます。
「思った以上に出費が膨らんだ」失敗談と回避策
初孫に張り切りすぎて後の孫とのバランスが崩れたケース
よくある失敗パターンの一つが、初孫のときに張り切りすぎてしまうことです。「初めての孫だから特別にしたい」という気持ちから、出産祝いに10万円、お宮参りの着物に5万円、初節句の雛人形に15万円……と積み重ね、気づけば初孫だけで30万円以上を使っていた、というケースがあります。
問題は、2人目・3人目の孫が生まれたときです。同じだけの金額を出せなければ不公平感が生まれますし、「うちの子のときは少ない」と子ども世代が感じてしまう可能性もあります。初孫の勢いのまま続けると、孫3人で総額100万円近くになることも珍しくありません。
回避策はシンプルです。初孫が生まれた時点で「もし孫が3人に増えても無理のない金額」を基準に設定すること。最初は物足りなく感じるかもしれませんが、長い目で見れば全員に平等に、そして自分の生活も守れるベストな方法です。
両家の祖父母で金額差が出てしまい気まずくなるパターン
もう一つの失敗パターンは、両家(父方の祖父母と母方の祖父母)でお祝い金の金額に差が出てしまうことです。片方が10万円を包んで、もう片方が3万円だった場合、金額が少なかった側は「恥ずかしい思いをした」と感じ、多かった側は「出しすぎたかも」と後悔するという、誰も幸せにならない結果になりがちです。
背景には、両家の経済状況の違い、地域の慣習の違い、「孫への想い」の表し方の違いなど、さまざまな要因があります。年金暮らしの世帯と現役で収入がある世帯とでは、当然ながら出せる金額は異なります。
理想的なのは、子ども世代が両家の間に立って「うちの親は年金暮らしだから、このくらいの金額で」と事前に調整してくれることです。祖父母から直接相手方に連絡するのは難しいため、息子や娘に「両家で金額を揃えてもらえると助かるんだけど」と伝えておくのが現実的な対処法です。
「相手方が多く包んでいるから」と見栄を張って無理をするのは、孫破産への第一歩です。年金暮らしであることは恥ずかしいことではありません。経済状況に合ったお祝いをすることが、長く孫を見守り続けるための土台になります。
お祝いの「やめどき」がわからず出費が止まらない悩み
「孫が社会人になったら終わり」と思っていたのに、結婚祝い、出産祝い(ひ孫)と次々にお祝い事が続いて、いつまで経っても終わりが見えない……という声もあります。お祝い金に明確な「終了ライン」がないため、やめどきに悩む方は多いです。
一般的には、孫が社会人になり経済的に自立した時点で、定期的なお祝い金(お年玉など)は終了する家庭が多いです。ただし結婚祝いや出産祝いは「一生に数回の大きな節目」なので、これだけは続けるという方もいます。
おすすめの考え方は「自分の年齢と体力・経済力に合わせて縮小していく」ことです。70代のうちは現金のお祝いを渡し、80代からはメッセージカードや品物に切り替える。完全にゼロにするのではなく、形を変えて「おめでとう」を伝え続ける方法であれば、祖父母も孫もお互いに気持ちよくいられます。
知っておくと安心|年金暮らしのお金の基本知識
老齢基礎年金と厚生年金の受給額をおさらい
お祝い金の予算を立てるには、まず自分の年金収入を正確に把握することが出発点です。2025年度時点で、国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額6万8,000円。40年間すべて保険料を納めた場合の金額で、未納期間がある方はこれより少なくなります。
厚生年金のモデル世帯(夫が平均的な給与で40年勤務、妻が専業主婦)の場合は、夫婦合わせて月額約23万円です。ただしこれはあくまでモデルケースで、実際の受給額は加入期間や現役時代の給与によって大きく異なります。
自分の年金額を確認する方法は3つあります。「ねんきん定期便」(毎年誕生月に届くハガキ)、「ねんきんネット」(日本年金機構のオンラインサービス)、そして最寄りの年金事務所への直接相談です。年金額を把握しておけば、「年間の孫予算はいくらにできるか」を具体的に計算できます。
・国民年金のみ世帯(月6.8万円)→ 孫予算の目安:年間3万〜5万円
・厚生年金モデル世帯(月23万円)→ 孫予算の目安:年間8万〜12万円
・孫への年間平均支出:10万8,134円(お祝い金・お小遣い・外食費等含む)
(出典:三井住友銀行「子育てとお金」調査、日本年金機構 2025年度データ)
医療費・介護保険料など「先に出ていくお金」を把握する
年金からお祝い金を捻出するには、「先に出ていくお金」を正確に把握しておく必要があります。年金から天引きされる主な費目は、介護保険料(65歳以上の全国平均で月額約6,014円)、国民健康保険料または後期高齢者医療保険料、住民税(非課税世帯を除く)です。
医療費の自己負担割合も確認しておきましょう。70〜74歳は2割(現役並み所得者は3割)、75歳以上は1割(一定以上所得者は2割、現役並み所得者は3割)です。持病がある方や通院頻度が高い方は、月々の医療費が1万〜3万円になることもあります。
これらの「固定支出」を年金から差し引いた残りが、食費・光熱費・交際費に使える金額であり、そこからさらに孫予算を確保する形になります。見通しを立てるときは、年金額の「手取り」で計算することが大切です。額面の年金額だけを見て予算を組むと、「思ったより使えるお金が少ない」というギャップに苦しむことになります。
繰下げ受給を選んだ場合の家計シミュレーション
年金の繰下げ受給を選んだ方は、受給開始後の年金額が増えるため、お祝い金の予算にも余裕が生まれます。繰下げ増額率は1ヶ月あたり0.7%で、最大75歳まで繰り下げると84%の増額になります。たとえば65歳時点で月額15万円の年金を70歳まで繰り下げると、月額21万3,000円(42%増)になる計算です。
ただし、繰下げ受給にはデメリットもあります。受給を始めるまでの5〜10年間は年金がゼロになるため、その間の生活費を貯蓄や退職金でまかなう必要があります。また、繰下げ期間中に大きな病気をした場合のリスクもあります。
繰下げ受給は「長生きするほど得」な制度ですが、個々の健康状態や貯蓄額によって判断が分かれます。詳しい試算は日本年金機構や年金事務所で相談できますので、ご自身の状況に合わせて検討してみてください。

まとめ|年金暮らしでも孫のお祝い金は「無理のない範囲」が正解
年金暮らしで孫のお祝い金をどうするかは、多くのシニア世代が直面する悩みです。「相場通りに渡さなければ」「少ないと思われたくない」という気持ちはよくわかります。でも、いちばん大切なのは、祖父母自身の暮らしを守りながら、無理のない範囲で「おめでとう」を伝え続けることです。
お祝い金の金額は、あくまで気持ちの「入れ物」にすぎません。3万円でも5,000円でも、あるいは手紙1通でも、孫への愛情は同じように届きます。お金に余裕がないことを恥じる必要はまったくありません。むしろ、自分の生活を大切にしながら長く孫を見守れることのほうが、家族全体にとっての幸せにつながります。
この記事で特に覚えておいてほしいポイントをまとめます。
- 孫1人あたり出産〜成人まで約70万円のお祝い金が相場の総額。孫が複数いる場合は早めに全体計画を立てる
- 年間の「孫予算」を先に決めてしまうのが孫破産を防ぐいちばんの方法。国民年金世帯なら年間3万〜5万円、厚生年金世帯なら年間8万〜12万円が目安
- 毎月3,000〜5,000円の「孫積立」で、急なお祝い事にも慌てずに対応できる
- のし袋は蝶結びが基本(結婚祝いのみ結び切り)。表書きは行事に合った文言を選ぶ
- 図書カード・ギフト券・品物など、現金以外の選択肢も積極的に活用する
- 初孫で張り切りすぎない。最初から「孫が増えても対応できる金額」に設定するのがコツ
- 子ども世代と事前に金額の目線を合わせておくと、お互いのモヤモヤがなくなる
まずできることとして、今月の年金額と毎月の固定支出を書き出してみてください。「自由に使えるお金」が見える化できたら、その中から孫予算を決める。この一歩を踏み出すだけで、お祝い金への不安はぐっと軽くなるはずです。
※年金の受給額や制度の詳細は年度ごとに改定されます。最新情報は日本年金機構の公式サイトでご確認ください。

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