・高齢者の免許更新が何年ごとになるか(年齢別の有効期間)
・70歳と75歳で変わる更新手続きの違い
・高齢者講習や認知機能検査の具体的な内容と費用
・更新を忘れたときの対処法と免許返納の特典
「そろそろ免許の更新だけど、次は何年後になるんだろう?」——60代後半から70代にさしかかると、ふとこんな疑問が浮かびますよね。じつは運転免許証の有効期間は、年齢や違反歴によって5年・4年・3年と変わり、70歳を超えると一律で短くなります。さらに75歳以上では認知機能検査が加わるなど、手続き自体も変化します。
この記事では、高齢者の免許更新が何年ごとになるのかを年齢別にわかりやすく整理し、高齢者講習の内容や費用、更新を忘れた場合の対処法、そして免許返納の特典まで、ひととおりまとめました。「次の更新はいつ?何を準備すればいい?」というモヤモヤを、ここでスッキリ解消していきましょう。
高齢者の免許更新は何年ごと?年齢別の有効期間一覧

69歳以下・70歳・71歳以上で有効期間が変わる仕組み
運転免許証の有効期間は、更新時の年齢と運転者区分(ゴールド・一般・違反など)の組み合わせで決まります。69歳以下の優良運転者(ゴールド免許)なら有効期間は5年間ですが、更新期間満了日(誕生日の1か月後)の時点で71歳以上になる方は、区分にかかわらず一律3年間に短縮されます。70歳の方(満了日時点で70歳)は4年間です。
この仕組みは道路交通法第92条の2に定められており、高齢ドライバーの身体的変化に合わせて更新頻度を上げ、安全を確認する趣旨で設けられています。1998年(平成10年)の道交法改正で70歳以上の高齢者講習が義務化されたのがきっかけで、その後2002年に75歳以上の認知機能検査が加わり、現在の形になりました。
つまり、ゴールド免許を長年維持してきた方でも、71歳以上になれば有効期間は3年になります。「ゴールドだから5年ごとでいい」と思い込んでいると更新時期を見落としかねないので、免許証に記載されている有効期限を改めて確認しておきましょう。
年齢×運転者区分の早見表で自分の有効期間をチェック
| 年齢(満了日時点) | 優良(ゴールド) | 一般(ブルー5年) | 違反・初回(ブルー3年) |
|---|---|---|---|
| 69歳以下 | 5年 | 5年 | 3年 |
| 70歳 | 4年 | 4年 | 3年 |
| 71歳以上 | 3年 | 3年 | 3年 |
※高齢者あんしんノート調べ(道路交通法第92条の2に基づく)
この表のとおり、71歳以上になるとゴールド・一般・違反の区分にかかわらず有効期間は3年です。70歳の方は優良・一般で4年、違反・初回は3年です。「自分は何年ごとの更新になるのか」は、次の更新時に届く更新連絡書(ハガキ)にも記載されるので、届いたら確認するようにしましょう。
免許証の「帯の色」と有効期間の関係を整理する
免許証の有効期間欄の背景色(帯の色)は、ゴールドが金色、一般・違反がブルー、新規取得後が緑色です。70歳を超えても帯の色は変わりません。つまり、71歳以上のゴールド免許保持者の免許証には金色の帯がそのまま残りますが、有効期間は3年に短縮されています。
帯の色は「過去5年間の違反歴」によって決まる運転者区分を示しているだけで、有効期間とは別の話です。ゴールド免許には「免許更新時の講習が短い」「自動車保険の割引がある」といったメリットが残りますが、有効期間の優遇は71歳以上ではなくなります。
ここを混同して「ゴールドだから5年有効」と思い込む方が少なくありません。とくに68〜69歳で更新した方は次回が5年後の73〜74歳になるため、「前回は5年だったのに今回は3年?」と戸惑うケースがあります。帯の色と有効期間は別物と覚えておくと、次回の更新準備がスムーズになります。
70歳になったら免許の色は関係ない?ゴールドでも短くなる理由
道路交通法が有効期間を短くしている背景
高齢ドライバーの免許有効期間が短縮されるのは、道路交通法が「加齢に伴う身体機能の変化を定期的に確認する」ことを目的としているためです。視力や反射神経、判断力は個人差がありますが、統計的には70歳を境に事故リスクが上昇する傾向があるとされています。
警察庁の交通事故統計によると、75歳以上のドライバーの死亡事故件数は免許保有者10万人あたりで75歳未満の約2倍にのぼります。こうしたデータを背景に、更新間隔を短くして講習や検査の機会を増やすことで、安全運転を続けられるかどうかを確認する仕組みが作られました。
ただし、有効期間が短くなったからといって「高齢者は運転するな」という趣旨ではありません。あくまで「安全に運転できる状態を定期的にチェックしましょう」という制度です。地方では車が生活の足であるケースも多く、適切な確認を受けたうえで運転を続けることは制度上まったく問題ありません。
70歳の更新が「4年」になるのはどういう計算?
70歳の方だけ有効期間が4年になる理由は、法律上の計算の仕方にあります。道路交通法では「更新日ではなく、更新期間満了日(誕生日の1か月後)の年齢」で有効期間を決めます。つまり、69歳で更新手続きに行っても、満了日の時点で70歳になるなら「70歳」として扱われます。
優良運転者・一般運転者で70歳の方の有効期間は4年間。71歳以上は3年間。この1年の差は、70歳ちょうどの方はまだ高齢者講習が「2時間講習」で済む場合があるなど、71歳以上との間に段階的な区切りを設ける意味合いがあります。
やりがちな失敗として、「今69歳だから次は5年後」と思い込むケースがあります。実際には満了日時点の年齢で判定されるため、69歳で更新しても次の有効期間は4年ということがあり得ます。更新時に窓口で交付される新しい免許証の有効期限を必ず確認してください。
更新連絡のハガキには有効期限が記載されていますが、届かないこともあります(転居届の未提出など)。免許証の裏面に記載された有効期限を自分でも確認する習慣をつけましょう。ハガキが届かなくても更新義務は免除されません。
ゴールド免許のメリットは71歳以降もあるの?
有効期間は短くなりますが、ゴールド免許のメリットは71歳以降も残ります。具体的には、更新時の講習時間が短い(優良運転者講習は30分、一般運転者講習は1時間)、更新手数料が一般より数百円安い、そして自動車保険のゴールド免許割引(多くの保険会社で6〜10%の割引)が引き続き適用されます。
自動車保険の割引は保険会社によって異なりますが、年間保険料が5万円の場合、ゴールド割引で3,000〜5,000円ほど安くなる計算です。有効期間が5年から3年に短くなったとしても、保険料の面ではゴールドを維持する価値があります。
また、ゴールド免許保持者は更新場所の選択肢が広い都道府県もあります。一般的に、ゴールド免許なら警察署でも更新できる地域が多いのに対し、違反がある方は運転免許試験場に出向く必要がある場合があります。更新場所が近い警察署で済めば、移動の負担も軽くなります。
70〜74歳で受ける「高齢者講習」は何をするの?

高齢者講習の対象者と受講のタイミング
更新期間満了日(誕生日の1か月後)に70歳以上になる方は、免許更新の前に「高齢者講習」を受講する必要があります。対象者には更新期間満了日の約190日前(約6か月前)に、公安委員会から講習の案内ハガキが届きます。
受講できる期間は、更新期間満了日の6か月前から満了日までです。ただし、自動車教習所での受講が一般的なため、予約が混み合う地域もあります。とくに3月・9月の更新シーズンは混雑しやすく、ハガキが届いてすぐ予約しても1〜2か月待ちになることがあります。
講習を受けないまま更新期限を迎えてしまうと、免許が失効してしまう可能性があります。「まだ先だから」と後回しにせず、案内が届いたらすぐに教習所へ電話で予約を入れましょう。地域によっては複数の教習所を候補に挙げて、空きのあるところを探すとスムーズです。
高齢者講習の予約は「早い者勝ち」です。都市部では案内ハガキが届いた週のうちに電話するくらいのスピード感がおすすめです。地方でも人気の教習所は1か月以上待ちになることがあるので、複数の教習所に電話して空き状況を比べてみてください。
講習の内容は「座学・適性検査・実車」の3本立て
70〜74歳の方が受ける高齢者講習は、2時間の講習で構成されています。内容は大きく3つに分かれます。座学(交通ルールの改正点や事故事例の解説、約30分)、運転適性検査(動体視力・夜間視力・視野の測定、約30分)、実車指導(教習所のコースでの運転と指導員からのアドバイス、約60分)です。
実車指導では、S字カーブや車庫入れなど基本的な運転操作を行い、指導員が運転のクセや注意点をアドバイスしてくれます。これは試験ではないため、うまくできなくても不合格になることはありません。あくまで「自分の運転を客観的に振り返る機会」です。
ただし、指導員から「右折時の確認が遅い」「ブレーキのタイミングが早すぎる」といった指摘を受けた場合は、普段の運転でも意識してみてください。講習で気づいたクセを日常で直すことが、事故予防につながります。
受講費用は5,100円——持ち物リストも確認
70〜74歳の高齢者講習の手数料は6,450円です(2024年時点)。この費用は教習所の窓口で支払います。クレジットカードが使えない教習所もあるので、現金を用意しておくと安心です。
当日の持ち物は、運転免許証、高齢者講習の案内ハガキ、講習手数料、眼鏡や補聴器(使用している方)、そして運転しやすい靴と服装です。サンダルやヒールの高い靴では実車指導を受けられない教習所もあります。
講習を修了すると「高齢者講習終了証明書」が交付されます。この証明書は免許更新時に必要なので、なくさないように保管してください。万が一紛失した場合は、受講した教習所で再発行の手続きが可能ですが、再発行手数料がかかります。
75歳以上で加わる「認知機能検査」は何をするの?
認知機能検査が必要になる年齢と制度の目的
更新期間満了日に75歳以上になる方は、高齢者講習に加えて「認知機能検査」を受けなければなりません。この検査は2009年(平成21年)に導入され、2022年(令和4年)5月の道路交通法改正でさらに見直されました。
検査の目的は、認知症のおそれがあるかどうかをスクリーニングすることです。認知症と診断された場合は免許の取消し・停止の対象となりますが、検査自体は医師の診断ではなく、あくまで「認知機能の状態を確認するテスト」です。
検査結果は「認知症のおそれなし」「認知症のおそれあり」の2分類で判定されます。2022年の法改正前は3分類でしたが、現在はシンプルな2分類になっています。「認知症のおそれあり」と判定された場合は、医師の診断を受ける必要があります。
検査の内容は「時間の見当識」と「手がかり再生」の2種類
認知機能検査は約30分で終わり、ペーパーテスト形式で行われます。内容は2つのパートに分かれています。「時間の見当識」は、検査時の年月日・曜日・時刻を回答する問題です。「今日は何年何月何日ですか?」「今の時刻はおよそ何時何分ですか?」といった質問に答えます。
「手がかり再生」は、16枚のイラスト(果物、動物、楽器など)を見て記憶し、別の課題を挟んだ後にそのイラストを思い出して回答する問題です。まずヒントなしで思い出し(自由回答)、次にヒント(「果物は何でしたか?」など)付きで回答します。
検査には合格・不合格という概念はなく、総合点で認知機能の状態が判定されます。日頃から新聞を読んだり、日記をつけたりしている方は自然と時間の見当識が鍛えられています。特別な受験対策は必要ありませんが、警察庁のWebサイトで検査の流れを事前に確認しておくと、当日落ち着いて受けられます。
警察庁の発表によると、2023年中に認知機能検査を受けた75歳以上のドライバーのうち、「認知症のおそれあり」と判定された方の割合は約2.4%です。大半の方は問題なく更新できていますので、過度に心配する必要はありません。
「認知症のおそれあり」と判定されたらどうなる?
認知機能検査で「認知症のおそれあり」と判定された場合、公安委員会から「臨時適性検査」の通知が届くか、主治医等の診断書の提出を求められます。ここで医師が「認知症ではない」と診断すれば、高齢者講習を受けたうえで免許を更新できます。
一方、医師が「認知症である」と診断した場合は、免許の取消しまたは停止の処分が下されます。ただし、いきなり取り消されるわけではなく、聴聞(本人の意見を聞く手続き)を経たうえで判断されます。
意外と知られていないのですが、「認知症のおそれあり」という判定は、必ずしも認知症を意味するわけではありません。検査当日の体調や緊張で点数が下がることもあります。再検査はできませんが、医師の診断で「認知症ではない」となれば更新は可能です。必要以上に怖がらず、まずは検査を受けてみることが大切です。
免許更新にかかる費用と時間はどれくらい?
年齢別・区分別の更新費用を比較してみた
| 項目 | 70〜74歳 | 75歳以上 |
|---|---|---|
| 更新手数料 | 2,500円 | 2,500円 |
| 高齢者講習 | 6,450円 | 6,450円 |
| 認知機能検査 | 不要 | 1,050円 |
| 合計 | 8,950円 | 10,000円 |
※2024年時点の標準的な金額。都道府県により数百円の差あり
70〜74歳の方は更新手数料2,500円+高齢者講習6,450円で合計8,950円、75歳以上の方はこれに認知機能検査1,050円が加わり合計10,000円が目安です。69歳以下の優良運転者の更新が3,000円程度(手数料2,500円+講習500円)で済むのと比べると、費用の差は大きく感じるかもしれません。
ただし、この費用は3年ごとにかかるものです。3年で割ると年間約3,000〜3,300円。月に換算すると250〜280円ほどですから、安全確認のコストとしてはそれほど大きな負担ではないとも言えます。
注意点として、写真代(約700〜800円)を別途求められる場合があります。運転免許試験場では当日撮影が無料のことが多いですが、警察署で更新する場合は持参する必要がある地域もあります。事前に管轄の警察署に確認しておくと安心です。
更新にかかる時間——講習日と更新日は別の日
高齢者の免許更新は、一般の更新と違って「講習日」と「更新日」の最低2日が必要です。まず教習所で高齢者講習を受け(70〜74歳は約2時間、75歳以上は認知機能検査30分+講習2時間)、後日あらためて免許更新の手続きに行きます。
更新手続き自体は、書類記入・視力検査・写真撮影・免許証交付で1〜2時間程度です。ただし運転免許試験場は混雑する日があり、とくに月曜日や連休明けは待ち時間が長くなりがちです。比較的空いている火曜〜木曜の午前中を狙うとスムーズです。
75歳以上の方は認知機能検査→高齢者講習→更新手続きと3ステップになる場合があります(検査と講習を同日に実施する教習所もあります)。全体で2〜3日は見ておきましょう。計画を立てるときは「更新期限の3か月前には講習の予約を済ませる」くらいの余裕があると安心です。
更新場所は試験場と警察署のどちらがいい?
免許更新ができる場所は、運転免許試験場(運転免許センター)と、一部の警察署です。ゴールド免許の方は警察署で更新できる都道府県が多いですが、70歳以上の場合は「高齢者講習終了証明書」の提出が必要なため、対応していない警察署もあります。
試験場のメリットは、写真撮影が無料、当日中に新しい免許証が交付されること。デメリットは、郊外にあることが多く移動が大変な点です。一方、警察署は近場で手続きできるメリットがありますが、新しい免許証が届くまでに2〜3週間かかる(後日交付)地域もあります。
どちらがよいかは住んでいる場所や体調によって変わりますが、「その日のうちに新しい免許証がほしい」なら試験場、「移動の負担を減らしたい」なら警察署が向いています。お住まいの都道府県警察のWebサイトで、高齢者の更新に対応している場所を事前に調べておきましょう。
更新を忘れた・期限が切れたらどうなる?
うっかり失効——6か月以内なら「やむを得ない理由」なしで復活できる
免許の有効期限が過ぎてしまうと「失効」となり、無免許状態になります。ただし、失効後6か月以内であれば、理由を問わず(「うっかり忘れた」でもOK)運転免許試験場で手続きすれば免許を再取得できます。この場合、学科試験と技能試験は免除され、適性試験(視力検査等)のみで済みます。
手続きには、失効した免許証、本人確認書類、写真、手数料(都道府県により異なるが約4,000〜5,000円)、そして高齢者講習終了証明書(70歳以上の方)が必要です。高齢者講習は失効前に受けたものが有効な場合もありますが、期限が切れていれば再受講が必要です。
ここで気をつけたいのは、失効期間中に運転すると「無免許運転」になり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金という重い罰則が科されることです。「更新を忘れただけ」では済まないので、期限を1日でも過ぎたら絶対に運転せず、速やかに手続きに行きましょう。
免許が失効した状態で車を運転すると「無免許運転」です。「更新を忘れただけ」は免責理由になりません。期限切れに気づいたら、車の運転はせずに公共交通機関や家族の送迎で免許試験場へ向かってください。
6か月を超えて失効した場合はどうなる?
失効後6か月を超え、1年以内の場合は「やむを得ない理由」(入院・海外渡航など)があれば、適性試験のみで再取得できます。やむを得ない理由がない場合は、仮免許試験が免除され、本免許の学科試験・技能試験を受け直す必要があります。
1年を超えると、原則として最初から免許を取り直すことになります。教習所に通い直すか、試験場で一発試験を受けるかの選択になり、費用も20〜30万円程度かかります。70歳以上の方がイチから免許を取り直すのは体力的にもかなりの負担です。
ここまで期間が空いてしまうケースは多くありませんが、長期入院や海外赴任の帰国後に気づく方がいます。入院や渡航が決まった場合は、事前に期限前更新(期限の2か月前から可能)をしておくか、失効を想定して必要書類を家族に託しておくと安心です。
更新忘れを防ぐ3つの工夫
更新忘れを防ぐには、まず免許証の有効期限をスマートフォンのカレンダーに登録しておく方法が手軽です。有効期限の6か月前と3か月前にリマインダーを設定しておけば、高齢者講習の予約時期と更新手続きの時期の両方をカバーできます。
2つ目は、家族と共有すること。お子さんやお孫さんに「次の更新は○年○月」と伝えておけば、時期が近づいたときに声をかけてもらえます。とくに75歳以上の方は認知機能検査もあるため、家族がスケジュールを把握していると安心です。
3つ目は、更新連絡のハガキが届いたらすぐに行動すること。「来週でいいか」と思っているうちに忘れてしまうのがよくあるパターンです。ハガキが届いた日に講習の予約電話をかけ、カレンダーに予約日を書き込む——この「届いたら即行動」を習慣にするだけで、うっかり失効のリスクはほぼゼロになります。
- Step1: 免許証の有効期限をスマホのカレンダーに登録(6か月前・3か月前にリマインダー)
- Step2: 家族に「次の更新は○年○月」と共有しておく
- Step3: 更新連絡ハガキが届いたら、その日のうちに教習所へ予約電話
免許の返納を考えるタイミングと特典
「まだ大丈夫」と「そろそろかも」の境目はどこ?
免許を返納するかどうかは、本人も家族も判断に悩むところです。明確な基準はありませんが、以下のようなサインが出てきたら、一度立ち止まって考えてみる価値があります。「車庫入れで何度も切り返すようになった」「よく通る道で曲がる場所を間違えた」「信号の変わり目で判断が遅れた」などです。
ただし、こうしたサインは加齢だけでなく、疲労や体調不良でも起こり得ます。1回のミスで即「返納すべき」とはなりません。大切なのは、頻度が増えているかどうか。月に1回程度なら注意して運転を続ける判断もありますが、週に何度もヒヤリとする場面があるなら、家族や主治医に相談するタイミングです。
家族から見て心配でも、本人は「まだ大丈夫」と感じていることが多いものです。頭ごなしに「もう運転するな」と言うと関係がこじれます。「一緒に運転してみようか」と同乗して、客観的に確認するところから始めると、お互いに納得しやすくなります。
運転経歴証明書があれば身分証として使える
免許を返納すると「運転経歴証明書」を申請できます。これは免許証と同じサイズのカードで、金融機関や役所での本人確認書類として使えます。有効期限もないため、一度取得すれば更新の必要がありません。
申請は、最寄りの警察署または運転免許試験場で行えます。手数料は1,100円。申請には返納した免許証(返納時にコピーが残る)と写真1枚が必要です。返納と同時に申請できるので、別日に出向く手間はかかりません。
マイナンバーカードも身分証になりますが、運転経歴証明書は「元ドライバーである証」として愛着を持つ方もいます。身分証としての機能に加え、各種特典を受けるための提示にも使えるので、返納される際はぜひ一緒に申請しておきましょう。
自治体や企業の返納特典——タクシー割引や商品券も
免許を返納した方を対象に、多くの自治体や企業が特典を提供しています。内容は地域によって異なりますが、代表的なものを挙げると、バス・タクシーの運賃割引(10〜20%割引が多い)、商品券や地域通貨の支給(1万円分が多い)、温泉施設やレジャー施設の入場料割引などがあります。
たとえば東京都では、都営バスの無料パスや、一部タクシー会社の10%割引が利用できます。大阪府でも、商品券の支給やスーパーの宅配サービス割引など、自治体ごとに独自の特典を設けています。
特典の情報は、お住まいの自治体のホームページや、警察署の窓口で確認できます。返納を決める前に「自分の地域にはどんな特典があるか」を調べておくと、返納後の生活のイメージがつかみやすくなります。特典は年度ごとに変更されることもあるので、最新情報を確認するようにしてください。
- ☑ 自治体の返納特典を調べた
- ☐ 返納後の移動手段を確保した(バス・タクシー・家族の送迎)
- ☐ 運転経歴証明書の申請準備をした
- ☐ 家族と返納について話し合った
2022年改正で何が変わった?最新の制度を押さえておこう
運転技能検査(実車試験)が新設された背景
2022年(令和4年)5月13日施行の改正道路交通法で、75歳以上の一定の違反歴がある方を対象に「運転技能検査」が新設されました。これは、過去3年間に信号無視や速度超過などの一定の違反をした75歳以上のドライバーが、免許更新時に実際の車を使った技能試験を受ける制度です。
背景には、高齢ドライバーによる重大事故の社会問題化があります。認知機能検査だけでは運転操作そのものの衰えを測れないため、実際の運転能力を確認する仕組みが追加されました。対象となる違反には、信号無視、通行区分違反、速度超過、横断歩行者妨害など11類型があります。
運転技能検査は合格・不合格が明確に出ます。不合格の場合、更新期限までに何度でも再受検できますが、合格しないまま期限を迎えると免許が更新できません。ただし、対象となるのは「一定の違反歴がある方」に限られるため、無事故・無違反の方は受ける必要はありません。
認知機能検査の判定方法はどう変わった?
2022年の改正で、認知機能検査の判定区分が3段階から2段階に簡素化されました。改正前は「記憶力・判断力に心配ない」「少し低くなっている」「低くなっている」の3段階でしたが、改正後は「認知症のおそれなし」「認知症のおそれあり」の2段階です。
検査の内容自体(時間の見当識・手がかり再生)は大きく変わっていませんが、判定がシンプルになったことで、結果の理解がしやすくなりました。「少し低くなっている」という中間的な判定がなくなり、受検者の不安も軽減されています。
また、改正前は「認知機能が低くなっている」と判定された方の全員に医師の診断が求められていましたが、改正後は「認知症のおそれあり」に該当した方のみが対象です。結果として、医師の診断を受ける対象者が絞り込まれ、医療機関の負担も軽減されました。
2022年の改正で大きく変わったのは「運転技能検査の新設」と「認知機能検査の2段階化」の2点です。運転技能検査は一定の違反歴がある75歳以上が対象で、無違反の方は従来どおり認知機能検査+高齢者講習で更新できます。
サポカー限定免許という新しい選択肢
2022年の改正では「サポカー限定免許(安全運転サポート車等限定条件付き免許)」も新設されました。これは、運転できる車を安全運転サポート車(衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い防止装置付きの車)に限定する免許です。
対象は年齢を問わず申請できますが、主に高齢ドライバーの安全対策として想定されています。「免許を返納するほどではないが、万が一の事故リスクを下げたい」という方にとって、運転を完全にやめるか続けるかの二択ではない「第三の選択肢」となります。
ただし、サポカー限定免許に切り替えると、サポカーでない車(安全装置のない車)は運転できなくなります。現在乗っている車がサポカーに該当するかどうかは、メーカーのカタログやディーラーで確認できます。「いま乗っている車がそのまま使えるか」を確認してから申請を検討しましょう。
まとめ:年齢で変わる免許更新の間隔を把握して、早めの準備を
高齢者の免許更新は、年齢によって有効期間と手続きの内容が大きく変わります。71歳以上は一律3年ごと、70歳は4年ごと、69歳以下の優良・一般運転者は5年ごとです。ゴールド免許であっても71歳以上では有効期間の優遇はなくなるため、「5年ごとでいい」という思い込みには注意が必要です。
この記事の要点を振り返ります。
- 71歳以上は運転者区分にかかわらず免許の有効期間は3年。70歳は優良・一般で4年
- 70歳以上は更新前に「高齢者講習」(約2時間・6,450円)の受講が必須
- 75歳以上はさらに「認知機能検査」(約30分・1,050円)が加わる
- 2022年改正で、一定の違反歴がある75歳以上には「運転技能検査」が新設された
- 更新を忘れて失効しても、6か月以内なら適性試験のみで再取得可能
- 免許返納時は「運転経歴証明書」の取得と自治体の返納特典の確認を
まず最初にやっておきたいのは、お手元の免許証の有効期限を確認することです。有効期限の6か月前になったら高齢者講習の予約を、3か月前には更新手続きの準備を始めましょう。スマートフォンのカレンダーにリマインダーを入れたり、ご家族に更新時期を伝えたりするだけで、うっかり失効のリスクはぐっと下がります。
運転を続けるにしても、いずれ返納を考えるにしても、制度の仕組みを知っておけば慌てずに対応できます。この記事が、安心して次の更新を迎えるための参考になれば幸いです。
※制度の詳細や手数料は都道府県によって異なる場合があります。最新の情報は、お住まいの地域の警察署や運転免許試験場にお問い合わせください。

コメント