「アメリカでは火葬が増えているらしい」「土葬の国だと思っていたけれど、今はどうなっているの?」——映画やドラマでお墓に棺を埋める場面を見て、アメリカは土葬の国というイメージを持っている方は多いと思います。ところが今、その常識は大きく変わりつつあります。
結論からお伝えすると、アメリカの火葬率は2025年に63.4%まで上がり、土葬の31.6%を2倍以上引き離して、すでに火葬が多数派になっています。火葬率99.9%の日本とはまだ差がありますが、わずか40年ほどで葬送の主流が逆転したのは、世界的に見ても珍しい変化です。
この記事では、なぜアメリカで火葬が広がったのかという歴史的・宗教的な背景から、日本との「お骨」の扱いの違い、遺灰の散骨や供養のかたち、気になる費用、そしてもし家族がアメリカで亡くなったときに遺骨を日本へ持ち帰る手続きまで、同世代の友人と一緒に整理するつもりでやさしく解説します。お互いの終活を考えるうえでも、知っておいて損のない話です。
・アメリカの火葬率63.4%の今と、ここまで増えた歴史・宗教の背景
・火葬率99.9%の日本と63.4%のアメリカ、その差を生んだ決定的な違い
・遺骨が「粉」で戻る理由と、散骨・自宅供養など多彩な弔いのかたち
・火葬費用の相場と、家族がアメリカで亡くなったときの遺骨の持ち帰り方
アメリカ火葬の今|火葬率63%で土葬を逆転した本当の理由
かつて「土葬の国」と言われたアメリカで、なぜ今これほど火葬が選ばれているのでしょうか。まずは最新の数字と、その背景にある社会の変化から見ていきましょう。
2025年の火葬率は63.4%|土葬を2倍以上引き離した
アメリカ最大の葬儀業界団体である全米葬儀ディレクター協会(NFDA)の2025年の報告によると、アメリカの火葬率は63.4%に達しました。一方の土葬は31.6%で、火葬は土葬のおよそ2倍です。なぜここまで増えたかというと、費用の安さ・宗教観の多様化・お墓に縛られたくないという価値観の広がりが重なったためです。具体的には、後で詳しく触れますが、土葬より火葬のほうが費用を大きく抑えられることが大きな後押しになっています。注意したいのは、これはあくまで全米平均だという点です。州や地域、宗教的な背景によって火葬率には大きな差があり、西海岸では8割を超える州もあれば、南部の一部では今も土葬が根強く残っています。「アメリカ=一律に火葬」と一括りにはできないのが実情です。
1980年代は1割未満|40年で主流が完全に入れ替わった
今でこそ多数派の火葬ですが、つい数十年前まではごく少数派でした。1980年代のアメリカの火葬率は1割にも届かず、土葬が圧倒的な主流だったのです。流れが変わったのは2016年で、この年に火葬率が初めて5割を超え、土葬と立場が逆転しました。背景には、お墓の維持費や土地代の高騰、宗教離れ、そして家族が各地に散らばって「先祖代々のお墓」を守りにくくなった社会の変化があります。日本では火葬が当たり前すぎて意識しませんが、アメリカにとって火葬の一般化は、ここ一世代で起きた価値観の大転換でした。気をつけたいのは、この数字が今も動き続けていることです。毎年のように火葬率は更新されるため、「最新の割合はどうなっているか」は、その都度公的なデータで確認するのが安心です。
2045年には82.3%予測|火葬はさらに当たり前になる
この流れは今後も続くと見られています。NFDAの予測では、アメリカの火葬率は2045年に82.3%まで上がり、土葬は13.0%程度まで下がる見通しです。さらに2035年までには、すべての州とワシントンD.C.で火葬が5割を超えると予測されています。理由は、費用面のメリットに加え、環境への配慮や、お墓を持たない弔い方への抵抗感が世代を追うごとに薄れていくからです。火葬協会(CANA)も2029年には67.9%に達すると独自に見込んでおり、団体は違っても「火葬がさらに増える」という見方は一致しています。ただし、これらはあくまで予測値です。実際の数字は経済情勢や社会の動きで変わり得るため、確定値として受け取りすぎないよう、一次情報の更新を待つ姿勢が大切です。
アメリカの火葬率は2025年で63.4%、土葬31.6%。2016年に5割を超えて逆転し、2045年には82.3%まで上がると予測されています(出典:全米葬儀ディレクター協会 NFDA)。
なぜアメリカは長く土葬だったのか|宗教と歴史で読み解く
火葬が広がる前のアメリカが、なぜあれほど長く土葬を続けてきたのか。そこには宗教の教えと移民の歴史が深く関わっています。
キリスト教の「復活」の教え|身体を残す土葬が選ばれた
アメリカで長く土葬が主流だった最大の理由は、キリスト教の死生観にあります。キリスト教には「最後の審判のときに、神のもとで肉体が復活する」という考え方があり、そのため身体をなるべく自然なかたちで土に還す土葬が重んじられてきました。火葬は身体を焼いてしまうため、復活を妨げるとして長くタブー視されていたのです。具体的には、カトリック教会が火葬を正式に容認したのは1963年と比較的最近で、それ以前は事実上禁じられていました。日本では仏教の影響で火葬が自然に受け入れられてきたのとは、出発点がまるで違うわけです。注意したいのは、同じキリスト教でも宗派によって考え方に幅があること。今も土葬を望む信仰の篤い家庭は一定数あり、宗教的背景を抜きにアメリカの葬送は語れません。
移民が持ち込んだ多様な弔い|お墓は地域コミュニティの中心だった
アメリカの土葬文化を支えてきたもう一つの柱が、移民社会ならではのコミュニティのあり方です。ヨーロッパ各地から移り住んだ人々は、それぞれの故郷の埋葬習慣を持ち込み、教会に併設された墓地(チャーチヤード)を地域の心のよりどころにしてきました。お墓は単なる遺骨の置き場ではなく、家族や信仰仲間が集い、故人を偲ぶ社交の場でもあったのです。広大な土地があり、墓地に使える余裕があったことも、土葬が続いた現実的な理由です。ところが都市化が進み、地価が上がり、人々が転勤や進学で各地に散らばるようになると、「遠くのお墓を守り続ける」ことが難しくなっていきました。先祖代々の土地に縛られない火葬が選ばれ始めたのは、こうした暮らしの変化と切り離せません。
実は火葬が嫌われた歴史も|価値観は一枚岩ではない
意外と知られていませんが、アメリカでは火葬が一時「異端的なもの」と見なされた時代がありました。19世紀後半に衛生面から火葬を推進する運動が起きたものの、宗教界の強い反発にあい、なかなか広がらなかったのです。火葬を選ぶのは無神論者か変わり者、という偏見すらありました。それが今や6割を超える人が選ぶ——この大逆転こそ、アメリカ社会の価値観が短期間で柔軟に変わってきた証です。背景には、宗教を持たない人の増加や、葬儀にかける費用を抑えたいという現実的な事情があります。ここで押さえておきたいのは、火葬が増えたからといって、土葬を選ぶ人を「時代遅れ」と見るわけではないということ。アメリカでは、どちらを選ぶかはあくまで個人と家族の信条の問題として尊重されています。
「アメリカ=土葬」というイメージは、ひと昔前の映画やドラマの影響が大きいもの。今は火葬が多数派ですが、地域や宗教によって弔い方は大きく異なります。アメリカ在住の家族と終活の話をするときは、「どうしてほしいか」を本人に直接聞いておくと、いざというときに迷わずに済みます。
日本99.9%・アメリカ63%|火葬率を分けた3つの違い
同じ火葬でも、ほぼ全員が火葬される日本と、6割のアメリカ。この差はどこから来るのでしょうか。3つの視点で比べてみます。
宗教の違い|仏教の日本、キリスト教のアメリカ
火葬率の差を生んだ最大の要因は、土台にある宗教観の違いです。日本では信仰者がもっとも多い仏教において、開祖である釈迦が火葬されたと伝えられ、火葬によって魂を送り出すという考えが古くから根づいてきました。一方アメリカはキリスト教が中心で、前述のとおり身体を残す土葬が長く重んじられてきました。この出発点の差が、火葬率99.9%と63.4%という数字の開きに表れています。具体的には、日本では火葬がほぼ唯一の選択肢として制度・習慣ともに整っているのに対し、アメリカでは火葬・土葬・その他の方法が個人の信条で選べる「選択肢の一つ」にとどまります。ただし日本でも、ごく一部の地域や宗教的事情で土葬が認められる例はあり、99.9%という数字も「100%ではない」ことは覚えておくとよいでしょう。
法律と土地の違い|日本は墓地以外の埋葬を禁止
制度面の違いも見逃せません。日本では「墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)」によって、許可された墓地以外に遺体や遺骨を埋葬することが禁じられています。国土が狭く、衛生面の配慮もあって、火葬を前提とした仕組みが整えられてきたのです。対してアメリカは広大な土地があり、州ごとにルールが異なるものの、私有地への埋葬が認められる地域もあるなど、土葬を選びやすい環境が長く保たれてきました。具体的には、日本では亡くなると市区町村に死亡届を出し、火葬許可証を得てから火葬する流れが全国でほぼ共通しています。注意したいのは、アメリカは「連邦の統一ルール」ではなく州法・郡条例で扱いが変わる点です。同じアメリカでも、住む場所によって埋葬や散骨の自由度はかなり違います。
「お墓を守る」感覚の違い|継承前提の日本、個人重視のアメリカ
三つ目は、お墓に対する感覚の違いです。日本では「先祖代々のお墓を子孫が守り、受け継いでいく」という継承の発想が根強く、家単位でお墓と向き合ってきました。だからこそ、火葬して遺骨を骨壺に納め、お墓に納骨するという一連の流れが当たり前になっています。一方アメリカでは、お墓はあくまで個人のもの、という意識が強く、子が親の墓を守り続けるという前提自体が薄いのです。そのため、お墓を持たずに散骨したり遺灰を自宅に置いたりする選択も自然に受け入れられます。実は近年、日本でも「子に負担をかけたくない」とお墓を手放す墓じまいや散骨を選ぶ人が増えており、アメリカ的な価値観に少しずつ近づいている面もあります。継承を当然とせず、自分らしい弔い方を考える流れは、日米共通の課題になりつつあります。
「そろそろ実家のお墓を墓じまいしようと思うけれど、当日はいったい何を着ていけばいいの?」——そんな疑問を抱えてこのページにたどり着いた方は多いはずです。法事なら…
| 項目 | 日本 | アメリカ |
|---|---|---|
| 火葬率 | 約99.9%(世界一) | 63.4%(2025年) |
| 主な宗教背景 | 仏教(火葬に親和的) | キリスト教(元は土葬重視) |
| 遺骨の形 | 骨の形を残し骨壺へ | 粉状の灰にして返却 |
| 遺骨の行き先 | 墓地に納骨(法律で限定) | 自宅保管・散骨など多様 |
※高齢者あんしんノート調べ(NFDA・厚生労働省の公開データをもとに作成。2025〜2026年時点)
遺骨は粉になって戻る?アメリカと日本の「お骨」の違い
日本の火葬といえば、家族が箸でお骨を拾う「骨上げ」を思い浮かべる方が多いでしょう。アメリカではこの場面が、そもそも存在しません。
アメリカの遺骨は粉状の灰|「骨上げ」の習慣がない
日米でもっとも驚かれる違いが、戻ってくる遺骨のかたちです。日本では火葬後に骨の形がしっかり残り、家族が箸で拾い上げて骨壺に納めます。ところがアメリカでは、火葬したあとに残った骨を専用の機械で細かく砕き、砂のような粉状の灰(クレマインズ)にして遺族に返すのが一般的です。理由は、アメリカには遺骨を「拾って納める」という発想がそもそも薄く、散骨や持ち運びをしやすい灰のかたちが好まれるからです。具体的には、灰は密閉された袋に入れられ、骨壺やシンプルな箱に収めて渡されます。日本の家族にとっては、骨の形が残っていないことに戸惑う方もいます。注意したいのは、後から日本式に「お骨を拾いたい」と思っても、すでに粉砕されているとそれは叶わないという点。事前にどう扱われるかを知っておくことが大切です。
納骨という発想が薄い|遺灰の置き場所は家族の自由
遺骨を「どこに納めるか」の考え方も大きく違います。日本では火葬後に遺骨を墓地へ納骨するのが当たり前で、四十九日や一周忌といった節目に合わせて納骨する流れが定着しています。一方アメリカには、決まった納骨という発想が薄く、遺灰をどうするかは家族にゆだねられています。理由は、お墓を継承する前提が弱く、「故人を身近に感じられる方法を選べばよい」という個人主義的な価値観が根づいているためです。具体的には、暖炉の上に骨壺を飾る、庭にまく、思い出の場所で散骨するなど、選択肢は実にさまざまです。やりがちな失敗として、日本の感覚で「すぐ納骨しなければ」と焦ってしまうケースがありますが、アメリカでは何年も自宅に遺灰を置いておくことも珍しくありません。文化が違えば「正しい順序」も違うと知っておくと、気持ちがラクになります。
葬儀の流れも違う|お別れの会と火葬は別々のことも
葬儀そのものの進み方にも違いがあります。日本では通夜・告別式を行い、その流れで火葬場へ向かうのが一般的です。アメリカでは、火葬を先に済ませてしまい、後日あらためて「メモリアルサービス(追悼の集い)」を開くスタイルが広がっています。理由は、火葬と告別を切り離すことで、遠方の親族が集まりやすい日程を選べたり、費用を抑えられたりするからです。具体的には、教会や自宅、思い出のレストランなどに人が集まり、故人の写真や好きだった音楽とともに、明るく思い出を語り合う形が好まれます。日本のしめやかな雰囲気とは対照的に、笑顔も交える「人生を祝う(セレブレーション・オブ・ライフ)」という発想です。日本の葬儀マナーに慣れた方が参列すると驚くこともありますが、どちらが正しいというより、文化ごとの故人の送り方の違いと受け止めるとよいでしょう。

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自宅・海・空…アメリカの遺灰はどこへ?散骨と供養のかたち
納骨の決まりがない分、アメリカの遺灰の行き先は驚くほど多彩です。日本ではあまり見ない弔いのかたちを紹介します。
もっとも多いのは散骨|海・山・思い出の地へまく
アメリカで遺灰の行き先として広く選ばれているのが散骨です。海にまく、山や森に還す、故人が愛した庭や思い出の場所にまくなど、方法はさまざまです。理由は、お墓に縛られず「自然に還る」「故人の好きだった場所で見送る」という発想が受け入れられているからです。具体的には、海洋散骨の専門業者に依頼したり、家族だけで思い出のハイキングコースにまいたりと、規模も自由です。注意したいのは、散骨にも一定のルールがあること。海への散骨は環境保護の観点から「岸から一定の距離以上」と定められていたり、国立公園では許可が必要だったりします。「自由」とはいえ完全に無制限ではないため、業者や自治体に確認するのが安心です。日本でも近年は海洋散骨が広がっていますが、節度を持って行うという考え方は日米共通です。
遺灰を身近に置く供養|アクセサリーやダイヤモンドにも
アメリカらしいのが、遺灰を「手元に残して身近に感じる」供養のかたちです。遺灰の一部をペンダントに納めるメモリアルジュエリーや、遺灰から人工ダイヤモンドを作るサービス、遺灰を混ぜ込んだガラスのオブジェなど、選択肢は年々広がっています。理由は、お墓に会いに行くのではなく、日々の暮らしのそばに故人を感じていたいという思いに応えるためです。具体的には、遺灰を絵の具に混ぜて肖像画を描いたり、砂時計に入れたりと、故人の個性を映した形が好まれます。こうした手元供養は、実は日本でも少しずつ広がっており、ミニ骨壺やアクセサリー型の供養品を選ぶ人が増えています。お墓を持たない選択をしたとき、「それでも故人をそばに感じたい」という気持ちにこたえる方法として、日米問わず注目されています。
失敗しやすいのが分骨の扱い|全部まいて後悔するケース
散骨や手元供養を選ぶときに気をつけたいのが、遺灰を「全部まいてしまわない」ことです。よくある失敗が、家族で話し合わないまま全量を散骨し、後になって「やっぱり一部を手元に残したかった」「親族にも分けたかった」と悔やむケースです。原因は、散骨は一度行うとやり直しがきかないのに、勢いで進めてしまうこと。対策はシンプルで、散骨する前に遺灰の一部を小さな容器に取り分けておくことです。具体的には、メインは海や思い出の地に散骨し、ほんの少しをメモリアルジュエリーや小さな骨壺に残しておけば、後から気持ちが変わっても対応できます。アメリカでも日本でも、「弔い方は一度きり」だからこそ、家族全員が納得できるまで話し合ってから決めるのが、後悔しないいちばんのコツです。
散骨は一度行うとやり直せません。「全部まいてから後悔した」という声は日米問わず多いもの。散骨を決めたら、必ず遺灰の一部を手元に取り分けてから行いましょう。親族間で意見が分かれることもあるため、事前の話し合いが何より大切です。
アメリカ火葬の費用はいくら?直葬2,202ドルからのリアル
「火葬が増えた最大の理由は費用」とも言われます。アメリカの火葬は実際いくらかかるのか、最新の相場を見ていきましょう。
直葬の全米平均は約2,202ドル|土葬より大きく安い
アメリカで火葬が選ばれる大きな理由が、費用の安さです。お通夜や告別式を行わず火葬だけを行う「直葬(ダイレクト・クリメーション)」の全米平均は、2026年時点で約2,202ドルです。日本円にすると、為替にもよりますが30万円台がひとつの目安になります。理由は、棺や式場、参列者の対応にかかる費用を省けるためで、土葬一式が1万ドル前後かかることも珍しくないのと比べると、負担は大きく違います。具体的には、直葬の料金には遺体の搬送・火葬・遺灰の返却という最低限のサービスが含まれます。注意したいのは、これがあくまで「火葬のみ」の費用だということ。お別れの会を別に開けばその分の費用は追加でかかります。費用を抑えたい人ほど直葬を選ぶ傾向が強く、これが火葬率を押し上げる一因にもなっています。
地域差が大きい|安い州と高い州で2倍以上の開き
アメリカの火葬費用は、住む地域によって大きく変わります。直葬の相場はおおむね1,000〜3,600ドルの幅があり、安い州と高い州では2倍以上の開きが出ることもあります。理由は、人件費や土地代、州ごとの規制の違いが料金に反映されるためです。具体的には、物価の低い内陸の州では1,500ドル前後で済む一方、北東部の都市部では3,000ドルを超えることもあります。業者によっては最安で数百ドル、高いところでは1万ドル近くと、同じ「火葬」でも価格はさまざまです。やりがちな失敗は、料金の安さだけで業者を決めてしまい、後から搬送費などの追加料金が上乗せされて総額が膨らむケースです。アメリカの葬儀業者は、料金内訳を明示した「ゼネラル・プライス・リスト」の提示が法律で義務づけられているので、契約前に総額を確認するのが安心です。
葬儀付き火葬は中央値6,280ドル|安さだけで選ばない
火葬といっても、お別れの式をつけるかどうかで費用は大きく変わります。NFDAによると、お通夜や告別式を伴う「葬儀付き火葬」の全米中央値は6,280ドルで、直葬の2〜3倍になります。理由は、式場の使用料や司式者への謝礼、棺や祭壇の費用などが加わるためです。具体的には、参列者を招いてしっかり見送りたい家庭はこちらを選び、費用より身軽さを優先する家庭は直葬を選ぶ、というように、価値観によって分かれます。逆張りの視点になりますが、「安いから直葬」と即決して、後から「ちゃんとお別れの場を設けたかった」と心残りになる人も少なくありません。費用はもちろん大切ですが、家族がきちんと気持ちの区切りをつけられるかどうかも、同じくらい大切な判断材料です。金額と気持ちの両面で考えるのがおすすめです。
アメリカの直葬の全米平均は約2,202ドル(2026年)、葬儀付き火葬の中央値は6,280ドル。地域差が大きく、おおむね1,000〜3,600ドルの幅があります(出典:US Funerals Online、NFDA調べ)。
家族がアメリカで亡くなったら?遺骨を日本へ持ち帰る手続き
もしご家族がアメリカで暮らしていて、現地で亡くなったら——そんなときに慌てないよう、遺骨を日本へ持ち帰る基本の流れを押さえておきましょう。
まず現地で必要な2つの書類|死亡証明書と火葬証明書
アメリカで家族が亡くなり、現地で火葬して遺骨を日本へ持ち帰る場合、まず欠かせないのが2つの公的書類です。一つは米当局が発行する「死亡証明書(Death Certificate)」、もう一つが「火葬証明書(Certificate of Cremation)」です。理由は、遺灰を航空機で運ぶ際にも、日本で手続きを進める際にも、この2点が本人確認と火葬済みの証明として必要になるからです。具体的には、これらの書類は現地の葬儀社や郡の役所を通じて取得します。英文の原本に加え、日本での手続き用に和訳が求められることもあります。注意したいのは、書類を取らずに帰国してしまうと、日本で納骨や手続きができず、あらためて取り寄せる手間がかかること。悲しみのなかでも、現地を離れる前にこの2つの書類を必ず手元に揃えておくことが、後の負担を大きく減らします。
在外公館への死亡届|許可までに時間がかかることも
現地での火葬と並行して必要になるのが、日本側への届け出です。日本国籍の方が亡くなった場合、現地の日本大使館・総領事館(在外公館)や日本の本籍地の役所へ死亡届を提出します。理由は、日本の戸籍に死亡の事実を反映させ、その後の相続や手続きの土台を整えるためです。具体的には、在外公館に死亡届を出した場合、その届書が日本の市区町村に届くまでに一定の期間がかかります。やりがちな失敗は、「すぐに日本で火葬・埋葬の許可が下りる」と思い込んでしまうこと。実際には、届書が役所に到着するまでの間は火葬・埋葬許可が交付されないため、スケジュールに余裕を見ておく必要があります。手続きの順序や必要書類は状況によって異なるので、早めに在外公館や本籍地の役所に相談しておくと安心です。
日本で納骨するには改葬許可|役所への確認を忘れずに
現地で火葬した遺骨を持ち帰り、日本国内のお墓に納める場合、もう一つ押さえておきたいのが「改葬許可」です。厚生労働省の通達により、海外で火葬した遺骨を日本の墓地に埋葬する際は、改葬許可を得る必要があるとされています。理由は、日本では墓地埋葬法に基づき、遺骨の埋葬・移動を役所が管理しているためです。具体的には、納骨を予定する墓地のある市区町村の役所で、現地の死亡証明書や火葬証明書を添えて改葬許可を申請します。注意したいのは、自治体によって必要書類や運用に差があること。「アメリカで火葬したから日本では何もいらない」というわけではなく、納骨には日本側の手続きが必要です。手続きは専門的で個別性が高いため、最終的には納骨先の自治体や専門家に確認しながら進めるのが確実です。

「終活って気になるけれど、何から始めればいいのかわからない」「家族に迷惑をかけたくないから、自分で知識をつけておきたい」——そんな思いを持つ方が増えています。書…
- Step1: 現地で死亡証明書・火葬証明書を取得する(帰国前に必ず)
- Step2: 在外公館または本籍地の役所へ死亡届を提出する
- Step3: 航空会社・税関に遺灰の持ち込み方法を事前確認する
- Step4: 日本で納骨するなら自治体で改葬許可を申請する
まとめ|アメリカ火葬を知ると、自分たちの弔い方も見えてくる
かつて土葬の国だったアメリカは、2025年に火葬率63.4%まで上がり、すでに火葬が多数派になりました。火葬率99.9%の日本とはまだ差がありますが、宗教観や費用、お墓に対する考え方の変化を背景に、その差は年々縮まっています。遺骨を粉状の灰にして散骨したり、自宅に置いたり、ジュエリーに加工したりと、アメリカの弔い方の多彩さは、お墓の継承に悩む日本にも多くのヒントを与えてくれます。文化は違っても、「大切な人をどう見送り、どう偲ぶか」という思いは、日米で変わらないのだと感じます。
- ☑ アメリカの火葬率は2025年で63.4%、土葬31.6%を2倍以上引き離した
- ☑ 1980年代は1割未満、2016年に逆転、2045年には82.3%と予測
- ☑ 火葬率99.9%の日本との差は、宗教・法律・お墓観の違いが背景
- ☑ アメリカの遺骨は粉状の灰で、納骨より散骨・手元供養が多彩
- ☑ 直葬の全米平均は約2,202ドル、葬儀付き火葬は中央値6,280ドル
- ☑ 遺骨を日本へ持ち帰るには死亡証明書・火葬証明書と改葬許可が必要
最初の一歩としておすすめなのは、アメリカに家族がいる方なら「もしものとき、どう見送ってほしいか」を本人に聞いておくことです。火葬か土葬か、散骨か納骨か——希望を知っておくだけで、いざというときの迷いと負担は大きく減ります。アメリカの火葬事情を知ることは、めぐりめぐって自分たち自身の終活を考えるきっかけにもなります。お茶でも飲みながら、家族で弔い方について話してみてはいかがでしょうか。なお、この記事の制度や手続きは時期や自治体によって変わることがあります。実際の手続きの際は、在外公館・お住まいの自治体・葬儀の専門家など、最新の情報を扱う窓口に必ずご確認ください。
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